中外 エディロール用途特許侵害で沢井・日医工を提訴

2020年5月29日付の中外製薬のプレスリリース(エディロール®カプセルに関する特許権侵害訴訟の提起について)によると、2020年5月29日、中外製薬は、骨粗鬆症治療剤(活性型ビタミンD3製剤)エディロール®カプセル0.5μg、同0.75μg(一般名: エルデカルシトール(Eldecalcitol))について、同製品の後発医薬品の製造販売承認取得者である沢井製薬および日医工に対し、中外製薬および大正製薬が保有する用途特許第5969161号(表1)を侵害するとして、当該後発品の生産、輸入、譲渡、譲渡の申出の差止め、ならびに廃棄を求め、東京地方裁判所に特許権侵害訴訟を提起するとともに、特許権侵害差止仮処分の申し立てを行ったとのことです。

沢井製薬と日医工は、本件用途特許に対して、2019年12月23日に特許無効審判を請求しています(無効2019-800112)。存続期間満了日は2030年4月28日です(期間延長なし)。

エディロール®は、中外製薬が開発した活性型ビタミンD3誘導体であるエルデカルシトールを有効成分とする骨粗鬆症治療剤であり、2011年1月21日に国内製造販売承認を取得しました。エディロール®の2019年度国内売上高は367億円(中外製薬2019年12月期連結決算補足資料より)。エディロール®カプセルの再審査期間は終了しています(~2019年1月20日(8年間))。

特許番号特許請求の範囲
5969161【請求項1】
エルデカルシトールを含んでなる非外傷性である前腕部骨折を抑制するための医薬組成物。
【請求項2】
投与される対象が原発性骨粗鬆症患者である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
投与される対象が、若年者平均骨密度(YAM)の80%より低いか、またはTスコアがYAM値に対して-1SD以下である大腿部骨密度を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
エルデカルシトールが0.75μg/日の用量で経口投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
表1 本件用途特許第5969161号の特許請求の範囲

本件用途特許、いわゆるパテント・リンケージは働かなかったのでしょうか・・・第Ⅲ相試験では前腕骨骨折を有意に抑制したわけなので、当然ジェネリックもそういった用途(骨粗鬆症)に使われるのは明らかな気がしますが・・・。

J-PlatPatにより、エディロール®を保護する日本特許として2件の特許とそれら特許権の存続期間延長登録出願の存在がわかります(表2)。しかし、これら2つの特許に対して無効審判は請求されていません。従って、沢井製薬と日医工の後発医薬品は、これら特許を回避したものなのかもしれません。

特許番号発明の名称延長登録出願番号存続期間満了日
4414020ビタミンD誘導体の製造方法特願2011-700110
特願2011-700109
2020.08.22
(1年1月24日延長含む)
3429432ビタミンD誘導体結晶およびその製造方法特願2011-700108
特願2011-700107
2022.06.12
(5年延長含む)
表2 エディロール®を保護する存続期間延長出願された特許(J-PlatPat特許・実用新案検索にて、「検索キーワード(延長登録出願情報)」を「エディロール」または「エルデカルシトール」で入力/検索日2020.05.29)

コメント

  1. Fubuki Fubuki より:

    【追記】
    2020.06.03 沢井製薬 2020年6 月薬価基準収載予定だったエディロール®カプセルのジェネリック(エルデカルシトールカプセル 0.5μg「サワイ」、エルデカルシトールカプセル 0.75μg「サワイ」)の発売開始を延期すると発表
    https://med.sawai.co.jp/file/so_32.pdf

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