Feb 20, 2013

2013.02.19 「中外 オキサロール®軟膏後発品 特許侵害訴訟提起」

中外製薬は、尋常性乾癬等角化症治療剤「オキサロール®軟膏25μg/g」について、同製品の後発品販売者である岩城製薬、高田製薬、ポーラファルマ、および、これら後発品の原薬等国内管理人であるDKSHジャパンに対し、中外製薬が保有する製法特許の侵害を理由として、2月19日付で東京地裁に特許権侵害行為の差し止めを求める訴訟を提起し、併せて仮処分命令の申立てをした。オキサロール®軟膏は、活性型ビタミンD3誘導体マキサカルシトール(Maxacalcitol)を有効成分とする角化症治療剤。適応症は尋常性乾癬、魚鱗癬群、掌蹠角化症、掌蹠膿疱症の4疾患。

参考:

Feb 17, 2013

2012.09.20 「大幸薬品 v. キョクトウ」 大阪地裁平成23年(ワ)12566

正露丸糖衣事件: 大阪地裁平成23年(ワ)12566

【背景】
原告(大幸薬品)は、被告(キョクトウ)の行為が、①不正競争防止法2条1項2号の他人の商品等表示として著名な原告各表示と同一又は類似の商品表示を使用した商品を譲渡する行為に当たるとして、又は②法2条1項1号の他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されている原告各表示と同一又は類似の商品表示を使用した商品を譲渡し、原告商品と混同を生じさせる行為であるとして、被告に対し、法3条に基づき、被告各表示の使用差止め並びに被告表示1の表示を付した包装及び被告表示2の包装の廃棄を求めるとともに、法4条本文に基づき、1000万円の損害賠償等を求めた。

【要旨】

主 文
原告の請求をいずれも棄却する。(他略)

裁判所は、「正露丸」が本件医薬品の普通名称であるという事実を確認したうえで、被告表示2が原告各表示と同一又は類似の商品表示であると認めることはできないし、被告が被告表示1を使用しているとも認められない、と判断した。

判断基準 :
「特定の商品表示が法2条1項1号又は2号にいう他人の商品表示と類似の ものか否かを判断するに当たっては,取引の実情の下において,取引者,需要者が,両者の外観,称呼,又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である。」
【コメント】

被告表示2について、「正露丸」、「糖衣」、「S」は一連一体ではないと判断されたため、その前提で外観、称呼、観念とも相違しているとされた。

大幸薬品press release:

正露丸関連の過去記事:

Feb 11, 2013

2012.08.31 「宇部興産 v. 国」 東京地裁平成23年(行ウ)443

存続期間延長分の特許料納付期限徒過: 東京地裁平成23年(行ウ)443

【背景】

原告が「ピペリジン誘導体,その製造方法並びにそれを含む抗ヒスタミン剤」に関する特許権(出願番号: S63-175142、公告番号: H05-033953、登録番号: 第1821360号、出願日: 昭和63年7月15日、出願公告年月日: 平成5年5月20日、登録年月日: 平成6年2月10日)の第17年分特許料の追納期間経過後に特許料納付書を提出して特許料及び割増特許料の納付手続をしたのに対し、特許庁長官が同特許料納付書を却下する処分をしたことについて、原告が、被告に対し、上記追納期間の徒過は、原告が特許管理のために用いていた日立制作の特許管理システムの瑕疵によるものであって、原告の責めに帰することができない理由があると主張し、本件却下処分の取消しを求めた事案。

本件特許権の存続期間は平成20(2008)年7月15日までであったが、存続期間の延長登録の出願がされ(出願番号2000-700108、2000-700109、2000-700110、2002-700032、2002-700033)、平成13(2001)年6月20日及び平成15(2003)年3月5日に、延長の期間を5年とする存続期間の延長登録がされ、本件特許権の存続期間は平成25(2013)年7月15日まで延長された。

本件特許権の第17年分の特許料の納付期限は平成21(2009)年5月20日であり、追納期間の満了日は平成21(2009)年11月20日であった。

【要旨】

主 文
原告の請求を棄却する。(他略)

裁判所は、特許料112条の2第1項「その責めに帰することができない理由」の存否について下記のとおり判断した。
「原告新システムに瑕疵が存在することを認め難い。それにもかかわらず,本件においては,本件特許の第16年分特許料納付により,原告新システム上,特許料を完納した旨のコードが設定され,次回納付期限日(第17年分特許料納付期限日)が設定されなかったというのであるから,その原因は明らかではなく,~その原因としては,種々の事情が考えられるというべきこととなる。

