リリカ®用途特許を巡るジェネリックメーカーの動き(2)

2020年8月17日、2019年度国内売上(薬価ベース)が1000億円を超えているといわれている疼痛治療剤(神経障害性疼痛・繊維筋痛症)リリカ®(有効成分: プレガバリン)のジェネリックが、リリカ®の用途特許の無効審決を踏まえて、とうとう初承認に至りました。

2020年7月14日、リリカ®の用途特許(第3693258)について先発メーカーのファイザー(特許権者名義はワーナー-ランバート社)と多くのジェネリックメーカーとの間で争われていた無効審判(無効2017-800003)において、特許庁は、当業者は本件明細書の記載の薬理試験結果等に接しても本件発明に係る鎮痛剤が「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」以外の各痛みに効果を有することを認識することができないなどとして、

  • 「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」に係る請求項3及び4は、訂正を認める、無効にすることはできない
  • 「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」以外の痛みを包含する請求項1及び2については、「神経障害又は繊維筋痛症による痛み」への訂正を認めず、実施可能要件違反及びサポート要件違反によって無効とすべきものである

と判断しました。

従って、特許庁は、本件特許請求の範囲のうち、リリカ®の効能又は効果「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」を保護していた部分は無効であると判断したことになると考えられます。

本件特許権の20年の存続期間満了は2017年7月16日であったところ、効能・効果追加承認ごとに延長登録し、最長満了日は2022年7月16日となっています。ファイザーは本件審決を受けて審決取消訴訟を提起して争うのではないかと考えられます。

請求項訂正事項訂正判断無効理由1
(実施可能要件違反)
無効理由2
(サポート要件違反)
1「痛み」→「痛覚過敏又は接触異痛の痛み左記痛みに有効であることが記載されているに等しいと当業者が理解することができないため、訂正要件満たさない「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」以外は実施可能要件違反として無効「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」以外はサポート要件違反として無効
2「請求項1記載の」→「神経障害又は繊維筋痛症による、痛覚過敏又は接触異痛の痛みの処置における」左記痛みに有効であることが記載されているに等しいと当業者が理解することができないため、訂正要件満たさない「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」以外は実施可能要件違反として無効「炎症性疼痛」及び「術後疼痛」以外はサポート要件違反として無効
3「請求項1記載の」→「炎症を原因とする痛み、又は手術を原因とする痛みの処置における」訂正を認める理由なし理由なし
4「痛みが・・・である」→「炎症性疼痛による痛覚過敏の痛み、又は術後疼痛による痛覚過敏若しくは接触異痛の痛みの処置における」訂正を認める理由なし理由なし
表1 本件用途特許(第3693258)に対する無効審判(無効2017-800003)の判断
リリカ®用途特許を巡るジェネリックメーカーの動き
疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)を保護している用途特許(日本特許第3693258号)の有効性を巡り、先発メーカーのファイザー社(特許権者名義はワーナー-ランバート社)と複数のジェネリックメーカーが特許無効審判で争っている(無効2017-800003)。リリカ(Lyrica)®は、世界売上ランキングトップ20にも入っているブロックバスターだが、多くの国で既にジェネリックが参入し始めている。日本で...

コメント

  1. Fubuki Fubuki より:

    2020.08.17 ファイザー press release: 「リリカ®」に関する特許権侵害訴訟および仮処分命令の申し立てについて
    https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2020/2020_08_17.html
    ファイザーの発表によると、複数のジェネリック医薬品メーカーを相手取り、東京地方裁判所に特許権侵害訴訟を提起するとともに仮処分命令の申し立てを行ったとのことです。
    ファイザーは、
    「特許庁が2020年7月14日に審決したリリカ用途特許の特許無効審判にて訂正を認めた特許請求項が、リリカが製造販売承認を取得している神経障害性疼痛および線維筋痛症に伴う疼痛の適応症を対象としているため、特許満了前のジェネリック医薬品の承認とそれに続く販売は特許権の侵害にあたると考えています。」
    と発表しています。

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