2025年も11月22日・23日の2日間、大阪・道修町(どしょうまち)の少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)(神農さん)で「神農祭(しんのうさい)」が斎行されました。
道修町は「くすりの町」と呼ばれ、神農祭は「薬祖講」の行事として大阪市無形文化財(民俗行事)に指定されている由緒ある祭りです。
「大阪の祭りはえべっさんに始まり神農さんで終わる」と言われ、「とめの祭」とも呼ばれています。
その起源は文政5年(1822年)、大坂でコレラが流行した際、薬種仲間が病除けの薬「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」を作り、「神虎」(張子の虎)の御守とともに神前祈願の後に施与したことにあるとされています。
※くすりの道修町資料館(神社の社務所ビル3階)では『道修町=くすりの町』であることを学べる
この神農祭には、各製薬企業のマスコットキャラクターも登場し、道修町通でのパレードやじゃんけん大会といった催しが恒例行事となっています(大阪家庭薬協会ホームページ「2025年11月22日(土)・23日(日祝)「神農祭」家庭薬キャラクターイベント詳細」)。
今年も多くの人々で賑わいました。
※神農祭に各社マスコットキャラクターが登場する恒例行事が開催された出来事を伝える写真

なかなか強烈な奴らだな。
こうした製薬企業のマスコットキャラクターは、単なる愛嬌ある存在ではなく、商標として登録され、企業の信用や製品の認知を支える役割を担っています。

マスコットについて商標を登録することにどのような意味があるのでしょうか。
商標法第1条には「商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」とあります。
すなわち商標制度は、商品やサービスに触れたときに「これは誰が提供したものか」「どの程度の品質が期待できるのか」を判断できるようにする仕組みであり、商標は出所表示・品質保証・宣伝広告といった機能を持つことで、企業活動を支える重要な基盤となっています。
製薬企業のキャラクターもまた、その指定された商品又は役務について自他商品識別力を発揮する態様により使用されるものとして商標登録され、消費者に認知されることで製品や企業への信頼形成に貢献しています。
そこで本記事では、製薬企業の活動の最前線で活躍するキャラクターの登録商標にはどのようなものがあるのか、そしてそこには何か企業の意図や傾向があるのか探るために、特許庁データベース(J-PlatPat)を用いて、主要製薬企業が登録している商標を調査しました。
各社数百から数千に及ぶ登録商標の中には、知られざる可愛らしいキャラクターやユニークな広告戦略の一端が垣間見えます。調査の過程で、次のような興味深い傾向が見えてきました。
- 製品に関しては、家庭薬向けのキャラクターが多く、処方せん医薬品では宣伝に不向き(薬機法による広告規制)という背景がある
- 商標登録されていないキャラクターも存在する
- 正面図だけでなく背面図も登録されているケースがある(例:かんちゃん)
- 各ポーズごとに別商標で保護している場合(例:せんせん、スコッピィ、ミンコ)や、一つの商標に複数ポーズをまとめている場合(例:ぴょんちゃん)がある
- ノベルティを思わせる立体商標が存在する(例:はるお、かやくーま)
- チャットボットやアプリのアバターを登録しているケースがある(例:Collabot、とことこ、キスピー、ハリネズミ教頭)
- 図柄と名前を併記したものがある(ハバちゃん・タケちゃん、とことこ、ケロちゃん・コロちゃん)
- 類似ネームまで複数出願しているもの(例:はるお、貼男、貼夫)もある
- 男性キャラと女性キャラとがあるケースがある(例:ケロちゃん・コロちゃん、サトちゃんとサトコちゃん、ロッ太・ロッチー)
- 「ちゃん」「くん」といった接尾辞で親しみやすさを演出する名前が多い
- 商品パッケージや容器に目や手足を付けたり帽子をかぶせたりして擬人化させている(例:ひとみの乾きうるおし隊・ひとみの疲れほぐし隊、とふめるん、ビンくん・ハコさん、ササヘルスくん、龍角散ダイレクト君、ボトルマンジョー、正露丸くん、Mr.Contac、)
- パッケージや容器を動物化させているものがある(例:かんちゃん、カルノちゃん)
- 可愛さを前面に押し出すキャラが大半だが、あえて「キモさ」でインパクトを狙う逆張りもある(例:はるお、みんみん3兄弟)
- 長い歴史の中でデザインが進化してきたキャラもある(例:ピョンちゃん、ジェネちゃん)
- キャラクターの着ぐるみが商標として登録されているものがある(例:カイゲンの風神さん)
