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オキサリプラチン延長特許侵害事件 知財高裁が大合議事件に指定

2016年11月17日、知財高裁は、平成28年(ネ)第10046号 特許権侵害差止請求控訴事件を大合議事件として指定しました。

原審は、延長された特許権の効力が争点となった2016.03.30 「デビオファーム v. 東和薬品」 東京地裁平成27年(ワ)12414です。

この大合議の審理・判断で求められる一番重要な点は、先発薬(新規有効成分に限らない)についての延長特許権があるにもかかわらず、その先発薬に依拠して承認された後発品の製造販売が簡単に許されてしまうような延長特許権の効力の解釈、言わば特許法第68条の2が事実上空文化するような判断は、この特許延長制度の立法趣旨(実施機会の喪失による不利益を解消させる制度)からして許されないことは明らかであること、本事件の具体的な解釈・結論よりも、むしろ特許延長制度全体の枠組みとして、現在の条文からどのように延長特許権の効力範囲の境界線を引くのかということ、を示せるかどうかという点です。

延長された特許権の効力が不明確で、将来の侵害判断の予見性が低いままであれば、先行して莫大な研究開発投資をする製薬産業にとっては大きな問題です。不安定な法制度のまま放置することにならないよう、今回の知財高裁には難しい判断が求められることになりますが、この判断は、世界の製薬企業が、先発薬メーカーにとって厳しくなりつつある日本市場が今だに魅力的なものとして考慮できそうなのかどうかという視点でも注目しており、大合議の判断次第では日本の製薬産業に大きなインパクトを与えるものになると思われます。

参考:

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