Sep 9, 2013

2013.03.25 「ジェリジーン メディカル v. 特許庁長官」 知財高裁平成24年(行ケ)10324

免疫原性の問題を解決するために培養技術を置換するという動機付け: 知財高裁平成24年(行ケ)10324

【背景】

「真皮,皮下,および声帯組織欠損の増大および修復」に関する特許出願(平成10年特許願第539578号、特表2001-509064、WO98/40027)の拒絶審決取消訴訟。争点は進歩性。

本願発明:
患者の欠損を矯正する医療組成物の製造に,試験管内培養自己由来細胞を使用する方法であって,該医療組成物は該患者の欠損に導入するためのものであり,該試験管内培養自己由来細胞は,試験管内で培養されて,非自己由来血清に暴露されることなく,自己由来血清を含む少なくとも1つの培地中で細胞数を増やす,方法。
審決が認定した本願発明と引用発明の相違点は、本願発明では、「非自己由来血清に暴露させることなく,自己由来血清を含む少なくとも1つの培地中で細胞数を増やす」と特定されているのに対して、引用発明では「非ヒト血清を含む培地中で継代した後,無血清培地で培養する」としている点、であった。

【要旨】

主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 本判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。
裁判所の判断(抜粋)
当裁判所は,以下のとおり,本願発明の相違点に係る構成は容易に想到することができるとした審決の判断に誤りはないと解する。
引用刊行物Aには,非ヒト血清(ウシ胎児血清)中で継代した後に行われる無血清培地中での培養は,「存在すれば被験者に対して免疫原性でありアレルギー反応を引き起こすであろう,ウシ胎児血清由来のタンパク質を細胞から実質的に除去する」目的であることが明示されている。
すなわち,引用発明において,無血清培地中で細胞をインキュベートする目的は,被験者に対して免疫原性でありアレルギー反応を引き起こす危険性のある,ウシ胎児血清由来のタンパク質を細胞から実質的に除去することにある。したがって,免疫原性の問題を解決するために,本願発明が採用する「非自己由来血清に暴露させることなく,自己由来血清を含む少なくとも1つの培地中で細胞数を増やす」との方法を採用することに,何らの阻害要因はないものというべきである。
以上のとおり,「非ヒト血清を含む培地中で継代した後,無血清培地で培養する」との技術を,免疫原性の問題を回避し得る乙1ないし乙3に記載の技術に置換することは,当業者が容易になし得たことと認めるのが相当である。
【コメント】

医療関連の発明なので取り上げたが、特に参考になる点はなさそう。

出願人が同じ最近の判決:

2013.03.27 「ジェリジーン メディカル v. 特許庁長官」 知財高裁平成24年(行ケ)10354

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