カプセル及びPTPシートの外観は商品等表示?: 知財高裁平成18年(ネ)10011
(原審: 2006.01.18 東京地裁平成17年(ワ)5651 標章目録)
【背景】
被控訴人販売のジェネリック医薬品のカプセル及びPTPシートの色彩構成が、エーザイ(控訴人)販売の先発医薬品(胃炎・胃潰瘍治療剤「セルベックスカプセル50mg」、有効成分はテプレノン(teprenone))と類似しているため、不競法2条1項1号の「商品等表示」に当たり、不正競争行為に該当する、と主張して、エーザイがジェネリック医薬品の販売等の差止め等を請求した。
エーザイ商品のカプセル及びPTPシートの色彩構成は、2色の組合せからなるカプセル及び銀色地に青色の文字等が書かれているPTPシートという色彩構成だった。
【要旨】
エーザイ商品の表示(配色を含む)は、不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」に当たらない。
控訴棄却(エーザイ敗訴)。
【コメント】
カプセル及びPTPシートの色彩構成に基づいて不正競争に該当すると主張してジェネリック医薬品を排除することは、よほどの識別力を有していない限り困難だろう。
参考:
同内容(エーザイ敗訴)の判決:
2008/03/11
2006.09.27 「エーザイ v. 東和薬品」 知財高裁平成18年(ネ)10011
Categories *Case2006, Trademark/Unfair competition, ★, ・Package/Container
2007/12/19
2005.10.26 「メルク・ホエイ v. 三共」 知財高裁平成17年(行ケ)10418
「メバスタン」は「メバロチン」と混同するか?: 知財高裁平成17年(行ケ)10418
【背景】
メルク・ホエイ(原告)は、「メバスタン」の片仮名文字と「MEVASTAN」の欧文字とを上下二段に書してなり、指定商品を第5類「薬剤」とする登録商標の商標権者であったが、登録商標「メバスチン」(引用E商標)及び登録商標「MEVASTIN」(引用F商標)(いずれも指定商品「薬剤」含む)と商4条1項11号に該当し、三共(被告)が使用する登録商標「メバロチン」等(引用A~D商標)(いずれも指定商品「薬剤」含む)と商4条1項15号に該当するとした無効審決に対して取消訴訟を提起した。
【要旨】
裁判所は、
商4条1項11号該当性について、「称呼において互いに相紛らわしい類似した商標ということができる。なお,原告は,特許庁の審査基準を引用して,本件商標と引用E,F商標は,審査基準に照らしても称呼上明らかに非類似の商標であると主張する。しかし,当該審査基準の趣旨はともかくとして,審査基準は審査官による審査の際の一つの目安,指針を示したものにすぎず,商標の類否はあくまで個々具体的に判断すべきものであるから,審査基準に依拠してその類否を云々する原告の主張は失当である。原告は、本件商標に接する取引者・需要者は医師,薬剤師等の医薬品の取引に相当の注意力を有する専門家であるから,混同されるおそれは皆無であると主張する。確かに,医師や薬剤師は,医薬の知識を有する専門家であり,薬剤の投与等について高度の注意力が要求されている者であるが,だからといって,およそ薬剤の取引者・需要者である医師,薬剤師など医療関係者であれば,一般的に薬剤について混同するおそれはないということはできないのであって,現に,後記のとおり,我が国の医療現場で,医師や薬剤師等の医療関係者において,名称の似た薬剤を誤って処方してしまう例が報告され,その数も決して少なくないことが認められる(乙52号証の1,53号証の1,2)のであるから,原告の主張は採用することができない。」
と判断した。
また、裁判所は同条項15号該当性の点についても検討しており、「メバ」の文字及び音部分が、取引者・需要者の注意を引く特徴的な部分に当たるとみることを妨げるべき事情は見当たらないとして、原告の主張を採用しなかった。
請求棄却。
【コメント】
三共(第一三共)のメバロチン®(Mevalotin、一般名: プラバスタチンナトリウム(pravastatin sodium)、高脂血症治療薬、HMG-CoA還元酵素阻害剤)の日本での特許切れが2002年であり、後発品が既に参入している。 後発品の商標を無効にしたとしても焼け石に水なのかもしれないが・・・。また、不正競争として訴えても良かったのでは(?)。ちなみに、第一三共株式会社の2008年3月期中間決算短信及び補足資料(2007年11月6日発表)によると、メバロチンの売上高は、2006年度において935億円であり、前年に比べ497億円減、2007年度も売上減となる予測である。米国での特許切れによるジェネリック参入の本格化が大きく影響したようである(海外ではBristol-Myers Squibbが販売。販売名はPravachol®)。
