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2006.02.16 「イナルコ v. 森永乳業(結晶ラクチュロース三水和物事件)」 知財高裁平成17年(行ケ)10205

添加した種晶が何なのか争われた事案: 知財高裁平成17年(行ケ)10205

【背景】

森永乳業は「結晶ラクチュロース三水和物とその製造法」とする特許第2848721号の特許権者。実施例には、結晶ラクチュロース三水和物を製造するために、当該新規物質を種晶として用いる方法が記載されており、原料物質となる結晶ラクチュロース三水和物が、既に得られたことを前提とした書きぶりになっていた。

無効審判を請求されたが、請求不成立審決となったため、審決取消訴訟が提起された。

森永乳業は、明細書記載の種晶は、公知であった結晶ラクチュロース無水物のことであり、当業者もそう理解するはずだと主張した。

【要旨】

明細書の記載から、「ラクチュロースを種晶添加し」の「ラクチュロース」は「三水和物」を意味するものと認められる。

また、無水物を種晶として添加した場合に、無水物は結晶として析出せず、三水和物が析出すると予想することができるという主張は採用できない。

本明細書の記載及び出願時の技術常識に基づいて、当業者が種晶として使用するラクチュロース三水和物を容易に製造できる特段の事情が存在すると認めることはできないから、旧36条4項(実施可能要件)違反があるとして、審決を取り消した。

【コメント】

種晶を用いた製造方法を記載しなければならない場合には、当然のことながら当業者が実施可能なように、種晶をどのようにして得るのかまで記載する必要がある。

参考:

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