~いずれにしても,~原因を明確に特定するに足りる立証はなく,上記原因が特定されない以上,原告が,上記原因に関し,通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしたこと及び上記原因が上記注意にもかかわらず避けることができないと認められる事由に当たることを認めるに足りる主張及び立証もないものといわざるを得ない。
なお,上記原因として考えられる可能性の一つとして,本件移行作業が適切なものではなかった可能性が挙げられることは前記のとおりであるところ,前記第3の1(2)イのとおり,本件移行作業は,原告が日立情報システムズに委託して行われたことが認められる。しかし,本件移行作業に問題があったとしても,上記の点が,受託者の判断に係るものではなく,受託者からの報告に基づき原告が指示した事項に起因するような場合には,上記の点は,委託者である原告自身の過失によるものとみるのが相当であり,原告が,通常の注意力を有する当事者として通常期待される注意を尽くしたものということはできないこととなる。また,上記問題点が,受託者の作業上の誤りなど,受託者の過失によるものとみるべきものであったとしても,原告は,上記移行作業を自ら行い又は第三者に委託するなどのいずれの形態を採用するか,または第三者に委託する場合にどのような者を選択するかについて,自己の判断に基づき自由に選択することができる状況の下で,自己の判断に基づき本件移行作業を第三者に委託することを選択したものである上,前記第3の1(2)ウのとおり,日立情報システムズは,原告に対し,作業の各段階において文書で作業内容を報告していたことが認められるのであるから,上記過失は,原告側で生じたものとみるべきであり,当該過失に起因する事情により追納期間を徒過した場合には,特許法112条の2第1項所定の「その責めに帰することができない理由」によるものとは認められないものというべきである。」
【コメント】

存続期間が延長された場合には、その情報を年金納付の管理システムに間違いなく反映させることである。
本件特許は、タリオン錠(ベシル酸ベポタスチン)を保護する特許。存続期間の延長登録により、本件特許権の存続期間は2013年7月15日まで延長されたはずだったが、年金未納により2009年5月20に本権利は消滅となってしまった。2012年8月にタリオンの後発品が製造承認されたが、同年12月の後発品追補収載はされていないようである。

参考:

Feb 3, 2013

2012.08.28 「ファイザー・プロダクツ v. 特許庁長官」 知財高裁平成23年(行ケ)10352

単回投与の進歩性: 知財高裁平成23年(行ケ)10352

【背景】

「マイコプラズマ・ハイオニューモニエを用いた単回ワクチン接種」に関する特許出願(特願2003-509957、特表2005-515162、WO2003/003941)の拒絶審決(不服2008-6757号)取消訴訟。争点は進歩性。

本願補正発明1:
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyoneumoniae)の感染に起因する,ヒト以外の動物における疾患または障害を治療または予防する方法であって,3~10日齢の動物に不活化されたマイコプラズマ・ハイオニューモニエ ワクチンの有効量を単回投与することを含む,前記方法。
審決が認定した引用発明の内容並びに本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおり。
引用発明の内容:
マイコプラズマ・ハイオニューモニエによる感染に対してブタを免疫する方法であって,少なくとも,マイコプラズマ・ハイオニューモニエによる感染に対してブタを免疫するに有効な量の,バイナリー・エチレンイミンで不活性化された病原性の高いマイコプラズマ・ハイオニューモニエ分離株,および生理学的に許容し得る担体を含有するバクテリンの1回用量をブタに投与して,マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染に対してブタを免疫することを含む免疫方法。
一致点:
「マイコプラズマ・ハイオニューモニエの感染に起因する,ブタにおける疾患または障害を治療又は予防する方法であって,ブタに不活化されたマイコプラズマ・ハイオニューモニエ ワクチンの有効量を投与することを含む,前記方法。」である点。
相違点1:
本願補正発明では,投与されるブタについて,「3~10日齢」のものに限定されるのに対し,引用発明では「3~10日齢」に限定されていない点。
相違点2:
本願補正発明では,ワクチンの投与回数が「単回投与」に限定されるのに対し,引用発明では「単回投与」に限定されていない点。
【要旨】

主 文
原告の請求を棄却する。(他略)

1. 取消事由1(引用例記載の発明の認定の誤り)について

裁判所は、
「引用例に,少なくとも,バクテリンの1回用量をブタに投与する免疫方法が記載されている旨を認定した審決に誤りはないというべきである。」
と判断した。

これに対し、原告は、
「①本願の優先日において,不活化ワクチンの接種により免疫を得るためには複数回のワクチン投与が必要であり,2回目のワクチン投与によって得られる抗体は,1回目のワクチン投与で得られる抗体に比べて,格段に優れた特徴を有することは技術常識である,②引用例の実施例には,バクテリンを1週齢と3週齢とに2回,不活化ワクチンをブタに投与する免疫方法のみが開示されており,不活化ワクチンを単回投与する免疫方法は記載されていない」
として、審決の引用例記載の発明の認定の誤りを主張した。

