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2006.12.25 「富田製薬 v. 特許庁長官」 知財高裁平成18年(行ケ)10366

長期に安定なさらさらした顆粒剤: 知財高裁平成18年(行ケ)10366

【背景】

「重炭酸透析用人工腎臓潅流用剤の製造方法及び人工腎臓潅流用剤」に関する本件特許(特許第2769592号)につき、無効審決取消訴訟(知財高裁平成17年(行ケ)10736)係属中、原告から明細書の訂正を求める訂正審判請求がされたが、本件訂正が独立特許要件違反とされたため、その取消訴訟が提起された。

本件訂正は下記のとおり。

(訂正前)
「塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び酢酸ナトリウムからなる電解質化合物を含むコーティング層~からなる顆粒状~剤」

(訂正後)
「塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムを取り込んだ酢酸ナトリウムが均一に形成されたコーティング層~からなる長期に安定なさらさらした顆粒状~剤」

【要旨】

「取り込んだ」という文言が、コーティング層の組成を、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び酢酸ナトリウムのみに限定したり、これらの物質相互の量的大小関係や酢酸ナトリウム中における存在形態を規定したものと解することもできない。

「長期に安定なさらさらした」という文言自体、物の性状を抽象的に表すにとどまり、技術的に明らかになる表現ではないといわざるを得ない。

請求棄却。

【コメント】

製剤を構成する成分の存在形態を表現する際には文言に注意。

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