May 9, 2015

2015.01.26 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 判定2014-600029

新規有効成分(普通錠)の承認に基づく延長特許の効力はOD錠に及ぶ?: 判定2014-600029

【背景】

請求人(沢井製薬)が、ナフトピジルOD錠「サワイ」は、旭化成ファーマが保有する「良性前立腺肥大における排尿困難症を治療するためのナフトピジルの用途」に関する特許第1878494号の特願平11-700022により存続期間が延長された特許の技術的範囲に属しない、との判定を求めるというもの。

【特許庁の判断】

特許庁は、
「判定について、特許法71条1項には「特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。」と規定されている。そして、この規定に基づき判定を求めることができる対象である「特許発明の技術的範囲」については、平成14年改正前の特許法70条1項に「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定され、同2項には「前項の場合においては、願書に添付した明細書の特許請求の範囲以外の部分の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。」と規定されている。
これに対して、本件特許第1878494号の特許請求の範囲及び明細書の特許請求の範囲以外の部分(図面の添付はない)の記載は、特願平11-700022号に基づく存続期間の延長(登録日:平成11年9月22日)の前後において変わらないのであるから、「特願平11-700022号により存続期間が延長された」という事実は、特許法70条の規定に基づいてなされるものである、本件特許発明の技術的範囲の判断には影響を及ぼさない。
よって、本件判定の請求の趣旨は、「イ号説明書に示す「ナフトピジルOD錠「サワイ」」は、特許第1878494号発明の技術的範囲に属しない、との判定を求める」ものであると解し、以下判断を行う。」
と前置きしたうえで、本件請求項に係る発明とイ号物品を対比した結果、イ号物品は、本件請求項に係る発明の構成要件を充足するから、特許第1878494号発明の技術的範囲に属する、と判定した。

なお、特許庁は、
「判定請求書において、請求人は、存続期間が延長された特許権の効力は特許法68条の2に基づいて、その及ぶ範囲が解釈される、との前提の下、イ号物件には本件特許権の効力が及ばない旨の判定を求めているようであるが、特許法68条の2の規定による特許権の効力が及ぶ範囲について、特許庁に判定を求めることができる旨の規定は特許法に存在しないから、特許法68条の2の規定による本件特許権の効力が及ぶ範囲について、請求人は、特許庁に対して判定を求めることはできない。」
として、延長された特許権の効力が及ぶ範囲については判断をしなかった。

【コメント】

特許庁は、他の判定事件と同様に、延長された特許権の効力が及ぶ範囲については判断しなかった。
ナフトピジル(Naftopidil)を有効成分とする前立腺肥大症に伴う排尿障害を効能効果とする商品名フリバス(Flivas)®錠の承認(1998年12月25日)に基づき同特許期間が4年2月17日延長された(特願平11-700022号、存続期間満了日2014年8月18日)。つまり、当時、延長登録において処分の対象となった物は「ナフトピジル」であったが、承認された製品はフリバス錠であり、OD錠ではなかった。フリバスOD錠への製剤変更、すなわちOD錠として初めての承認は2006年3月15であるが、J-PlatPatの範囲指定検索で調べる限り、OD錠承認に基づき同特許の期間延長出願はされていないようである。一方、イ号物品は、「ナフトピジルOD錠「サワイ」」であった。新規有効成分の最初の承認(製品としてはOD錠ではなく通常の錠剤)に基づいて延長された物質特許権の効力や用途特許権の効力は、その後ジェネリックが承認を受けたOD錠に及ぶのかどうか・・・。

参考:

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