Dec 18, 2013

2013.10.24 「ワーナー-ランバート v. サンド」 東京地裁平成24年(ワ)5743(甲事件), 19120(乙事件)

アトルバスタチンの結晶形に関する特許権侵害訴訟: 東京地裁平成24年(ワ)5743(甲事件), 19120(乙事件)

【背景】

本件は,特許権1(特許3296564)(甲事件)及び特許権2(特許4790194)(乙事件)を有する原告(ワーナー-ランバート)が,被告(サンド)が輸入,製造及び販売する被告各製品が上記各特許権を侵害している旨主張して,被告に対し,特許法100条1項に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め等を求めるとともに,同条2項に基づき,被告製品についての健康保険法に基づく薬価基準収載品目削除願の提出及び被告各製品の廃棄を求めた事案。

【要旨】

主 文
原告の甲事件請求及び乙事件請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は,甲事件・乙事件を通じ,原告の負担とする。
裁判所の判断
(1) 別件判決において,本件発明1は乙7発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとして,本件審決を取り消す判断が示され,同判決は確定している。そうすると,特許庁は,別件判決に再審事由があることが明らかであるなど特段の事情のない限り,本件特許1を無効とする審決をするほかないこととなる。本件において上記特段の事情が存在することをうかがわせる事情はなく,また,原告もそのような事情を具体的に主張するものではない。したがって,本件特許1は,特許法123条1項2号,29条2項の定める無効理由があり,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告は,被告に対して本件特許1に基づく権利行使をすることができないものと解される。 
(2) 本件審決を取り消す旨の別件判決が最高裁判所の決定により確定しているところ,これは,本件特許1に関する判断であるから,これと異なる特許である本件特許2について,直ちに無効理由があることになるなどの直接的効果を及ぼすものではない。しかしながら,本件特許権2に係る出願は,原出願である本件特許権1に係る出願を分割してされたものである。そして,本件発明2の構成要件に記載されたアトルバスタチン水和物の結晶性形態が,本件発明1の構成要件に記載されたものと全く同一の結晶性形態を表していることは明らかである。すなわち,両発明は,これらの数値によって特定される結晶性形態のアトルバスタチン水和物に関する発明である点において全く同一であり,前者がそのアトルバスタチン水和物そのものの発明であるのに対し,後者がそのアトルバスタチン水和物に賦形剤等を混合した医薬組成物の発明である点が異なるにすぎない。そうすると,これに賦形剤等を混合して医薬組成物とすること自体に進歩性が認められるなど特段の事情のない限り,本件特許2もまた無効とされるべき筋合いであることは当然の事理というべきである。したがって,本件特許2も,特許法123条1項2号,29条2項の定める無効理由があり,無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告は,被告に対して本件特許2に基づく権利行使をすることができないものと解するのが相当である。
【コメント】

参照: 2012.12.05 「サンド v. ワーナー-ランバート」 知財高裁平成23年(行ケ)10445

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