- 公式キャラクターのソーシャルメディアを設けている場合がある
- ファミリーのキャラクター設定がある(例:カバくん、イソくん・イソパパ・イソママ、フジちゃん、タカちゃんファミリー)
- きょうだいのキャラクター設定がある(例:ロッ太・ロッチー、ケロちゃん・コロちゃん、サトちゃん・サトコちゃん、あせももキッズ、みんみん3兄弟)
- 友達キャラクター設定がある(例:プレフェニャン・プレフェミャン、モドレルくん・ススムくん)
- 「へのへのもへじ」のような顔を採用したものがある(例:みんみん3兄弟、フジちゃん)
こうした観点を踏まえ、以下では製薬企業のキャラクター商標を具体的に見ていきます。すでに人気を博しているものから、これから注目されそうなもの、あるいは既に姿を消したものまで様々です。
さて、みなさんはそれぞれのキャラクターにどのような商標的意義を感じられますでしょうか。
※本記事で紹介する各キャラクターの登録商標(図形)は、本記事での研究目的に基づき、その目的に必要なものとして、公正な慣行の範囲内で、商標登録番号やサイト等の出典を明示したうえで引用しております。
- ねこいちさん(第一三共ヘルスケア)
- ちゅら坊(中外製薬)
- ハバちゃん・タケちゃん(武田薬品工業)
- Collabot(アステラス製薬)
- チョコラベイベー(エーザイ)
- オロニャイン(大塚製薬工場)
- たなみん(田辺三菱製薬)
- スコッピィ(住友ファーマ)
- SHIONOGI KANADE(塩野義製薬)
- 佐野玲愛(サノフィ)
- とことこ(小野薬品工業)
- シンヤくん(日本新薬)
- サンダーバード(協和キリン)
- エパチー(持田製薬)
- プレフェニャン・プレフェミャン(ゼリア新薬工業)
- うらりん・うらいむ(日本ケミファ)
- リポビタンマン(大正製薬)
- キスピー(キッセイ薬品工業)
- ミンコ(あすか製薬)
- はけ侍(科研製薬)
- ハリネズミ教頭(マルホ)
- ミルトン坊や(杏林製薬)
- みつばち先生(Meiji Seikaファルマ)
- せんせん(千寿製薬)
- ひとみの乾きうるおし隊・ひとみの疲れほぐし隊(参天製薬)
- ロッ太・ロッチー(ロート製薬)
- ケロちゃん・コロちゃん(興和)
- サトちゃん・サトコちゃん(佐藤製薬)
- ピョンちゃん(エスエス製薬)
- ジェネちゃん(沢井製薬)
- かやくーま(日本化薬)
- 太田胃にゃん(太田胃散)
- かんちゃん(イチジク製薬)
- 正露丸くん(大幸薬品)
- Mr.Contac(Haleon社)
- はるお(久光製薬)
- カバくん(健栄製薬)
- イソくん・イソパパ・イソママ(アイノヴァ)
- とふめるん(三宝製薬)
- 仁丹王子(森下仁丹)
- カイゲンの風神さん(カイゲンファーマ)
- オレンヂくん(株式会社大木)
- ジキ忍(全薬工業)
- 熱さまくん(小林製薬)
- カルノちゃん(浜理薬品工業)
- あせももキッズ(ユースキン製薬)
- Woofy(ウーフィ)(テイカ製薬)
- メイちゃん(宇津救命丸)
- ビンくん・ハコさん(養命酒製造)
- ベアベリーベアちゃん(大鵬薬品工業)
- ササヘルスくん(大和生物研究所)
- みんみん3兄弟(常盤薬品工業)
- 龍角散ダイレクト君(龍角散)
- モドレルくん・ススムくん(ツムラ)
- ボトルマンジョー(救心製薬)
- フジちゃん(富士薬品)
- タカちゃんファミリー(高田製薬)
- ジェイくん(ジェーピーエス製薬)
- まとめ
ねこいちさん(第一三共ヘルスケア)
第一三共ヘルスケアのセルフケア啓発YouTubeチャンネルとして「ねこいちさん」は始まりました(2023.08.08 PR TIMES: 第一三共ヘルスケアが手掛けるYouTubeチャンネル「ねこいちさん」。生活者のパートナーとして、セルフケアを変えるちょっとした気づきを届ける1年間の軌跡。)。名前の「いち」と「さん」や、キャラクターの「ひげ」の数が左右で「一」本と「三」本であるのは社名に由来していそうですね(https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/neko_ichi_san/)。シンプルな線で描かれていますが親しみやすい可愛い猫の外観。「ねこいちさん」の上記図形と「ねこいちさん」の名称は商標登録されています(第6641610号、第6641612号)。
ちゅら坊(中外製薬)
