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2008/01/20

2006.06.26 「三共 v. テバ」 知財高裁平成17年(行ケ)10781

プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(product by process claim)は公知プロダクトにより新規性を失うか?: 知財高裁平成17年(行ケ)10781

【背景】
製造方法に特徴を有する「プラバスタチンナトリウムを含有する組成物」の原告(三共)の特許発明(特許第3463875号)について、先願明細書(国際出願PCT/US01/31230(国際公開WO02/030415。出願人はテバであり、日本では特表2004-510817号公報として公表、登録となった(特許3737801))に記載された発明と同一であるから特29条の2に違反するとされ無効とされた審決の取消訴訟。

請求項1:
「菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から,有機溶媒を用いて,プラバスタチン類を抽出する工程において,有機溶媒として,
式CH3CO2R(上記式中,Rは炭素数3又は4のアルキル基を示す。)を有する溶媒を使用し,並びに,不純物を無機酸を用いて分解する工程,不純物を無機塩基を用いて分解する工程及び結晶化を行う工程を組み合わせることにより得られる,一般式(I)

[化1]
を有する化合物を,プラバスタチンナトリウムに対して0.1重量%以下の量で含有することを特徴とする,工業的に生産されたプラバスタチンナトリウムを含有する組成物。」

【要旨】
「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」であり、結局、組成物そのものの発明ということになる。従って、先願明細書に記載された発明と同一であり、特29条の2違反である。三共は、発明未完成等を理由に引例は29条の2先願の適格性が無い旨主張したが、裁判所は認めなかった。
請求棄却。

【コメント】
プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(product by process claim)は、いくらプロセスを限定しても、プロダクトそのものとして特許性の判断がなされる。
一方、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(product by process claim)の権利解釈についても同様に、特許権の効力がクレームの製法に限定されるとする「限定説」よりも、製法がどうであれプロダクトそのものが同一であれば特許権の効力が及ぶとする「同一性説」が原則と考えた方がよいだろう。
本件は、不純物が議論された点でも興味深い。

参考:

  • 特許・実用新案審査基準 第Ⅱ部 第2章 新規性・進歩性: 「1.新規性、1.5.2 特定の表現を有する請求項における発明の認定の具体的手法」より抜粋。

    (3) 製造方法によって生産物を特定しようとする記載がある場合(プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)

     請求項中に製造方法によって生産物を特定しようとする記載がある場合には、1.5.1(2)にしたがって異なる意味内容と解すべき場合を除き、その記載は最終的に得られた生産物自体を意味しているものと解する(注)。したがって、請求項に記載された製造方法とは異なる方法によっても同一の生産物が製造でき、その生産物が公知である場合は、当該請求項に係る発明は新規性が否定される。

     (注)このように解釈する理由は、生産物の構造によってはその生産物を表現することができず、製造方法によってのみ生産物を表現することができる場合(例えば単離されたタンパク質に係る発明等)があり、生産物の構造により特定する場合と製造方法により特定する場合とで区別するのは適切でないからである。したがって、出願人自らの意思で、「専らAの方法により製造されたZ」のように、特定の方法によって製造された物のみに限定しようとしていることが明白な場合であっても、このように解釈する。


  • 2006.02.24 「SmithKline Beecham v. Apotex」 CAFC Docket No.04-1522


  • メバロチン: 三共(第一三共)のメバロチン®(Mevalotin、一般名: プラバスタチンナトリウム(pravastatin sodium)、高脂血症治療薬、HMG-CoA還元酵素阻害剤)の日本での特許切れが2002年であり、後発品が既に参入している。 ちなみに、第一三共株式会社の2008年3月期中間決算短信及び補足資料(2007年11月6日発表)によると、メバロチンの売上高は、2006年度において935億円であり、前年に比べ497億円減、2007年度も売上減となる予測である。米国での特許切れによるジェネリック参入の本格化が大きく影響したようである(海外ではBristol-Myers Squibbが販売。販売名はPravachol®)。
    スタチンではリピトール®(Lipitor、一般名: Atorvastatin)のシェアが圧倒的。

    メバロチンの世界売上高推移

    2003年度:2054億円
    2004年度:1667億円
    2005年度:1432億円
    2006年度: 935億円
    2007年度: 790億円(予測)

2008/01/09

2006.02.24 「SmithKline v. Apotex」 CAFC Docket No.04-1522

プロダクト・バイ・プロセス・クレームは公知プロダクトにより新規性を失うか?: CAFC Docket No.04-1522

【背景】
パロキセチン塩酸塩(paroxetine hydrochloride)を抗うつ剤として販売(販売名: パキシル(Paxil)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(selective serotonin reuptake inhibitor: SSRI))しているSmithKlineは、ANDA申請したApotexに対して、新規な方法により製造されるパロキセチンをプロダクトバイプロセスによりクレームした米国特許(6,113,944)を侵害しているとして訴訟を提起した。

Claim 1. A pharmaceutical composition in tablet form containing paroxetine, produced on a commercial scale by a process which comprises the steps of:
a) dry admixing paroxetine and excipients in a mixer to form a mixture; or
b) dry admixing paroxetine and excipients, compressing the resulting combination into a slug material or roller compacting the resulting combination into a strand material, and milling the prepared material into a free flowing mixture; and
c) compressing the mixture into tablets.

該特許が、パロキセチンに関する先願米国特許(4,721,723)により新規性を失っているか否かが争われた。

【要旨】
たとえ、プロダクトクレームが製法限定されていたとしても、特許性はプロダクト自身で判断される。従って、プロダクト・バイ・プロセス・クレームは公知技術からプロダクトを取り戻すことはできない。プロダクト・バイ・プロセス・クレームは公知プロダクトにより新規性を失うと判断された。

【コメント】
プロダクト・バイ・プロセス・クレームは、いくらプロセスを限定しても、プロダクトそのものとして特許性の判断がなされる。

参考: