Dec 27, 2014

2014.12.18 「ユーロ-セルティック v. 特許庁長官」 知財高裁平成26年(行ケ)10059

保存安定性に優れたポビドンヨード調製物のパッケージ: 知財高裁平成26年(行ケ)10059

【背景】

「ヨードホールを含有する乾燥リポソーム製薬組成物を含むパッケージ及び同組成物を適用する方法」に関する特許出願(特願2004-129590; 特開2004-346064)拒絶審決(不服2011-14812)取消訴訟。争点は進歩性。

請求項1:
プラスチック材料,紙又は厚紙製のパッケージ中に,ヨードホールを含有する乾燥リポソーム製薬組成物を含む,保存安定性を備えたパッケージ。
審決が認定した引用例1発明との一致点:
「(使用時に水(媒体)を添加することで医薬製剤として再構築される,)ヨードホールを含有する乾燥リポソーム製薬組成物」である点。
審決が認定した引用例1発明との相違点:
本願発明では,乾燥リポソーム製薬組成物を,(A)「プラスチック材料製のパッケージ中に」,かつ,(B)「保存安定性を備えたパッケージ」に含む(保存する)ことが特定されているのに対し,引用例1発明ではこのような特定はされていない点。
【要旨】

主 文
原告の請求を棄却する。(他略)
裁判所の判断
1. 相違点(A)に係る構成の容易想到性について

技術常識を考慮すれば,引用例1発明のポビドンヨードを含有する凍結乾燥させたリポソーム固体は,医薬製剤として使用されるものである以上,長期間安定に保存できる容器に入れることは自明の課題であり,その容器の材質として,医薬品の容器として通常用いられているガラス又はプラスチック等の材質の中から長期間安定に保存できるものを当業者が選択するものということができる。~さらに,薬剤のキャリアーとしてのリポソームについて,これを凍結乾燥させることによって医薬品として使用するに足りる程度の保存安定性が得られることは,周知の事項である。~凍結乾燥させたリポソームが,合成樹脂と反応する等の合成樹脂容器では保存できない事情があることをうかがわせるに足りる証拠は見当たらない。そして,これらのことに照らすと,当業者であれば,引用例1発明のポビドンヨードを含有する凍結乾燥させたリポソーム固体も,引用例2のポビドンヨード粉末と同様に,特にガラス容器に保存する必要はなく合成樹脂容器に保存することもできることに想到することは容易であり,医薬品の容器として通常用いられているガラス又はプラスチック等の材料の中から,引用例2においてポビドンヨード粉末を保存できるとされた合成樹脂容器(「プラスチック材料製のパッケージ」に相当する。)を保存容器として選択し,相違点(A)の構成に至ることは,当業者が容易に想到し得たものといえる。

2. 相違点(B)に係る構成の容易想到性について

引用例1発明におけるヨードホール含有乾燥リポソーム製薬組成物について,保存容器の素材の如何にかかわらず本願発明の「保存安定性を備えた」を満足するとして,相違点(B)を実質的な相違点ではないと判断した審決には,この点において誤りがあるといわざるを得ない。~しかしながら,引用例1発明において,相違点(A)に係る本願発明の構成とすることに当業者は容易に想到し得たものであり,それと同時に相違点(B)に係る本願発明の構成も達成されるものであるから,引用例1発明において,相違点(B)に係る本願発明の構成とすることも当業者が容易になし得たものといえる。したがって,本願発明は,引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものというべきであるから,審決の判断に結論において誤りがあるということはできない。相違点(B)の判断に関する審決の上記誤りは,審決の結論に影響するものではない。
【コメント】

出願人自らの出願が引用例となり、進歩性が否定された。欧州でも同じ引用例1(特表2002-516265; WO99/60998)が審査で問題となったが成立(EP1479379B1)。

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