May 17, 2008

2006.11.21 「X v. 大塚製薬」 知財高裁平成17年(ネ)10125

職務発明対価請求における用途発明の実施の認定は具体的使用状況で判断: 知財高裁平成17年(ネ)10125

【背景】
抗血小板剤プレタール®(Pletaal®、一般名: シロスタゾール(Cilostazol)、

効能・効果:
・慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善
・脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制)

をカバーする特許(特許第1471849号(物質特許権)及び特許第2548491号(用途特許権))に関する職務発明相当対価請求訴訟。
物質発明に係る職務発明の相当対価の請求については相当対価請求権が時効消滅し、また、用途発明に係る職務発明の相当対価については受けるべき利益が存しない、ということで職務発明の対価の支払いの請求を棄却した原判決を不服として、原告である元(生物系)研究者が控訴した。

特許第2548491号(用途特許権)の特許請求の範囲

請求項1:
式(I)~で表されるテトラゾリルアルコキシジヒドロカルボスチリル化合物を有効成分とする内膜肥厚の予防、治療剤。

請求項2:
該有効成分が6-[4-(1-シクロヘキシルテトラゾール-5-イル)ブトキシ]-3,4-ジヒドロカルボスチリルである請求項1に記載の薬剤。

請求項3:
該有効成分が6-[4-(1-シクロヘキシルテトラゾール-5-イル)ブトキシ]-3,4-ジヒドロカルボスチリルであるPTCA後やステントの血管内留置による冠状動脈再閉塞の予防および治療剤。

【要旨】
裁判所は、

物質発明に係る相当対価請求権については、消滅時効が完成(消滅時効の起算点を認め、そこから10年以上経過)しているとした。

一方、用途発明に係る相当対価請求権については、

「被控訴人は,本件製剤について,「PTCA後やステントの血管内留置による冠状動脈再閉塞の予防および治療剤」と明示的に表示して販売していたものでないにしても~本件製剤に再狭窄予防効果等があることをその特性として積極的に位置付けた販売活動を行っていたものであり,~医師等の間でシロスタゾールがPTCA後の再狭窄予防の薬剤として広く認知されるようになったことからすれば,~本件製剤の販売の中には,本件製剤が~本件用途発明の「PTCA後やステントの血管内留置による冠状動脈再閉塞の予防および治療」の用途に使用されるものとして販売されたものが一定量含まれているものと認めるのが相当であり,そうすると,本件においては,その一定量の販売の限度で,本件用途発明に係る「PTCA後やステントの血管内留置による冠状動脈再閉塞の予防および治療剤」なる発明の実施があったというべきである。そして,本件製剤の後発品を製造販売する会社を含め第三者において,その後発品等を「PTCA後やステントの血管内留置による冠状動脈再閉塞の予防および治療」の用途に使用されるものとして販売することは,本件用途特許権の効力により禁止されているというべきであるから,被控訴人において本件製剤を上記用途に使用されるものとして販売した上記一定量には,第三者が本件用途発明の実施を禁止されていることに起因して販売することができた分が含まれているといえるから,その限りでは本件用途発明を排他的,独占的に実施したものということができる。」

と判示し、原告の相当対価請求を認め、原判決を覆した。

【コメント】
相当対価請求権の消滅時効の起算点は、職務発明規定に拠る。対価請求における用途発明の実施の認定は、具体的な使用状況で判断される。

No comments: