Jan 18, 2014

2014.01.15 「興和 リバロ後発品 特許権・商標権侵害訴訟を提起」

興和は、同社が保有する商標に基づき、当該商標権の侵害のおそれのある高コレステロール血症治療剤「リバロ」(一般名:ピタバスタチンカルシウム)の後発品製造販売会社に対し、商標権侵害行為の差し止めを求める訴訟を、日産化学は、相模化成工業、日医工、寿製薬に対し、同社が保有する当該有効成分の結晶形についての特許権侵害行為の差し止めを求める訴訟を、1月15日付で東京地裁に提起しました。
今回は、2013年12月25日付で東京地裁に提起した特許権侵害訴訟(2013.12.25 「興和 リバロ後発品 特許侵害訴訟を提起」)に引き続き 2回目の措置となります。

参考:

商標権侵害訴訟提起ということで、IPDLで調べると、興和株式会社が権利者である登録商標または商標出願として、例えば下記のようなものがある。

  • 「LIVALO」(指定商品: 薬剤等): 登録番号第4306418号
  • 「リバロ」(指定商品: 薬剤等): 登録番号第4600557号
  • 「LIVALO KOWA」(指定商品: 薬剤): 登録番号第4694419号
  • 「Livalo」(指定商品: 薬剤): 登録番号第4937207号
  • 「リバ朗」(指定商品: 薬剤等): 登録番号第5308105号
  • 「PITAVA」(指定商品: 薬剤): 登録番号第4942833号
  • 「ピタバ」(指定商品: 薬剤): 商願2013-80944(出願日2013.10.17)
  • 「ピタバス」(指定商品: 薬剤): 商願2013-080945(出願日2013.10.17)

しかし、一方で、共和薬品工業株式会社が下記商標出願をしていた。
  • 「ピタバ」(指定商品: 薬剤): 商願2013-084267(出願日2013.10.28)
  • 「ピタバ1アメル」(指定商品: 薬剤): 商願2013-084570(出願日2013.10.29)
  • 「ピタバ2アメル」(指定商品: 薬剤): 商願2013-084571(出願日2013.10.29)
  • 「ピタバ3アメル」(指定商品: 薬剤): 商願2013-084572(出願日2013.10.29)

また、キョーリンリメディオ株式会社が下記商標出願をしていた。
  • 標準文字商標 「ピタバ」(指定商品: 薬剤): 商願2013-085199(出願日2013.10.30)

販売されている後発品の本体表示(表)として下記のようなものがある。これらが果たして興和の登録した商標権の侵害となるかどうか。


ところで、上記リストにあった興和の登録商標「リバ朗」(指定商品: 薬剤等、登録番号第5308105号)の正体はこのゆるキャラ?のようだ(登録5308107)。

Jan 9, 2014

オルメサルタン(Olmesartan)のパテントクリフ

第一三共バリューレポート2013によれば、第3期中期経営計画の経営課題は、「オルメサルタンのパテントクリフを越え、持続的成長を実現する」ために、抗血小板剤プラスグレル・抗凝固剤エドキサバンにいかにスムーズにつないでいくか、ということである。オルメサルタンのマーケティング/セールスのグローバル戦略として、欧米市場では、配合剤へのシフトを中心としたライフサイクルマネジメントを展開する。特に欧州では、より長く独占販売期間を確保できるセビカー、セビカーHCTへのシフトを加速させる。新興国では市場開拓の余地がかなり残っており、中国でのセビカー発売を機に継続的な成長を図るなど、オルメサルタンのポジション強化に努める。日本では引き続き、降圧効果の強さや効果の持続性、あるいは心・腎保護作用を有するといった、同じタイプの高血圧治療剤の中でもベストインクラスのプロフィールを訴求し、また低用量5mgから高用量40mgまでの幅広い治療オプションを提供できる薬剤であることをアピールしていく。

Benicar(オルメサルタン単剤)の米国での承認(2002年4月25日)から既に10年以上経過しており、Orangebookによれば、BenicarのOrangebook収載特許は2つ。ひとつはオルメサルタンの化合物特許(5,616,599)であり、2016年には満了する。もうひとつは、6,878,703だが、delistがrequestされている。

