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抗PD-1抗体に関する本庶特許の発明者を巡る米国での裁判、そして日本・・・(8)・・・さらに欧州でも・・・

>(7)から続く

抗PD-1抗体等に関する特許(いわゆる「本庶特許」)の特許権者である本庶佑氏(Tasuku Honjo)及び小野薬品工業(Ono Pharmaceutical)とダナ・ファーバー癌研究所(Dana-Farber Cancer Institute)のゴードン・フリーマン氏(Gordon Freeman)との間で争われている共同発明者を巡る裁判。


米国、そして日本

米国での裁判では、共同発明者としてクライブ・ウッド氏(Clive Wood)とダナ・ファーバー癌研究所のゴードン・フリーマン氏の2名が「本庶特許」に共同発明者として追加されることが認められましたが(記事(4))、日本では、共同出願違反(特許法38条規定違反)を理由にゴードン・フリーマン氏が5件の「本庶特許」の無効を請求し、現在、知財高裁で争われている状況を前回お伝えしました(記事(7))。


さらに、欧州でも

欧州でも、2017年12月21日、「本庶特許」のうち少なくとも下記の欧州特許出願について、ゴードン・フリーマン氏から権利譲渡を受けたダナ・ファーバー癌研究所が、特許発明に係る権利者としての地位を求めてEPC第61条1項に従った権利取得手続きを、ミュンヘン行政裁判所(Verwaltungsgericht München)に請求しており、口頭審理が2023年2月9日に開催されました。

欧州特許庁(EPO)に提出された資料によると、口頭審理では金額(30M€)の議論がされたようで、ダナ・ファーバー癌研究所の権利者としての地位が認められることを基本とした交渉が進んでいるのかもしれません。

そのミュンヘン行政裁判所による判決が2023年4月20日に予定されています。

Official Ref.: EP10161767.8 (publication no. EP2206517)
Title: Immunopotentiating compositions comprising anti-PD-L1 antibodies
Applicants: Ono Pharmaceutical Co., Ltd., Honjo, Tasuku
Legal File No: R-14-4/2018; Docket No: 7 O 5816/19

なお、クライブ・ウッズ氏から権利譲渡を受けたPfizerも、同様の手続きを求めていましたが、後に和解に至り、手続きを取下げた経緯があります(Legal File No: R14-686/2017)。

免疫チェックポイント阻害因子をがん治療に応用した共同発明者として、米国では認められたゴードン・フリーマン氏ですが、欧州(ドイツ)ではどのように判断されるのでしょうか。

>(9)に続く

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