Jun 27, 2015

2015.04.13 「スキャンティボディーズ・DSファーマバイオメディカル v. エフ.ホフマン-ラ ロシュ」 知財高裁平成26年(行ケ)10139; 平成26年(行ケ)10085

hPTHのアッセイキット: 知財高裁平成26年(行ケ)10139; 平成26年(行ケ)10085

【背景】

スキャンティボディーズ(甲事件原告)が保有する「完全型副甲状腺ホルモンの測定方法ならびに副甲状腺疾患および慢性腎不全患者の骨状態の識別方法」に関する特許第4132677号(WO2000/042437)について、エフ.ホフマン-ラ ロシュ(被告)が請求した特許無効審判において、無効とした審決(無効2012-800004)の取消訴訟。前記審決に参加したDSファーマバイオメディカル(乙事件原告)は、日本国内における本件特許の専用実施権者である。審決理由は甲8文献(Lepage et al., 1998, Clin. Chem., 44(4): 805-809)に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明できるから進歩性違反というもの。

請求項1:
ヒト完全型副甲状腺ホルモンをアッセイするためのキットであって,
a)Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met(配列番号4)からなるヒト完全型副甲状腺ホルモンの初期ペプチド配列に特異的な第1の抗体又は抗体断片であって,該初期ペプチド配列中のSer-Val-Ser-Glu-Ile-Gln((1~6)PTH)と反応し,かつ(1~6)PTHのうちの少なくとも4つのアミノ酸を反応部位の一部とする,標識された第1の抗体又は抗体断片と,
b)前記ヒト完全型副甲状腺ホルモンのアミノ酸配列34から84(配列番号3)を認識する第2の抗体又は抗体断片とを含み,阻害性の非(1~84)副甲状腺ホルモン断片を検出することなく,
生物学的サンプル中のヒト完全型副甲状腺ホルモン量を測定するキット。
甲8発明の内容:
インタクトなヒト副甲状腺ホルモン(I-PTH)をアッセイするニコルス(NL),インクスター(IT)およびダイアグノスティックシステムラボラトリーズ(DSL)のアッセイキットであって,
a)125Iのシグナルで標識された抗アミノ末端シグナル抗体と
b)抗カルボキシ末端捕捉抗体
を含み,尿毒症患者試料中のインタクトなヒト副甲状腺ホルモン(I-PTH)濃度を測定するキット。
【要旨】

主 文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。(他略)
裁判所の判断(抜粋)
「甲8文献には,PTH(7-84)には含まれないPTHの一番端のN末端部位に対する抗体を用いれば,PTH(7-84)を検出することのないインタクトPTH測定用キットを得ることができることが強く示唆されているものと認められる。
以上によれば,当業者であれば,甲8文献が示唆している上記の技術的課題を解決すべく,PTH(7-84)には含まれないPTHの一番端のN末端部位であるPTH(1-6)に対する抗体を実際に作成し,それを甲8文献に記載された抗アミノ末端シグナル抗体として用いることにより,PTH(7-84)を検出することのないインタクトPTH測定用キット,すなわち「阻害性の非(1~84)副甲状腺ホルモン断片を検出することなく,生物学的サンプル中のヒト完全型副甲状腺ホルモン量を測定する」キットとし,訂正発明1に係る相違点1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものというべきである。」
「より正確な診断や識別を可能とする効果自体は,従来のインタクトPTH測定用キットが測り込んでいた非(1-84)PTH断片を検出しないという,甲8文献の記載から当業者が予測可能な程度のものである。さらに,原告らが主張する,完全型と阻害性断片との量比もしくは差分を用いた特定の診断ないし識別手法に基づく効果は,訂正発明1である完全型PTH量を測定するキット自体が奏する効果とは認められない。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。」
【コメント】

本件発明キットの発想は引用文献に強く示唆されていたということで進歩性が否定された。
欧州では成立特許(EP1151307)に対して異議申立され無効となっている。

参考:


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