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2006.12.26 「Eli Lilly v. Zenith, Teva, Dr. Reddy’s」 CAFC Docket No.05-1396, -1429, -1430

臨床試験の実施は公然実施(public use)なのか?: CAFC Docket No.05-1396, -1429, -1430

【背景】

Eli Lillyが販売する統合失調症治療薬であるolanzapine(オランザピン、商標名Zyprexa(ジプレキサ))について、後発医薬品を後発メーカーがFDAにANDA申請したことに対し、特許権者であるEli Lillyが侵害訴訟を提起した。

後発メーカーは、特許の新規性及び非自明性を攻撃、なかでも臨床試験(Phase I)はpublic useであり、新規性を失っているとして、特許無効を主張した。

【要旨】

公知文献中に新規性を否定できる開示は明確には認められないし、示唆もない。さらに、特許権者は、本発明が、長く要望されていた点、他者は成功していなかった点、予期しない効果等を立証している。従って、新規性及び非自明性は否定されないと判断された。

臨床試験がpublic useか否かについては、Eli LillyのPhase Iの臨床試験は、(患者治療目的ではなく)安全性・有効性のテストを目的としており、Eli Lilly自身のクリニックにおいてconfidentiallyに実施されたのであるから、本件における臨床試験はpublic useではなく、「public use」の適用除外である「experimental use」にあたる、との地裁判断に誤りはないと判断。

CAFCは地裁の特許有効判決を支持した。

【コメント】

臨床試験がpublic useに該当するか否かが争われた点に注目したい事例。

本判決に従えば、患者治療目的ではなく、安全性・有効性のテストを目的とするPhase Iの臨床試験は、原則、「public use」に該当しないと考えられる。もちろんconfidentialな状況で実施されるという点も重要である。

患者へ投与する臨床試験(Phase II)は「public use」の適用除外である「experimental use」に該当せず「public use」とされるのか?今後の判例の積み重ねが期待される。

参考:臨床試験が「public use」か否かが争点となった判決

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