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2017.04.27 「デビオファーム v. サンド」 知財高裁平成28年(ネ)10103

オキサリプラチンが溶媒中で分解して生じたシュウ酸と特許発明の技術的範囲: 知財高裁平成28年(ネ)10103

【背景】

「オキサリプラチン溶液組成物ならびにその製造方法及び使用」に関する特許権(第4430229号)を有する控訴人(一審原告: デビオファーム)が、被控訴人(一審被告: サンド)に対し、サンド製品1及び2の生産等が本件発明1の技術的範囲に属し特許権侵害に当たると主張して、サンド製品の生産等の差止め及び廃棄を求めた事案。原判決(2016.09.12 「デビオファーム v. サンド」 東京地裁平成27年(ワ)28849)は、サンド製品1及び2はいずれも本件発明1の技術的範囲に属しないとしてデビオファームの請求を棄却したため、デビオファームは控訴した。また、デビオファームは、サンド製品3についても特許侵害に当たる旨及びサンド各製品が本件発明2の技術的範囲に属する旨の追加の訴えを申し立てた。

サンド製品は、オキサリプラチンが溶媒中で分解して生じたシュウ酸(解離シュウ酸)が本件発明に規定されているモル濃度の範囲内で含有するものだが、このシュウ酸は外部から添加されたもの(添加シュウ酸)ではなかった。サンド製品における「解離シュウ酸」が、本件発明にいう「緩衝剤」に含まれるかどうかが争点。

【要旨】

知財高裁は、本件発明1における「緩衝剤」としての「シュウ酸」は、添加シュウ酸に限られ、解離シュウ酸を含まないものと解されるから、解離シュウ酸を含むのみで、シュウ酸が添加されていないサンド製品1及び2は、構成要件の「緩衝剤」を含有するものではなく、したがって、サンド製品1及び2は本件発明1及び本件訂正発明2の技術的範囲に属しないものと判断した。控訴棄却。

また、知財高裁は、デビオファームの追加の訴えの申し立てを却下しなかったが、本件発明2は、本件発明1の「緩衝剤」であるという構成を含むものであるから、サンド各製品は、その余の点を判断するまでもなく、いずれも本件発明2の技術的範囲にも属さないと判断した。

【参考】

原判決:

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