
アンケートにご協力いただけたらとてもうれしいです。
いつも当ブログをお読みいただき、本当にありがとうございます。
最近、日本のパテントリンケージ制度に関連した出来事をきっかけとして、この問題についての議論が盛り上がっていることから、パテントリンケージ制度に興味を持つ多くの皆様から、貴重なご意見をいただきたく、ぜひアンケートにご協力いただけますと大変うれしく存じます(また、周知・拡散いただけましたら、さらにありがたいです)。
以下の18項目のうち、どの項目が最も問題だと思われるか、選択してください(複数選択可です)。
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アンケートへのご回答ありがとうございました。
周知・拡散いただけましたら、さらにありがたいです。
もし、どのように現行制度を改善すれば問題が解決できるかについてのご意見もありましたら、ぜひ一番下のコメント欄にも記入していただければ幸いです。
背景
厚生労働省からの通知1)2)(以下、「二課長通知」という)において、後発医薬品の薬機法上の承認審査にあたっては、
- 先発医薬品の有効成分に特許が存在する場合には後発医薬品を承認しないこと
- 先発医薬品の特許が存在する効能・効果、用法・用量(効能・効果等)については承認しない方針であること
- 特許の存否は承認予定日で判断するものであること
- 後発医薬品承認後、特許に関する懸念がある品目の薬価収載を後発医薬品企業が希望する場合は、先発医薬品企業と事前調整を行い、安定供給が可能と思われる品目のみ薬価収載手続きをとること
を従前より定めています。
日本では、この「二課長通知」に基づく指導をもって、パテントリンケージ(patent linkage)を国内制度に設置することを義務付けている「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership(CPTPP、TPP11ともいう))」の第18.53条に従っていると解釈されています。3)
パテントリンケージとは、後発医薬品承認時に先発医薬品の有効特許を考慮する仕組みであり、その制度内容は国によって異なりますが、その意義は総じて、先発医薬品を保護する特許権の重要性を尊重しつつ先発医薬品メーカーと後発医薬品メーカーとの特許紛争を事前に整理することによって後発医薬品の市場への安定供給を実現することを目的としています。
しかし、米国通商代表部(USTR) が発表した2023年スペシャル301条報告書を見ると、革新的な医薬品の価格設定や毎年薬価改定の透明性・予測可能性の欠如といった日本の問題に懸念を表明したステークホルダーの意見書には、日本のパテントリンケージについての問題(”undermined the predictability of patent protections“; “significant uncertainty for innovators and generic manufacturers“)も指摘されています。4)
海外製薬企業団体からも、日本のパテントリンケージの運用に対して抗議の声が上がっているといえます。
日本国内においても、日本製薬工業協会からの改善の要望5)だけでなく、最近では、ハラヴェン®(エリブリン)事件6)7)において顕在化したパテントリンケージの問題点について、後発医薬品企業からも不満の声8)が上がっているようです。
参考
- 「医療用後発医薬品の薬事法上の承認審査及び薬価収載に係る医薬品特許の取扱いについて(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局経済課長・厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)(平成21年6月5日付医政経発第0605001号/薬食審査発第0605014号)」及び「承認審査に係る医薬品特許情報の取扱いについて(平成6年10月4日付け薬審第762号審査課長通知)」
- 2009.06.11記事: 2009.06.05 「医療用後発医薬品の薬事法上の承認審査及び薬価収載に係る医薬品特許の取扱いについて」
- 2021.03.08記事: 日本のパテントリンケージの現状の課題とその解決に向けた提案
- 2023.05.01記事: 米国通商代表部(USTR) 2023年スペシャル301条報告書(2023 Special 301 Report) - 日本の薬価制度やパテントリンケージ、特許延長制度等の問題にステークホルダーから懸念の声 -
- 2022.04.02記事: 製薬協 2022年度の事業方針・事業計画・実施計画を公開 「知的財産」に関して取り組む重点課題
- 2023.05.17記事: 2023.05.10 「ニプロ v. エーザイ」 知財高裁令和4年(ネ)10093 特許権侵害差止請求権等の不存在確認請求控訴事件(エリブリンメシル酸塩事件) - 法治主義に反する状況? 問われる日本版パテントリンケージ制度 -
- 2022.10.22記事: 2022.08.30 「ニプロ v. エーザイ」 東京地裁令和3年(ワ)13905 特許権侵害差止請求権及び損害賠償請求権の不存在確認請求事件・・・抗悪性腫瘍剤ハラヴェン®(エリブリン)の後発医薬品申請時点における訴えの利益
- 2023.6.22 ダイヤモンド・オンライン記事: エーザイとの訴訟で厚労省への「怨嗟」をニプロが吐露、行政訴訟なら業界挙げて応援?(医薬経済ONLINE)
コメント
二課長通知は法令でもなく政令でもなく課長の通知というレベルで運用されていることになってます。厚労省は特許の侵害を判断する立場になく、特許の侵害が判断できない厚労省が承認することは国の機関として特許の侵害に加担する犯罪行為になる可能性があります。
このような運用は先進国としては恥ずかしいことだと思います。後発薬の承認は裁判所からお墨付きをもらってから承認されるべきだと思います。そして法整備も必要だと思います。特許期間中の後発薬の承認は違法行為だと思います。
コメントありがとうございました。