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2005.04.08 「SmithKline Beecham v. Apotex」 CAFC Docket No.03-1285, -1313

必然的に生成してしまう場合には、”inherently anticipated”?: CAFC Docket No.03-1285, -1313

【背景】

1975年、Ferrosan社はパロキセチン(paroxetine)及びその塩をクレームする’196特許を取得、その明細書中には無水物として塩酸パロキセチンの製造方法が開示されていた。その後、SmithKline Beecham(SKB)は該特許のライセンスを受け、より安定な結晶性の塩酸パロキセチン半水和物を見出し、該結晶形に関する米国特許第4,721,723(’723特許)を取得、FDA認可を得て販売(抗うつ薬、商標名Paxil)していた。

Apotexは塩酸パロキセチンの無水物をANDA申請、パラグラフIV証明を提出した。これに対しSKBは271(e)(2)に基づく侵害を主張し、連邦地裁に訴訟を提起。非侵害の略式判決に対してSKBが控訴した。

SKB社は、’196特許に従って塩酸パロキセチン無水物を製造すると、必然的に半水和物が製造されるので、少なくとも微量の半水和物を生産することになり、Apotex社は’723特許のクレーム1(量的限定のない塩酸パロキセチン半水和物結晶クレーム)を侵害することになると主張した。

【要旨】

PHC hemihydrateの存在は知られていなかったが、’196特許に従ってPHC anhydrateを製造すると、必然的にPHC hemihydrateが製造されるので、’723特許のクレーム1(量的限定のないPHC hemihydrateクレーム)は’196特許により新規性なく(inherently anticipated)、無効であるとされた。

【コメント】

2004.04.23 「SmithKline Beecham v. Apotex」 CAFC Docket No.03-1285について再審理され、上記判決内容に差し替えられた。

結晶特許で後発品の参入を阻止しようと試みたが失敗した事例。

新規結晶であっても公知結晶が変化して必然的に生成してしまう場合には、inherently anticipatedとされ、新規性なしと判断されかねないので注意。本事件のような場合では、量的限定のないクレームだけでなく、結晶純度について段階的なクレームを立ておくのもひとつの有効策なのでは。

パロキセチン(パロキセチン塩酸塩水和物、Paroxetine)は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: SSRI)であり、うつ病等の治療薬(商品名: パキシル, Paxil)としてグラクソ・スミスクライン社により販売されている。

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