「ちゅら坊」は、中外製薬のコミュニケーションキャラクター。「ちゅら坊」の外観は、世界中の人々の何気ない日常を見つめ、人々の「なんでもない1日」を守るため、日々研究・開発を重ね、イノベーションを生み出していくという中外製薬の意志を表しているそうです(2022.06.15 中外製薬会社説明会)。顕微鏡と双眼鏡を併せたような外観にはいかにもライフサイエンスの探求という観念が感じられます。上記図形は商標登録されています(第6590805号)。「ちゅら坊」の由来は、中外の「Chu」にラボ「Labo」を合体させた「ChuLabo」(=ちゅら坊)に由来しているのでしょうね(第6590804号)。
ハバちゃん・タケちゃん(武田薬品工業)
武田薬品工業は、遺伝性血管性浮腫(HAE)が患者さんの人生を制限しない世界を実現するために活動しています(”はばたけ、HAEから。“)。この状況を改善することで全ての患者さんが、それぞれの望む人生へ自由にはばたいて欲しいという思いを込め、伸びやかに広がる羽をモチーフにしたマーク(ハバちゃんとタケちゃん)を作成したとのことです。くるくるとした翼で羽ばたた後にきらきらと星やハートが輝いているようすは夢や希望、可能性を感じさせてくれます。上記図形は商標登録されています(第6649564号)。
Collabot(アステラス製薬)
アステラス製薬は、2022年から一部の製品の情報提供のサービスをチャットで24時間コミュニケーションが取れる仕組みを構築したと発表しました(2022.01.21 アステラス製薬株式会社: メディア説明会 アステラス製薬のデジタルトランスフォーメーション)。そのチャットボットの名前は「Collabot」。そのアバターは、アステラス製薬の過去のマスコットやブランドブックなどを参考に可愛さを研究して生まれました(2021.06.08 PR TIMES: [アステラス製薬 × カンバセーションヘルス] 対話型AIを用いた医薬品の情報提供ソリューション開発ストーリー)。近未来的なロボットというと頭のてっぺんにアンテナがあるのが定番かもしれません。潜水服を着ているようにも見えますね。上記図形と「Collabot」の名称は商標登録されています(第6458355号、第6458354号)。
チョコラベイベー(エーザイ)
チョコラベイベーは、すべての女の子のための癒しの妖精。疲れたり、悩んでいる女の子が感じている本音をズバッと代弁することで、少し気持ちをラクにしてくれます(チョコラドットコム: チョコラベイベーとは?)。好きなものは、〆のラーメン(こってり豚骨系)だそうです。上目遣いで何を考えているのでしょうか。どんな本音を話そうとしているのか想像が膨らみます。上記図形と「チョコラベイベー」の名称は商標登録されています(第5325768号、第5325767号)。
オロニャイン(大塚製薬工場)
癒し系アプリ「なで猫オロニャイン」の猫ちゃん。ひたすら撫でるだけらしいですが、ふわふわの毛並みを画面越しに撫でるだけで日々の疲れが癒されたかも。もう10年以上前にリリースされたアプリのようで、現在は・・・。使ってみたかったです。上記図形と「オロニャイン」の名称は商標登録されています(第5348915号、第5348914号、第5348913号)。
たなみん(田辺三菱製薬)
「たなみん」は、出会った人々をギュ~と抱きしめて元気にする妖精。道修町と秘密の道で繋がっているというハグハグの森に生息しているそうです。鳴き声は「ギュ~」。「たなみん」のうたもあります(田辺三菱製薬キャラクター「たなみん」について)。第一印象はイエティ(雪男)のような、表情の見えない得体のしれない印象でしたが、だんだんと可愛らしい存在に思えてくるのが不思議。そのキャラクターの上記図形と「たなみん」の名称は商標登録されています(第5911239号、第5911237号、第5911238号)。神農祭のイベントにも登場。
スコッピィ(住友ファーマ)
最先端の薬の研究や開発のお話から薬の使い方まで、「薬」についてのいろいろなことがたくさん載っている住友ファーマのサイト「すこやかコンパス」のナビゲーター。スコッピィのスコはすこやかのスコでしょうか。会社のイメージカラーに合わせて緑色を取り入れていますね。上記図形と「スコッピィ」の名称は商標登録されています(第5565712号、第5565713号)。上記図形の他に右手を上に掲げて目が右を見ているポーズもあります(登録5565710)。
SHIONOGI KANADE(塩野義製薬)
