May 20, 2009

1976.12.21 「5-ニトロ安息香酸エステル製法事件」 東京高裁昭和48年(行ケ)20

製造中間体の有用性: 東京高裁昭和48年(行ケ)20

【背景】
「2―アルコキシ―4―アルカノイルアミノ―5―ニトロ安息香酸エステルの製法」に関する特許出願の進歩性判断において、中間体の製造方法のクレームの有用性が問題となった。
特許庁は、ニトロ基の導入位置に関して進歩性を欠くとする理由の他に、
「本願発明の目的物質が医薬物質製造の中間体として使用できることは認められるが、その有用性はあくまで最終目的物質である医薬物質が得られたときにはじめて実現される有用性であるから、最終目的物質である医薬物質に至るまでの一連の工程について特許を請求するのであればともかく、中間体製造までの段階に止つている本願発明において、該有用性をもつて本願発明が格別の進歩性あるものと判断すべきいわれはない。」
との理由で、本願発明を拒絶する審決を下した。

【要旨】
裁判所は、
ニトロ基の導入位置は3-位および5-位に限られるとした特許庁の判断は合理的根拠を欠くと判断し、さらに、
「新規物質を得る製法発明において、特許要件としての目的物質の有用性につき、目的物質がそれ自体有用な医薬物質である場合と、目的物質が有用な医薬を製造するための中間体である場合とを、特に区別して評価すべき合理的根拠はないというべきである。けだし、有用性に関する特許要件は、目的物質が新規であるというだけで何らの有用性をもたないところの製法発明、換言すれば無用の新規物質を得るにすぎない製法発明を特許付与の対象から排除することを趣旨とするものであり、かつそれにとどまるものと解されるからである。」
と判断した。
審決を取消す。

【コメント】
最終目的物である医薬物質が有用であれば、その中間体にも有用性がある。

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