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沢井製薬、BMSとのダサチニブ特許訴訟で勝訴判決 ― 延長特許権の効力及ばずと東京地裁が判断か?

2025年5月16日付の沢井製薬株式会社のプレスリリースによると、同社が製造販売する「ダサチニブ錠20mg/50mg『サワイ』」(以下「サワイ製品」)に関連して提起されていた反訴損害賠償請求訴訟において、2025年5月15日付で、東京地裁より沢井製薬勝訴の判決が言い渡されました。

サワイ製品は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(以下「BMS」)が製造販売承認を有する「スプリセル®錠20mg/50mg」の後発医薬品です。しかし、スプリセル®錠の有効成分がダサチニブ水和物であるのに対して、サワイ製品の有効成分はダサチニブ無水物という違いがあります。

本件の発端は、スプリセル®錠の効能・効果である「慢性骨髄性白血病」について延長登録されていたダサチニブの物質特許権の効力が、サワイ製品には及ばないことを確認することを目的として、沢井製薬が2023年8月28日に提起した消極的確認請求訴訟にあります。これに対し、ブリストル マイヤーズ スクイブ ホールディングス アイルランド アンリミテッド カンパニーが2024年1月19日、沢井製薬に対し反訴損害賠償請求訴訟を提起していました。

この度の東京地裁の判決は、沢井製薬の主張を支持するものであり、同社はプレスリリースにて「この判決により、『サワイ製品は延長された特許権の効力範囲に属さないこと』として消極的確認請求訴訟を提起した当社の目的を裁判所より確認することができました。」とコメントしています。

なお、本件に関連してBMSは、2023年11月29日付のプレスリリースにおいて、東京地裁から沢井製薬に対し、サワイ製品に係る製造販売行為等を禁止する仮処分命令が発出されたことを公表していました(詳しくは、2023年11月29日付ブログ記事「BMS スプリセル®錠(一般名:ダサチニブ水和物)の後発品を巡る特許権侵害訴訟で東京地裁が沢井製薬のダサチニブ錠の製造販売行為を禁止する仮処分命令を発出 ― 本当の問題点 ―」」参照)。

BMS スプリセル®錠(一般名:ダサチニブ水和物)の後発品を巡る特許権侵害訴訟で東京地裁が沢井製薬のダサチニブ錠の製造販売行為を禁止する仮処分命令を発出 ― 本当の問題点 ―
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(以下「BMS Japan」)のプレスリリースによると、2023年11月28日、東京地方裁判所から、沢井製薬に対し、BMS Japan が製造販売承認を取得している「スプリセル®錠 20 mg/50mg」(一般名:ダサチニブ水和物)の後発医薬品である沢井製薬の「ダサチニブ錠 20mg/50mg 「サワイ」」(対象製品)に関し、当該製品に係る製造販売行為等を禁...
Fubuki
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今回の判決は、今後の特許権延長実務に大きな影響を与える可能性があり、議論を呼ぶ注目判決となるかもしれません。判決文の公開を待ちましょう。

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