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選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤「イグザレルト®」・・・リバーロキサバンに関する特許権について

2020年12月4日、バイエル薬品より「リバーロキサバンに関する特許権について」の謹告文が掲載されました(2020.12.04 日刊薬業 【謹告】リバーロキサバンに関する特許権について)。

リバーロキサバン(rivaroxaban)は、選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤イグザレルト®(Xarelto®)の有効成分です。イグザレルト®(Xarelto®)は、Bayer社の主力製品で、2019年には同社による世界売上高は4,126M€となりました(Bayer 2019 Annual report)。また、イグザレルト®(Xarelto®)は、2019年世界で最も売れた医薬品(トップ5)のひとつといわれています(AnswersNews 2020.06.03 2019年 世界で最も売れた医薬品は)。

 バイエル薬品株式会社(以下「当社」)は、リバーロキサバンを有効成分とする「イグザレルト®錠10mg/15mg」、「イグザレルト®細粒分包10mg/15mg」を製造販売し、また、「イグザレルト®OD錠10mg/15mg」の製造販売を予定しております。
 当社は、リバーロキサバンを有効成分とする製品を保護する特許として、日本特許第4143297号、同第4852423号、同第5147703号、同第5311742号、および同第5416408号の5件の特許を保有しており、そのうちの3件、同第4143297号、同第4852423号および同第5311742号については、それぞれの製品の承認に基づき、特許延長登録を取得済み、または、特許延長登録を出願中です。当社は、これら特許および特許延長登録は有効であると共に、実効性があるものと確信しております。
 従いまして、当社は、これら特許権を侵害する行為、または侵害するおそれのある行為に対しましては、厳正かつ厳格なる法的処置を講じる所存です。
 リバーロキサバンを有効成分とする製品の製造、販売、輸入等を計画されている企業におかれましては、当社の知的財産権の侵害行為のなきよう、十分ご留意いただきたくお願い申し上げます。

2020.12.04 日刊薬業 【謹告】リバーロキサバンに関する特許権についてより
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1.リバーロキサバンを有効成分とするイグザレルト®について

イグザレルト®(Xarelto®)の有効成分であるリバーロキサバン(rivaroxaban)は、ドイツBayer社で開発された経口第 Xa因子阻害剤です。

海外では、2008年9月、世界で初めての経口投与可能な選択的直接作用型の第Xa因子阻害剤としてカナダにおいて承認されました。

国内では、イグザレルト®錠10mg、15mgが、2012年1月18日に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を適応として承認され、2015年9月24日に「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制」の効能又は効果及び用法及び用量が追加承認されました。

また、イグザレルト®細粒分包10mg、15mgが、2015年9月28日に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」、2015年12月2日に「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制」を適応症として承認され、その後、口腔内崩壊(OD)錠が、2020年8月6日に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」及び「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制」を適応として承認されまた。

再審査期間は、イグザレルト®錠が「8年(2012年1月18日~2020年1月17日)」、イグザレルト®細粒分包が「錠の残余期間(2015年9月28日~2020年1月17日)」、イグザレルト®OD錠は「該当しない」となっています。

従って、イグザレルト®のジェネリックの承認申請は既に可能となっており、特許権の問題をクリアできれば2021年2月にはジェネリックが初承認となる可能性があります。

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2.イグザレルト®を保護する特許権について

謹告文にて挙げられているリバーロキサバンを有効成分とする製品(イグザレルト®)を保護する特許5件の概略を下記表にまとめました。

ポイントは結晶特許5416408(2026年満了)をジェネリックメーカーは回避できるかどうか、回避できるとして物質特許の延長が適応症と製剤とで短冊的に延長されているため、ジェネリックメーカーがその間隙を突くのか、その場合、特許権者(Bayer社)による延長された「物質発明に係る特許権」の効力を剤形違いにも及ぶとする主張が裁判所においてどのような結論に導かれるか・・・いやその前に、物質特許権の延長の効力をいったい厚生労働省/PMDAがどう判断してジェネリックの承認するのかどうか(いわゆるパテント・リンケージが機能するのかどうか)・・・いろいろと想像が膨らみます。大変興味あるところです。

