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知的財産高等裁判所が第三者意見を募集 ― アミティーザ®(ルビプロストン)後発医薬品を巡る特許権侵害差止請求控訴事件

知的財産高等裁判所は2026年6月29日、同裁判所第1部に係属中の特許権侵害訴訟について、広く一般から意見書の提出を求める募集を開始しました(募集要項)。

対象となるのは、ヴィアトリス製薬合同会社らと沢井製薬株式会社らとの間で争われている、慢性便秘症治療薬「アミティーザ®」(一般名:ルビプロストン)の後発医薬品を巡る特許権侵害差止請求控訴事件(令和8年(ネ)第10041号)です。

本件では、医薬用途発明の技術的範囲の考え方や、特許権存続期間延長登録の効力がどこまで及ぶか、とりわけ12μg製剤の承認を根拠とする延長登録の効力が24μgの後発医薬品に及ぶかが主要な争点となっています。

知財高裁は、以下の事項について、広く意見を募集するとしています。

1 医薬用途発明に関する事項

⑴ 公知の物質に新たな用途を見いだした医薬品の発明(以下「医薬用途発明」という。)が特許されている場合において、被疑侵害品である後発医薬品が当該特許発明の技術的範囲に含まれるか、又は、同医薬品の製造販売等が同特許発明の実施行為に当たるかを判断する際、どのような要素を考慮すべきか。

⑵ 医薬用途発明の特許の被疑侵害品が、特許に係る用途以外の用途にも使用され得る場合、仮に、実施行為の差止請求が認められる場合、その判決の主文はどうあるべきか。

2 存続期間が延長された特許権の効力範囲に関する事項

⑴ 特許法67条4項の規定により特許権の存続期間が延長された場合において、延長登録の理由となった処分が医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律所定の医薬品に係る製造販売承認であったとき、延長された特許権の効力が及ぶ物の範囲をどう考えるべきか。延長登録の要件との関係をどう考えるか。

⑵ 有効成分を12μg含有する先発医薬品に係る製造販売承認に基づき延長登録がされた特許権の効力は、製造販売承認において特定され、添付文書にも記載される用法、用量、効能及び効果が当該先発医薬品と同一であって、有効成分の分量が当該先発医薬品とは異なる24μgであり、かつ、添加剤において相違する同一剤形の後発医薬品に及ぶか。

⑶ 上記⑵の検討において、
ア 有効成分を24μg含有する先発医薬品に係る製造販売承認に基づき延長登録がされている場合はどうか。
イ 上記アの延長登録に係る延長期間が既に満了した事情がある場合はどうか。
ウ 有効成分を24μg含有する先発医薬品に係る製造販売承認は存在するが、これに基づく延長登録がされていない場合はどうか。

提出された意見書は、当事者が証拠として提出した場合、裁判所の判断資料となる可能性があります。意見募集期間は2026年9月30日までです。

本件は、医薬用途発明やパテントリンケージ、さらには延長登録特許権の効力範囲に関する今後の実務に大きな影響を与える可能性があり、製薬・知財関係者から注目を集めそうです。


Fubuki
Fubuki

当ブログにて、原判決(大阪地方裁判所令和7年(ワ)第10786号、第10790号)を取り上げていますので、ぜひご覧ください!

原審(大阪地方裁判所)は、延長特許権の効力は「実質同一」の範囲に広がり重複し得るとしつつも、後行12μg製剤の承認処分に基づく延長の効力が、先行24μg製剤の承認処分に基づく延長の対象医薬品にまで及ぶことはないと判示し、既に延長期間が終了した領域に対する効力の再拡張を明確に否定して、原告の請求を棄却しました。この判決は、いわゆるベバシズマブ事件及びオキサリプラチン事件によって形成されてきた「実質同一」論を前提としつつ、その効力の広がりが衡平の観点によって制約を受ける場合があることを具体的に示した点で、延長特許権の効力に関する判決例の流れに新たな輪郭を与えるものと評価されます(2026.04.01ブログ記事「2026.03.03 「ヴィアトリス製薬 v. 沢井製薬」 大阪地裁令和7年(ワ)10786, 10790 ― 後行延長特許権の効力は先行延長の対象医薬品に及ぶか(ルビプロストン事件)」参照)。

2026.03.03 「ヴィアトリス製薬 v. 沢井製薬」 大阪地裁令和7年(ワ)10786, 10790 ― 後行延長特許権の効力は先行延長の対象医薬品に及ぶか(ルビプロストン事件)
Summary本件は、アミティーザ®24μg及び同12μgを製造販売するヴィアトリス製薬(原告)が、同12μgの承認処分に基づく存続期間延長登録によって延長された特許権の効力が同24μgの後発医薬品である沢井製薬(被告)製品の生産等にも及ぶと主張し、その差止め等を求めた事案である。本判決は、特許権の存続期間延長制度において、先後複数承認処分が存在する場合の延長特許権の効力範囲を明確に示した点で重要...

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