May 8, 2017

2017.03.23 「DKSH v. ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ・中外製薬」 知財高裁平成28年(行ケ)10101

マキサカルシトールの製造方法の進歩性: 知財高裁平成28年(行ケ)10101

【背景】

ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ及び中外製薬が保有する「ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法」に関する特許(第3310301号)に対して、DKSHがした無効審判請求を不成立とした審決(無効2015-800057)の取消訴訟。争点は進歩性の有無及びサポート要件違反の有無。

【要旨】

請求棄却。進歩性の有無についての裁判所の判断(一部)は下記のとおり。

原告は、
「甲1発明は,「甲1記載の化合物(9)を用い,SN2反応を経由してマキサカルシト-ル(1α,25-(OH)2-22-オキサ-D3。以下「OCT」ともいう。)を製造する方法」と認定されるべきである。…甲1には「化合物(9)を用いたOCTの製造方法」の発明が記載されていることが認められるところ,第1級ハロゲン化アルキルとアルカリ金属アルコキシドのような求核性化合物との反応がSN2反応となることは,技術常識であるから,「化合物(9)を用い,SN2反応を経由するOCTの製造方法」は,甲1に記載されているに等しい事項であり,原告主張の甲1発明が認定できる。仮に,ステロイド-20(S)-アルコールからOCTを得るまでの工程として,審決認定の甲1発明以外に具体的な記載が甲1にないとしても,審決認定の甲1発明の上位概念たる原告主張の甲1発明を認定することは,当然に許される。」
と主張した。

しかし、裁判所は、
「ウィリアムソン反応がSN2反応の一種であることが技術常識であったとしても,甲1に,ウィリアムソン反応ではない反応も含むSN2反応について記載されているとは認められず,また,ウィリアムソン反応ではない反応も含むSN2反応が,甲1に記載されているに等しい事項であるとも認められないのであって,甲1に,「甲1記載の化合物(9)を用い,SN2反応を経由して,OCTを製造する方法」が記載されているとは認められないし,これが記載されているに等しい事項であるとも認めることはできない。
また,以上に述べたところからすると,甲1発明を原告が主張するような上位概念として認定することも相当ではない。」
と判断した。

また、原告は、
「甲1発明と甲2に記載された事項とは,技術分野,課題,作用・機能が共通する」
と主張した。

しかし、裁判所は、
「甲1発明と甲2に記載された事項の技術分野,課題,作用・機能が共通するのは,前記イ(ウ)a~cのとおり,アルコール類と第1級のハロゲン化アルキルとの反応であり,その反応がいずれもSN2反応であるという限度においてである。アルコール類も第1級のハロゲン化アルキルも多数存在し,SN2反応をする化合物は,ウィリアムソン反応の対象となる化合物に限られないにもかかわらず,前記の限度での共通性をもって,甲1発明に甲2に記載された事項を適用する動機付けと認めることはできない。」
と判断した。

【コメント】

原告は、引用例に記載された発明から、技術常識に基づいて記載されているに等しい事項として、或いは、上位概念として、原告主張の発明が認定されるべきであることを主張したが、裁判所は認めなかった。

参考:

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