オルメサルタンの配合剤としては下記製品が米国で上市されている。
  • BENICAR HCT: 有効成分が、HYDROCHLOROTHIAZIDE; OLMESARTAN MEDOXOMIL。Orangebook収載特許は2016に満了する5,616,599と6,878,703(delist requested)。
  • AZOR: 有効成分が、AMLODIPINE BESYLATE; OLMESARTAN MEDOXOMIL。Orangebook収載特許は2016に満了する5,616,599のみ。
  • TRIBENZOR: 有効成分が、AMLODIPINE BESYLATE; HYDROCHLOROTHIAZIDE; OLMESARTAN MEDOXOMIL。Orangebook収載特許は2016に満了する5,616,599のみ。

日本の化合物特許(登録番号: 2082519、公告番号: 特公平07-121918)は存続期間延長登録され(出願番号2004-700025、2004-700026、2004-700027、2010-700081、2010-700082。いずれも5年の延長)、存続期間満了日は2017年2月21日となっている。

つまり、オルメサルタン製品は単剤及び配合剤も含めて2016年に米国特許が満了、日本でも化合物特許が2017年に満了し、第一三共は、いわゆるオルメサルタンのパテントクリフに直面することになる。

第一三共バリューレポート2013より:


オルメサルタン(olmesartan):
    三共(現:第一三共)が見出したアンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬であり、イミダゾール環カルボキシル基をエステル化してプロドラッグとした化合物(CS-866、オルメサルタン メドキソミル、olmesartan medoxomil)。「高血圧症」を効能・効果として日本では2004年1月29日に10mg錠及び20mg錠について承認された。日本での販売名はオルメテック。米国の販売名はBenicar。
参考:

Jan 4, 2014

2012.12.25 「塩野義 AstraZeneca Crestorのロイヤリティーの枠組みの契約変更へ」

塩野義(Shionogi)は、2013年12月25日の取締役会で、AstraZenecaから塩野義に支払われている高コレステロール血症治療薬Crestor®のロイヤリティーの枠組みを2014年1月1日から変更するための契約を両社間で締結すること等について決議した。新たな枠組みに関する契約の締結後、ロイヤリティーの料率と受取期間は下記のとおり変更される。

(i) 2014年から2016年までのロイヤリティー料率が、従来のロイヤリティー料率から数%を減少させた料率へ変更される。

(ii) ロイヤリティーの受取期間は、現在の2016年までから変更後には2023年までへ、7年間延長される。また、現在は設定されていないが、今回の契約変更により、2014年から2020年までの間、塩野義が受け取るロイヤリティーに年間数億ドルの最低受取額が設定される。

参照:

Rosuvastatinの米国での承認(2003年8月12日)から既に10年が経過しており、Orangebookによれば、収載特許のうち塩野義が唯一保有している特許(Rosuvastatinを包含する化合物特許)(RE37314: 5,260,440のreissue patent)も2016年には満了する。

U.S. Securities and Exchange Commissionのwebsiteから得られる塩野義とZenecaの間で1998年4月20日付けで締結されたライセンス契約情報によれば、塩野義は契約上定義された特許(米国であれば5,260,440)の満了日か、上市から10年、のいずれか遅い日までロイヤリティーを得ることができる枠組みになっていることから、米国におけるロイヤリティー受取期間は2016年までであることがわかる。

各年度の決算短信によれば、クレストールのライセンス収入は下記のように推移しているが、2016年でロイヤリティー収入が途絶えたとき、いわゆる「クレストールクリフ」、へのリスクヘッジとして今回の契約変更を行い、その衝撃をできるだけ緩和させて乗り切ろうという経営判断をしたということになる。

2013年度: ???億円
2012年度: 630億円
2011年度: 647億円
2010年度: 642億円
2009年度: 500億円
2008年度: 343億円
2007年度: 298億円
2006年度: 194億円
2005年度: 81億円