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2009.10.22 「アルコン v. 参天製薬」 知財高裁平成21年(行ケ)10216

「タフロタン」の不使用取消訴訟: 知財高裁平成21年(行ケ)10216

【背景】

不使用取消審判請求した原告(アルコン)が、請求は成り立たないとした審決の取消しを求めた事案。

本件商標
商標登録番号: 第4821347号
商標の構成: 「タフロタン」の文字及び「Taflotan」の文字を二段に横書きして成る。
指定商品: 第5類「薬剤」
設定登録日: 平成16年11月25日
審判請求登録日:平成20年6月17日

【要旨】

裁判所は下記のとおり判断した。

1. 取消事由1(法50条1項の使用の事実を認定した誤り)について

「被告は,自らの商品である本件治療剤に本件ラベルをもって「Taflotan」及び「TAFLOTAN」の商標を付し,「Taflotan」及び「タフロタン」との商標が付された本件包装箱に包装した上,これらを輸出しているところ,これらの商標から「タフロタン」の称呼が生ずることは明らかであり,これらの商標はいずれも「タフロタン」の文字と「Taflotan」の文字を二段に横書きして成る本件商標と社会通念上同一と認められる。

そうすると,被告は,~本件審判請求の登録(平成20年6月17日)前3年以内に日本国内において本件商標を使用したものと認められる。」

2. 取消事由2(法50条の「使用」に「輸出」を含むとした判断の誤り)について

「不使用取消審判の場面における「使用」の概念を法2条3項各号において定義されているものと別異に理解すべき理由はない。

この点について,原告は,法2条3項2号に規定する標章の使用に当たる行為に「輸出」が加えられたのが法改正(判決注:平成18年法律第55号による改正をいう。)によるものであることから,法改正前には使用に当たらなかった輸出については,法改正後も使用に当たらないと解すべきであるとの趣旨の主張をするが,少なくとも法改正後の現在においては上記のとおりに解されるべきものであるから,原告の主張を採用することはできない。

また,原告は,本件輸出行為が被告とその外国の子会社であるサンテン・オイ社との間で行われたものであることから,輸出に当たらないというべきであり,そうでなければ,脱法行為を助長するとの趣旨の主張もするが,各別の法人格である親子会社間の取引について,他の取引と別異に取り扱う理由はなく,その理は当該取引が親子会社間の輸出であっても異なるものではないところ,本件においては,本件輸出行為を認定し得るのであるから,この点の原告の主張も採用することはできない。」

請求棄却。

【コメント】

親子会社間の取引についても、「使用」は「使用」ということである。

「Tafrotan」は緑内障治療薬として欧州で販売(一般名: タフルプロスト(Tafluprost))されているが、日本での商品名は「タプロス」(Tapros)である。

ちなみに、「タプロス」(Tapros)の名称の由来は、タフルプロスト+プロスタグランジン/プロスペクト(Tafluprost+Prostaglandin/Prospect,“展望、期待”)である。

同趣旨の関連判決:

  • 2009.10.22 「アルコン v. 参天製薬」 知財高裁平成21年(行ケ)10217商標登録番号: 第4821348号
    商標の構成: 「Taflotan」を表示して成る。
    指定商品: 第5類「薬剤」

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