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リリカ®用途特許を巡るジェネリックメーカーの動き

疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)を保護している用途特許(日本特許第3693258号)の有効性を巡り、先発メーカーのファイザー社(特許権者名義はワーナー-ランバート社)と複数のジェネリックメーカーが特許無効審判で争っている(無効2017-800003)。リリカ(Lyrica)®は、世界売上ランキングトップ20にも入っているブロックバスターだが、多くの国で既にジェネリックが参入し始めている。日本ではまだジェネリックが承認されておらず、2018年度の国内売上高は約1000億円といわれている(IQVIA発表)。

無効審判を請求したのは沢井製薬(請求日は2017年1月16日)。審判には、他のジェネリックメーカーも次々と参加を表明(15社)。リリカ®の再審査期間は2018年4月15日までで終了していることから、各ジェネリックメーカーは、上記特許の無効審決を得て、リリカ®のジェネリックの承認へと持ち込みたいと目論んでいたのかもしれないが、2019年8月15日の承認には至らなかったようだ。この特許は、20年の存続期間満了が2017年7月16日であったところ、効能・効果追加承認ごとに延長登録し、最長満了日は2022年7月16日。

リリカ®の特許権存続期間延長登録:

  • 2010年4月16日: リリカ®カプセル 25mg/75mg/150mg、「帯状疱疹後神経痛」を効能・効果として承認

    特許権存続期間延長登録: 特願2010-700105; 特願2010-700106; 特願2010-700107・・・延長期間はいずれも4年9月14日

  • 2010年10月27日: 「帯状疱疹後神経痛」を「末梢性神経障害性疼痛」に拡大承認

    特許権存続期間延長登録: 特願2011-700002; 特願2011-700003; 特願2011-700004・・・延長期間はいずれも5年

  • 2012年6月22日: 「線維筋痛症に伴う疼痛」の効能・効果を追加承認

    特許権存続期間延長登録: 特願2012-700107; 特願2012-700108; 特願2012-700109・・・延長期間はいずれも5年

  • 2013年2月28日: 「末梢性神経障害性疼痛」を「神経障害性疼痛」に拡大承認

    特許権存続期間延長登録: 特願2013-700062; 特願2013-700063; 特願2013-700064・・・延長期間はいずれも5年

無効審判の状況はというと、2019年2月28日になされた審決予告において、特許庁は、当業者は本件明細書に記載の薬理試験結果の記載に接しても、本件発明に係る鎮痛剤が「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」以外の請求項4に記載の各痛みに効果を有することを認識することができないなどとして、本件発明1~4に係る特許は無効理由1(実施可能要件違反)及び無効理由2(サポート要件違反)によって無効とすべきものであると判断している。これに対し、特許権者側は訂正請求書を提出(2019年7月1日)したようであり、ジェネリックメーカーが勝ち取りたい無効審決(または権利侵害とならないクレームへの訂正請求が認められての審決)に至るのかどうか、決着にはもう少し時間がかかりそうだ。

参考:

本件特許ファミリーである欧州特許(EP0934061)の有効性及び特許侵害について争われた英国最高裁判断についての記事:

Pfizer SEC FILINGS 2018 Q4 FORM 10-Kより:

  • U.S. Basic Product Patent Expiration Year: 2019

    “In November 2018, the FDA granted pediatric exclusivity for Lyrica in the U.S. for an additional six months to June 2019; pediatric exclusivity applies to both the basic product patent for Lyrica and a method of treatment patent, both of which expired in the U.S. in December 2018.”

  • Major EU Basic Product Patent Expiration Year: 2014

    “Lyrica regulatory exclusivity in the EU expired in July 2014.”

  • Japan Basic Product Patent Expiration Year: 2022

    “Lyrica is covered by a Japanese method-of-use patent which expires in 2022. The patent is currently subject to an invalidation action.”

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