Feb 25, 2015

プラビックス®(クロピドグレル硫酸塩)に関する特許権について

サノフィ(株)は、クロピドグレル硫酸塩(clopidogrel sulfate)を有効成分とする抗血小板剤「プラビックス錠®25mg」、「プラビックス錠®75mg」(以下「プラビックス錠®」)を製造販売しています。2006年1月23日に承認され、再審査期間は、「末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制」(2016年9月27日に終了)を除き、2014年1月22日に終了しています。

2015年2月16日、厚労省は、同年6月薬価追補収載に向け、プラビックス後発品について32社に承認を与えました。

2015年2月10日付のサノフィ 「クロピドグレル硫酸塩に関する特許権について」によれば、クロピドグレル硫酸塩に関する物質特許は既に満了していますが、サノフィ・グループは、プラビックス錠®の用途・結晶形・製法特許等、2015年2月以降も有効に存続する特許権を保有しているとのことです。

また、サノフィ・グループが保有するクロピドグレル原薬のⅡ型結晶に関する特許権(日本特許第3641584号、2024年6月10日満了)に関し、同社は最終製品中に含まれるクロピドグレル硫酸塩の結晶形を高感度で測定する方法を既に確立しているとのことです。

参考:

Feb 22, 2015

2014.11.28 「興和 v. 東和薬品」 東京地裁平成26年(ワ)772

ピタバスタチンのピタバとPITAVA(その4): 東京地裁平成26年(ワ)772

【背景】

薬剤を指定商品とする商標権(第4942833号)を有する原告(興和)が、被告(東和薬品)が薬剤に付した被告標章「ピタバ」が原告の商標権の登録商標(PITAVA)に類似すると主張して、被告に対し、被告標章を付した薬剤販売の差止め及び廃棄を求めた事案。

【要旨】

主 文
原告の請求をいずれも棄却する。
裁判所の判断
「被告各商品のPTPシートに付された「ピタバ」という被告各標章は,医薬品の販売名等の類似性に起因する調剤間違いや患者の誤飲等の医療事故を防止する目的で被告各商品の有効成分がピタバスタチンカルシウムであることの注意を喚起するためにその略称をPTPシートに表記されたものであると認められ,被告各商品のような医療用医薬品の主たる取引者,需用者である医師や薬剤師等の医療関係者及び患者が被告各商品のPTPシートに接したときにも,その耳部分に表示された「トーワ」ないし被告の社名である「東和薬品」の文字やロゴマークと相まって,そのような表記として認識されると認めるのが相当である。
したがって,被告各商品のPTPシートに付された被告各標章は,商標としての自他商品識別機能若しくは出所表示機能を果たす態様で使用されているということはできず,本件商標の「使用」に該当すると認めることはできない。
このことは,被告横二段標章を一体として被告の標章とみた場合も同様である。
~以上のとおりであるから,本件における被告による被告各標章ないし被告横二段標章の表示は商標権者の登録商標を使用する権利(商標法25条)の侵害行為又は侵害とみなされる行為(同法36条1項,37条)には該当しない。」
【コメント】

この類の商標権の権利行使は無理筋であろう。

関連判決:

2014.11.28 「興和 v. 小林化工」 東京地裁平成26年(ワ)767

ピタバスタチンのピタバとPITAVA(その3): 東京地裁平成26年(ワ)767

【背景】

薬剤を指定商品とする商標権(第4942833号)を有する原告(興和)が、被告(小林化工)が薬剤に付した被告標章「ピタバ」が原告の商標権の登録商標(PITAVA)に類似すると主張して、被告に対し、被告標章を付した薬剤販売の差止め及び廃棄を求めた事案。

【要旨】

主 文
原告の請求をいずれも棄却する。
裁判所の判断
「被告各商品である錠剤に付された「ピタバ」という被告各標章は,医薬品の販売名等の類似性に起因する調剤間違いや患者の誤飲等の医療事故を防止する目的で,被告各商品の有効成分がピタバスタチンカルシウムであることの注意を喚起するためにその略称を錠剤の表面に記載したものであると認められ,被告各商品のような医療用医薬品の主たる取引者,需用者である医師や薬剤師等の医療関係者及び患者が被告各商品に接したときにも,被告各商品に付された被告の会社コードでありかつ登録商標でもある「MEEK」等の表示と相まって,そのような表記として認識されると認めるのが相当である。
したがって,被告各商品に付された被告各標章は,商標としての自他商品識別機能若しくは出所表示機能を果たす態様で使用されているということはできず,本件商標の「使用」に該当すると認めることはできない。
~よって,本件における被告による被告各標章の表示は商標権者の登録商標を使用する権利(商標法25条)の侵害行為又は侵害とみなされる行為(同法36条1項,37条)には該当しない。」
【コメント】

