田辺三菱製薬は、アレルギー性疾患治療剤「タリオン®(有効成分: ベポタスチンベシル酸塩)」について、同製品の後発品薬価収載希望書を提出した東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬に対して、田辺三菱が保有する物質特許等の侵害行為の差止めを求める仮処分命令の申立てを2017年9月15日付で東京地裁および大阪地裁に行ったとのことです。
田辺三菱および宇部興産は、ベポタスチンベシル酸塩を有効成分とする医薬品に関し、下記日本特許を有しています。下記物質特許(第4704362号)と医薬用途特許(第4562229号)についてだけ見れば、いずれも2017年12月19日に存続期間満了を迎えることから、特許期間満了後のそれら後発品の製造販売行為自体は特許権の効力が及ばないことになります。特許期間満了後の製造販売を目的として特許期間中に後発品薬価収載(12月)に向けて活動する行為が、侵害又は侵害のおそれに該当するとして、裁判所が差止仮処分命令申立てを認めるかどうかが気になるところです。
- 有効成分(ベポタスチンベシル酸塩)の医薬用途特許: 特許第4562229号
存続期間満了日は2017年12月19日 - 有効成分(ベポタスチンベシル酸塩)の物質特許: 特許第4704362号
存続期間満了日は2017年12月19日 - 製剤あるいは製法に関する特許: 特許第5360605号、特許第5518928号、特許第3909998号(参考: 2013.07.11 「田辺三菱・宇部興産 v. 遼東化学」 知財高裁平成24年(行ケ)10297)、特許第4691925号、特許第4739340号、特許第5227424号、特許第5560353号、特許第5722953号および特許第6153867号
参考:
- 田辺三菱 press release: 2017.09.25 「アレルギー性疾患治療剤「タリオン®」に関する特許侵害行為差止めに関する仮処分命令の申立てについて」
- ベポタスチンベシル酸塩(タリオン®)に関する特許権について
コメント