Oct 28, 2008

2007.05.16 「ロレアル v. 特許庁長官」 知財高裁平成18年(行ケ)10291

公知成分同士の組合せ: 知財高裁平成18年(行ケ)10291

【背景】
「(a)グラフトシリコーンポリマーと、(b)アミノシリコーン、シリコーン樹脂、及びシリコーンガムから選択される少なくとも1つのシリコーンとを含有する、ケラチン物質をトリートメントすることを意図した化粧用または皮膚病用組成物」に関する発明についての、進歩性なしとの拒絶審決に対する取消訴訟。
引例との相違点は、本願発明が、組成物の構成成分として、更に、上記(b)成分を併用しているのに対して、刊行物発明は、該(b)成分を併用することは明記されていない点であった。

【要旨】
裁判所は、
「ヘアーケア製品に(b)成分に相当する成分を使用することができることが技術常識であったといえることを考慮すると,本件優先日当時,刊行物1に記載された,(a)成分と組み合わせて使用することができるとされたヘアーケア製品に慣用的に使用されているポリシロキサンポリマーとして,(b)成分~を使用することは,当業者が容易に想到することがことができたものと認められ,当業者は,相違点に係る本願発明の構成に容易に想到することができたというべきである。」
と判断した。

これに対し、原告は、
多数のシリコーン物質を挙げるほか、刊行物1等にも(b)成分ではないシリコーン物質が記載されていることなどを挙げ、本件優先日当時、当業者は、化粧品の分野において公知である多数のシリコーン物質群から、(a)成分と組み合わせて使用するものとして(b)成分を特に選択することに容易に想到することができたとはいえない旨主張するとともに、比較実験によれば、本願発明は、(a)成分に(b)成分を組み合わせることにより予測し得ない顕著な効果を奏する旨主張した。

しかしながら、裁判所は、
「比較実験1において用いられた,(b)成分に相当するポリシロキサンポリマーであるアミノ変性シリコーンが,毛髪に滑らかな感触を与えるヘアーケア製品に使用されることは,本件優先日前に広く知られていたのであるから,それを含む組成物が毛髪に滑らかさを与えることが,直ちに当業者の予測を超える格別顕著な効果ということはできない。そして,比較実験1は,(a)成分に相当する成分に(b)成分に相当する一種類のポリシロキサンポリマーを組み合わせた組成物と,(a)成分に相当する成分に(b)成分に相当しない一種類のポリシロキサンポリマーを組み合わせた組成物との比較実験を行ったものにすぎず,比較実験1において選択されたもの以外に,(b)成分に相当するポリシロキサンポリマー及び(b)成分に相当しないポリシロキサンポリマーが多数存在するところ,(a)成分と組み合わせて使用するものとして,比較実験1で選択された以外の,(b)成分に相当するポリシロキサンポリマーと(b)成分に相当しないポリシロキサンポリマーを用いた組成物間においても,上記同様の結果を得ると認めるに足りる証拠はなく,比較実験1の結果をもって,本願発明について,(a)成分と組み合わせて使用するものとして,(b)成分を選択したことにより,予測し得ない顕著な効果を奏していると認めるには足りない。」
と判断した。
請求棄却。

【コメント】
公知成分同士の組合せ発明として進歩性を主張するためには、該組合せ以外の全ての組合せと比較しても格別顕著な効果を奏していると認められるに足るデータが必要とされる。

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