Dec 16, 2007

2007.11.13 「ホーファーリサーチ v. 東洋新薬」 知財高裁平成19年(行ケ)10098

動機付けは、本願発明と引用発明とが同じ効果の観点でなければならないか?: 知財高裁平成19年(行ケ)10098

【背景】
被告(東洋新薬)は「皮膚外用剤」に関する特許(第3533392号)の特許権者である。本件は、無効審判請求人である原告(ホーファーリサーチ)が、審決のうち請求不成立とされた部分についての取消しを求めた事案である。
争点は、進歩性及びサポート要件。

請求項1:
松樹皮抽出物および平均分子量が3,000以上7,000以下のコラーゲンペプチドを含有する,皮膚外用剤であって,該松樹皮抽出物はカテキン類を5重量%以上および2~4量体のプロアントシアニジンを20重量%以上含有し,かつ,5量体以上のプロアントシアニジン1重量部に対し,2~4量体のプロアントシアニジンを1重量部以上の割合で含有し,そして,プロアントシアニジンが0.001重量%~2重量%含有され,コラ-ゲンペプチドが0.0001重量%~5重量%含有される,皮膚外用剤。

争点となった引用発明との相違点1:
引用発明には平均分子量3,000以上7,000以下の加水分解コラーゲンを用いることが記載されていない点

【要旨】
進歩性に関する争点について、裁判所は、
「甲12には,実施例1において,平均分子量3000のコラーゲンペプチドを用いた皮膚外用剤に皮膚の抗老化効果,しわ抑止効果が認められたことが記載されている。そうすると,平均分子量7000以下との記載はないものの,上記のとおり甲12に平均分子量3000のコラーゲンペプチドを用いた皮膚外用剤において,皮膚の抗老化等の効果が認められたことからすれば,審決が,甲2発明と本件発明2との相違点1に関し,甲12に記載ないし示唆がないと認定した点(14頁23行~27行9行)については誤りである。なお,審決は,上記に関し,保湿性に優れた効果を示す範囲として平均分子量3000以上7000以下のコラーゲンペプチドを使用することが示唆されていないことをその理由としているが,化粧品等の皮膚外用剤において,相違点に係る構成が容易想到というための動機付けとして,保湿性の観点でなければならないということはなく,上記甲12のように抗老化効果,しわ抑制効果等の観点であっても差し支えないから,上記認定を左右するものではない。」
また、
「甲36の上記記載によれば,平均分子量3,000~7,000の範囲を含むコラーゲンペプチドが保湿性を目的として皮膚外用剤に配合されることが技術常識であることが推認できる。よって,甲36を適用する動機付けはあるということができる。」
と判断し、結論として、
「原告主張の取消事由4に関し,本件発明2と甲2発明との相違点1に関しても,当業者にとって甲12の記載,甲36の技術常識から当業者にとり容易想到であると判断すべきである。
そうすると,審決は甲2発明と本件発明2との相違点1,2のいずれについての判断も誤ったことになり,これが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。」
とした。

また、サポート要件に関する争点について、裁判所は、
「本件明細書に開示された内容(上記化粧水2,3が化粧水6,7等に比べ保湿効果,血流改善効果がある等)からは,本件発明2における「該プロアントシアニジンが5量体以上のプロアントシアニジン1重量部に対し,2~4量体のプロアントシアニジンを1重量部以上の割合で含有する」との点につき,本件明細書の発明の詳細な説明にこれを十分裏付ける記載がないというほかなく,いわゆる原告のいうサポート要件を欠くというべきである。」
と判断した。

特許庁がした審決のうち請求不成立とされた部分を取り消す。

【コメント】
審決が取り消された事案。
引用発明との相違点に係る構成が容易想到というための動機付けとして、本願発明と引用発明とが同じ効果の観点でなければならないということはない(異なる効果の観点であっても差し支えない)と判断した点に注意。
サポート要件についても、当たり前のことではあるが、特許庁は言いくるめることが出来ても、第三者からの攻撃に耐えることができるように客観的に見てつじつまの合うデータの記載が必要である。

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