Dec 29, 2013

2013年、医薬系"特許的"な判決を振り返る。

組み合わせてなる医薬に関する特許権の効力
2013年、最もホットだった"特許的"ニュースのひとつは、武田薬品と後発メーカーが争ったピオグリタゾンの併用特許の侵害事件ではないでしょうか?

今年初めに、東京地裁判決がありましたが、それに先駆けて昨年9月の大阪地裁判決では、「複数の医薬を単に併用(使用)することを内容(技術的範囲)とする発明は,「物の発明」ではなく,「方法の発明」そのものであるといわざるを得ない」、「本件各特許発明が「ピオグリタゾンまたはその薬理学的に許容しうる塩」と本件併用医薬品とを併用すること(併用療法)を技術的範囲とするものであれば,医療行為の内容それ自体を特許の対象とするものというほかなく,法29条1項柱書及び69条3項により,本来,特許を受けることができないものを技術的範囲とするものということになる。」と言及しています。
一方で、医薬発明の審査基準では、「物」の発明として、いわゆる「組み合わせてなる医薬」を例示しています。この審査基準が作成された経緯は、本件のような併用療法に特徴のある発明をどのように保護するかが議論され、方法的発明でありながら「物」の発明として保護するという取り扱いとすることとなりました。
しかし、その議論から10年が経とうとしている今、これら判決により、審査基準の改定でお茶を濁した併用の特許性と権利行使との不整合の問題が露呈する結果となり、その取り扱いは法改正も視野に入れて再度検討される時期が来たのではないでしょうか。そもそも審査基準の改定で検討された事項の中で大きな論点だったひとつは、経時的な投与方法の発明をどのように権利保護するかということだった(方法的発明を苦肉の策として「物」という「剤」に語尾を「変形」すること(いわゆる「変形剤」クレーム)で29条柱がきの問題を回避できるとした)と記憶しています。これは組合せの薬剤発明だけの問題だけでなく、投与方法に特徴のある医薬用途発明全般に影響する問題であり、もしこのような発明について取得した特許が権利行使できないものというのであれば小手先の審査基準での対応による特許化は全く意味がありません。個人的には、治療方法の特許性を認め、医師の治療行為は特許法69条で特許権の効力が及ばないこととする法改正を再検討してほしいと願っています。

2013年、医薬系"特許的"な判決を賑わせた製品は...タリオン錠(有効成分: ベシル酸ベポタスチン(bepotastine besilate))でした。


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