特許権出願日発明の内容存続期間満了日
4143297
物質
2000.12.111. 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制:
・錠2020.12.11+3y6m28d延長登録
・細粒分包2020.12.11+1y8m7d延長登録

2. 深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制:
・錠

2020.12.11+5y延長登録
・細粒分包2020.12.11+1y10m11d延長登録
4852423
製剤製法
2004.11.13【請求項1】親水性化形態の5-クロロ-N-({(5S)-2-オキソ-3-[4-(3-オキソ-4-モルホリニル)-フェニル]-1,3-オキサゾリジン-5-イル}-メチル)-2-チオフェンカルボキサミド(I)を含む固体の経口投与可能な医薬組成物の製造方法であって、
(a)最初に、親水性化形態の活性化合物(I)を含む第1の顆粒を湿式造粒により製造し、
(b)次いで、その顆粒を、適するならば医薬的に適する添加物を添加して、医薬組成物に変換する、
を特徴とし、使用する湿式造粒方法が流動層造粒であることを特徴とする方法。
1. 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制:
・錠2024.11.13+2y20d延長登録
・細粒分包2024.11.13+1y8m7d延長登録

2. 深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制:
・錠2024.11.13+3y10m26d延長登録
・細粒分包2024.11.13+1y10m11d延長登録
5147703
製剤
2006.09.21【請求項1】経口投与でき、5-クロロ-N-({(5S)-2-オキソ-3-[4-(3-オキソ-4-モルホリニル)フェニル]-1,3-オキサゾリジン-5-イル}メチル)-2-チオフェンカルボキサミド(I)を含み、かつ迅速な放出を有する固形医薬投与形態であって、
非晶形または熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含み、ここで、
該活性成分(I)は溶解法により非晶形化されるか、または熱力学的に準安定な結晶変態に変換され、該溶解法では、酢酸を溶媒として使用し、ポリビニルピロリドンを加え、活性成分(I)が該溶解法から得られる混合物中で0.1から30%の濃度で存在するか、
該活性成分(I)は融解法により非晶形化されるか、または熱力学的に準安定な結晶変態に変換され、該融解法では、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの混合物を使用し、活性成分(I)が該融解工程後に得られる混合物中で0.1から30%の濃度で存在するか、または
活性成分(I)は溶融押出により非晶形化されるか、または熱力学的に準安定な結晶変態に変換され、該溶融押出では、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはポリビニルピロリドン(PVP)が溶融押出でポリマーとして使用され、溶融押出物中のポリマーの割合が少なくとも40%であり、活性成分(I)が溶融押出物中で0.1から20%の濃度で存在する、
ことを特徴とする固形医薬投与形態。
2026.09.21
5311742
原薬製法
2004.12.31【請求項1】4-{4-[(5S)-5-(アミノメチル)-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル]フェニル}モルホリン-3-オン(VII)塩酸塩を5-クロロチオフェン-2-カルボニルクロリド(IV)と反応させることによる、式(I)の5-クロロ-N-({(5S)-2-オキソ-3-[4-(3-オキソ-4-モルホリニル)フェニル]-1,3-オキサゾリジン-5-イル}メチル)-2-チオフェンカルボキサミドの製造方法であって、アセトン、水およびトルエンの混合物中で、炭酸ナトリウムを使用して反応を実施することを特徴とする、方法。1. 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制:
・錠2024.12.31
・細粒分包2024.12.31+1y8m7d延長登録

2. 深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制:
・錠2024.12.31+2y2m11d延長登録
・細粒分包2024.12.31+1y10m11d延長登録
5416408
結晶
2006.09.222026.9.22
表 リバーロキサバンを有効成分とするイグザレルト®を保護する特許5件

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