スタチンではリピトール®(Lipitor、一般名: Atorvastatin)のシェアが圧倒的。
参考:メバロチンの世界売上高推移2003年度:2054億円
2004年度:1667億円
2005年度:1432億円
2006年度: 935億円
2007年度: 790億円(予測)
Categories *Case2005, Trademark/Unfair competition, ★
2007/12/06
2005.02.24 「長生堂 v. 三共」 東京高裁平成16年(行ケ)341
「メバラチオン」は「メバロチン」と混同するか?: 東京高裁平成16年(行ケ)341
【背景】
長生堂(原告)は、「メバラチオン」の片仮名文字と「MEVALATION」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、指定商品を第5類「薬剤」とする登録商標の商標権者であったが、三共(被告)が使用する登録商標「メバロチン」等(引用A~D商標)(いずれも指定商品「薬剤」含む)と商4条1項15号に該当するとした無効審決に対して原告は取消訴訟を提起した。
【要旨】
裁判所は、
(1)引用商標の周知著名性、(2)引用商標の独創性の程度、(3)本件商標と引用商標の類似の程度、(4)商品環の関連性、需要者、(5)取引者の共通性、(6)混同を生ずる恐れを検討し、
「原告が本件商標を薬剤,特に高脂血症用薬剤に使用した場合には,その需要者,取引者において,被告あるいは被告と資本関係ないしは業務提携関係にある会社の業務に係る商品等と混同するおそれがあるということができる。本件商標が商標法4条1項15号に該当し,無効であるとの審決の判断には誤りはない。」
と判断した。
請求棄却。
【コメント】
三共(第一三共)のメバロチン®(Mevalotin、一般名: プラバスタチンナトリウム(pravastatin sodium)、高脂血症治療薬、HMG-CoA還元酵素阻害剤)の日本での特許切れが2002年であり、後発品が既に参入している。 後発品の商標を無効にしたとしても焼け石に水なのかもしれないが・・・。ちなみに、第一三共株式会社の2008年3月期中間決算短信及び補足資料(2007年11月6日発表)によると、メバロチンの売上高は、2006年度において935億円であり、前年に比べ497億円減、2007年度も売上減となる予測である。米国での特許切れによるジェネリック参入の本格化が大きく影響したようである(海外ではBristol-Myers Squibbが販売。販売名はPravachol®)。
スタチンではリピトール®(Lipitor、一般名: Atorvastatin)のシェアが圧倒的。
参考:メバロチンの世界売上高推移2003年度:2054億円
2004年度:1667億円
2005年度:1432億円
2006年度: 935億円
2007年度: 790億円(予測)
Categories *Case2005, Trademark/Unfair competition, ★
2007/11/11
2007.10.11 「大幸薬品 v. 和泉薬品」 大阪高裁平成18年(ネ)2387
正露丸/ラッパのマークには自他商品識別力あるか?: 大阪高裁平成18年(ネ)2387
【背景】 
原審: 2006.07.27 大阪地裁平成17年(ワ)11663
原告(大幸薬品)は、胃腸薬「正露丸」につき、類似の包装を使用した胃腸薬を製造販売している被告(和泉薬品)に対し、不競法2条1項1号又は2号の不正競争、また商標権侵害に当たると主張して、製造販売の差止め、包装の廃棄、損害賠償を請求した。
【要旨】
原告表示の中で自他商品識別機能を有するのは「ラッパの図柄」のみである。被告相当部分は「瓢箪の図柄」であり、誤認混同を生じない。また、「正露丸」は普通名称であり、商標権の効力は及ばない(商26条1項2号)。控訴棄却。
【コメント】
商標の自他商品識別力に注意。
大幸薬品プレスリリース: 2007.10.11 和泉薬品工業株式会社に対する 不正競争行為差止等請求控訴事件の大阪高裁判決について
なお、「正露丸」に関する商標については、商標登録当時においてすでにクレオソートを主剤とする胃腸用丸薬の普通名称となっていたものであるから登録無効であるとした高裁判決が最高裁で是認されている(1974.03.05 最高裁判決昭和46年(行ツ)97)。
Categories *Case2007, Trademark/Unfair competition, ★