しかし、裁判所は、
「免疫を付与し維持するために追加接種が有効であるという一般論としての技術常識が存在するとしても,それが,引用例の記載の「1回用量をブタに投与」を除外して,実施例に記載された2回投与の発明しか把握できないほどの絶対的な知見とは認められない。~「2回目のワクチン投与によって得られる抗体は,1回目のワクチン投与で得られる抗体に比べて,格段に優れた特徴を有する」との技術常識が存在するとしても,~当業者は,2回以上のワクチン投与が必須であるとは考えず,生体防御に足りる免疫が付与できる最低限の接種回数を採用することがあるものと解される。したがって,原告主張の上記①の技術常識があるとしても,審決の引用発明の認定に誤りとする根拠になるとはいえない。

また,~この実験において1回目のワクチン投与により得られた抗体価が小さかったことは,1回目のワクチン投与量を評価するための材料とはなり得ても,単回投与を否定する根拠にはなり得ない。」
として、引用例の実施例の記載をみても審決における引用発明の認定が誤りであるとは認められないと判断した。

2. 取消事由2(相違点に関する容易想到性判断の誤り)について

原告は、
「本願の優先日において,①生後間もない動物においては,抗体等の減少及び抗体機能の効率がよくないことにより,体液性免疫不全が生じるほどに免疫機能は低下し,感染症等の病気にかかりやすくなっているとの技術常識,及び,②生後間もない動物においては,母親由来の抗体により,ワクチンの働きが阻害されるとの技術常識があり,上記の2つの技術常識は,当業者において,引用発明から本願補正発明を想到することを阻害するから,相違点に係る本願補正発明の構成が容易想到であるとはいえない」
と主張した。

しかし、裁判所は、
「甲3ないし甲5は,原告主張の技術常識を裏付けるとはいえない。むしろ,生後間もないブタは,発達途上のため成体ブタには多少劣るとしても,免疫系が機能することを示すものと認められるから,原告の主張は理由がない。したがって,甲3ないし甲5によっても,3~10日齢の動物に単回投与するという本願補正発明の構成を選択することを阻害するとまでは認められない。

本願の優先日当時において,生後間もない動物において,母親由来の抗体によりワクチンの働きが阻害されることが一般論としてあるとしても,他方で,母親由来抗体の影響を予測することが困難であるとの技術常識もあったということができる。したがって,原告主張の技術常識が,3~10日齢の動物に単回投与するという本願補正発明の構成を選択することを阻害するとまではいえない。」
として、原告主張の技術常識が当業者において引用発明から本願補正発明を想到することを阻害するとはいえず、相違点に係る本願補正発明の構成が容易想到であるとはいえないとの原告の主張は理由がない、と判断した。

【コメント】

欧米で下記クレームで成立しているが、本事件での引用例(WO92/03157)は、欧米の審査段階では引用されなかった。審査における調査の質は日本のほうが優れている。のかも?

EP1474067(B1)
1. Use of a Mycoplasma hyopneumoniae bacterin for the manufacture of a vaccine for treating or preventing a disease or disorder in an animal caused by infection with Mycoplasma hyopneumoniae for administration to the animal at from 3 to 10 days of age, an effective amount of a single dose of the Mycoplasma hyopneumoniae vaccine.
異議申立の後、審判に係属中のようである(T0619/12)。本事件での引用例は、異議申立人によって引用されている。
US6,846,477(B2)
1. A method of treating or preventing a disease or disorder in an animal caused by infection with Mycoplasma hyopneumoniae (M. hyopneumoniae) comprising administering to the animal at from about 3 to about 10 days of age, an effective amount of a single dose of a Mycoplasma hyopneumoniae vaccine, wherein said M. hyopneumoniane vaccine comprises an inactivated M. hyopneumoniane whole cell preparation and wherein said single dose of the M. hyopneumoniane vaccine contains at least about 1x108 color changing units (CCU).
米国の審査では自明性に関するOffice Actionは出なかったようである。本事件における引用例は、米国の審査で引用されることはなかった。

投与の回数について争われた他の事件として下記がある。

参考:
  • 動物用医薬品レスピシュアワン®(RespiSure-ONE®; 一般的名称: マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染症(油性アジュバント加)不活化ワクチン(シード))
    日本で認められている用法用量は、「生後1~10週齢の子豚に2mLを頚部筋肉内に注射する。」
  • RespiSure-ONE® Product sheet