この類の商標権の権利行使は無理筋であろう。

関連判決:

Feb 1, 2015

2014.12.24 「ユーロ-セルティック v. 特許庁長官」 知財高裁平成26年(行ケ)10024

ヘルペスの治療のためのPVP-ヨウ素リポソームの使用知財高裁平成26年(行ケ)10024

【背景】

「ヘルペスの治療のためのPVP-ヨウ素リポソームの使用」に関する特許出願(特願2006-501821; 特表2006-518719; WO2004/073682)の拒絶審決(不服2010-29390号)取消訴訟。争点は進歩性。

請求項1:
単純疱疹感染又は帯状疱疹感染によって引き起こされる皮膚障害,水疱及び痒みの治療用医薬製剤であって,該製剤が,薬学的に許容されるリポソームと併せて薬学的に有効な量のヨウ素またはヨウ素を元素の形で含有する少なくとも一つのヨウ素複合体を含有する,前記医薬製剤。
審決が認定した本願発明と引用発明の相違点
本願発明では製剤がヨウ素複合体と併せて薬学的に許容されるリポソームの含有されるものであるのに対し,引用発明では製剤がリポソームの含有されない10%水性溶液またはゲルである点(「相違点1」),及び,本願発明では治療対象の症状が皮膚障害,水疱及び痒みとされるのに対し,引用発明ではそれらの症状のうち皮膚障害が示されていない点(「相違点2」)
【要旨】

主 文
原告の請求を棄却する。(他略)
裁判所の判断
原告は、
「引用例1の目的ないし解決課題は,ポビドンヨードの溶液ないしゲルを用いたHSV感染症の治療であって,当該症状の治癒の過程で新たに生じ得る「望ましくない組織(瘢痕組織)」の形成やその回避を目的ないし解決課題とするものではないのに対し,引用例2の目的ないし解決課題は,「望ましくない組織(瘢痕組織)の形成の回避」であり,引用例1のと引用例2では,目的ないし解決課題が異なるから,引用発明に引用例2に記載された発明を組み合わせる動機付けは存在しな
い」
と主張した。

しかし、裁判所は、
「引用例2から,抗感染剤および抗炎症剤(特にポビドンヨードなどの防腐剤)用の担体としてリポソームを使用することにより,その有効成分の遅延放出が可能になり,かつ細胞表面との相互作用により所望の作用位置において長期的かつ局所的な活性が提供されること,リポソームを担体として使用した「リポソームPVPヨード」は,水性PVPヨードと比較して,長期細胞毒性実験における許容度が高いことを理解できる。
一方で,引用例1には,引用例1の予備試験では,対象患者に「就寝時」に,ゲルを膣に挿入器具で挿入するとともに,外部病変部に綿棒3本を使用するように指示され,「毎朝」,ポビドンヨード溶液で灌水するとともに,外部病変部に綿棒を再び使用するように指示されていること,治癒の完了までに,再発の場合には2~8日間を要し,初感染の場合には7~14日間を要したことが記載されていることに照らすと,引用発明の医薬製剤においても,有効成分であるポビドンヨードの遅延放出が可能になり,かつ細胞表面との相互作用により所望の作用位置において長期的かつ局所的な活性が提供されることが望ましいことは,当業者にとって自明であるといえる。
そうすると,引用例1及び引用例2に接した当業者においては,引用発明である医薬製剤に含有される薬理学的に有効な量のヨウ素を含有するヨウ素複合体について,有効成分の長期的かつ局所的な活性を得るために,引用例2に記載されたリポソーム粒状担体と組み合わせて含有する製剤とすることの動機付けがあるものと認められるから,相違点1に係る本願発明の構成を容易に想到することができたものと認められる。
したがって,原告の上記主張は理由がない。」
と判断した。
【コメント】

出願人自らの出願が引用例2となり、進歩性が否定された。欧米での権利化も、現時点でなかなか苦労しているようである。

関連記事:

2014.12.18 「ユーロ-セルティック v. 特許庁長官」 平成26年(行ケ)10059