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2007.07.05 「イミュネックス v. 国」 東京地裁平成19年(行ウ)56

年金の追納期限徒過: 東京地裁平成19年(行ウ)56

【背景】

原告が「後期段階炎症反応の治療用組成物」に関する特許権(特許第3122139)の第5年分の特許料納付期限の追納期限の経過後に第5年分の追納手続を行ったのに対し、特許庁長官が前記納付書について手続却下処分を行ったことについて、前記追納期限の徒過につき原告の責めに帰することができない理由(特112条の2第1項)があるとして、前記却下処分の取消を求めた事案である。

【要旨】

裁判所は、

「特許法112条の2第1項にいう「その責めに帰することができない理由」は,~天災地変や本人の重篤のような客観的理由により手続をすることができない場合のほか,通常の注意力を有する当事者が万全の注意を払ってもなお追納期間内に納付をすることができなかった場合を意味すると解するのが相当である。」

との一般原則を示した上で、本件について、

「C事務所は,本件特許権の年金管理を善良な管理者としての注意義務を尽くして遂行すべきところ,原告にかかる通知を行わなかったことについて過失があることは明らかである。~本来自らなすべき特許権の管理を,自らの責任と判断において,当該外部組織に委託して行わせたのであるから,当該外部組織の過失は,特許権者側の事情として,原告の過失と同視するのが相当であって,原告の主張は採用できない。」

と判断し、原告の主張を認めなかった。

請求棄却。

【コメント】

年金支払いや審査対応等の期限管理を怠ると致命的な結果になりかねない。

本特許は、内容からすると、関節リウマチ治療薬であるエンブレル(ENBREL、一般名:エタネルセプト、完全ヒト型可溶性TNFα / LTα レセプター製剤、Immunex社(現Amgen社)が、Wyeth社と共同で開発した。)の新規用途(喘息等の遅発型アレルギー反応抑制剤)の発明をカバーする特許だったようである。

本特許が後発品参入阻止に有効に働いていたとしたら・・・ゾッとする事件である。

参考:

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