著名な森倉円氏のデザインであることや製薬業界としてVtuberを活用することは先進的であったことから話題となりました(PR TIMES 2021年7月1日: 塩野義製薬からバーチャルYouTuber「シオノギカナデ(Shionogi Kanade)」がデビュー!デザインは森倉円、デビュー曲プロデュースは40mP)。残念ながら現在は活動を停止しているようですが、その取り組みについては前川雄亮 「バーチャル社員「シオノギカナデ」による薬育の新しい形」 MEDCHEM NEWS 34(2)103-103(2024)が参考になります。「シオノギカナデ」の画像は塩野義製薬ホームページ 2023年12月25日公開記事:バーチャル社員による「育薬」より知ることができます。その「SHIONOGI KANADE」の名称は商標登録されています(第6502682号)が、キャラクターは図形として商標登録されていないようです。塩野義製薬の一社提供の音楽の長寿番組「ミュージックフェア」もあり、「ナカデ」という音楽を想起させる名称からも活躍の広がりを期待していました・・・。
佐野玲愛(サノフィ)
「佐野玲愛(さのれあ)」は研修医であり、一般の方々もライソゾーム病に関心を持ちやすいよう疾患啓発をするアンバサダー(2023.02.28 サノフィ株式会社 press release: 希少疾患ライソゾーム病 疾患啓発にオリジナルキャラクター 佐野 玲愛(さのれあ)活用のお知らせ)。人気イラストレーターPOPMAN3580さんの描き下ろし。名前の由来は「サノフィ」の「サノ」と、希少疾患の「レア」に由来していると想像されます。啓発活動において(動物や妖精ではなく)実在するような人間のキャラクターを設定することで親近感が生まれるのかもしれません。キャラクターの図形と「佐野玲愛」という名称は商標登録されていないようです。
とことこ(小野薬品工業)
2025年8月6日に登録公報が発行されたばかりの商標登録第6952597号。同日に出願された「Michitech YOHA」という商標登録(第6948331号)と関連するようです(2025.01.14 PR TIMES: michiteku、日常も治療も整う、がん患者さんのための通院日管理アプリ「michiteku YOHA(よは)」の提供開始)。がん患者さんのための通院日管理アプリ「michiteku YOHA(よは)」に登場するアバターなのかもしれません。このように考えると、一切の無駄のないシンプルすぎる上記アバターの外観も「とことこ」という名称に込められた思いが何だか伝わってきますね。株式会社michitekuは小野薬品工業の100%子会社(2022.11.16 小野薬品工業 press release: 小野薬品、新規事業子会社として株式会社michitekuを設立)。前記商標権は小野薬品工業が保有しています。
シンヤくん(日本新薬)
幸福を呼ぶふくろうをモチーフにした日本新薬硬式野球部のマスコット「シンヤくん」。画像は、日本新薬硬式野球部HP(硬式野球部について)より閲覧することができます。コーポレートカラーである濃紺と白色のふくろうですね。胸には、日本新薬シンボルマーク(日本新薬の頭文字である“N”を「飛翔の鳥」にデザイン化したもの)の名札。J-PlatPatで日本新薬が保有する商標を検索しましたが、「シンヤくん」のキャラクターや名称についての商標登録は見当たりませんでした。念のため、商標登録はしておいたほうが良いのではないでしょうか。神農祭のイベントにも登場。
サンダーバード(協和キリン)
2011年、協和発酵キリン(現・協和キリン)は、サンダーバードを起用した個別化医療・抗体医薬を啓発するオンラインコンテンツ「THUNDERBIRDS Lab.」を提供。キャラクターによるレッスンと確認テストを通じて合格者を「隊員」としてストーリー型の学習体験に参加させて抗体医薬を楽しく学べる仕組みを提供しました(例えば、2012.06.05協和発酵キリン press release「協和発酵キリン 個別化医療・抗体医薬を啓発する参加型キャンペーン サンダーバードが会社を新規設立! 新入社員、採用開始 社長ジェフ・トレーシーによる「設立記者会見」ムービーを見よ!」参照)。現在、公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/kktblab)は視聴できますが、キャンペーン自体は終了しているようです。協和キリン独自のキャラクターではなく、このような著名キャラクターを採用して活用する事例といえます。
エパチー(持田製薬)
アザラシをモチーフにした動脈硬化予防を象徴するキャラクター。動脈硬化性疾患に罹患することが極めて少ない民族である北極圏のイヌイットの主食はアザラシや魚。それらには動脈硬化を防ぐEPA(イコサペント酸)が多く含まれているのだそうです。上記図形と「エパチー」の名称は商標登録されています(第4409007号、第5255011号、第4474354号)。
プレフェニャン・プレフェミャン(ゼリア新薬工業)
「プレフェニャン」と「プレフェミャン」はゼリア新薬工業の月経前症候群治療薬プレフェミンのマスコットキャラクター。「プレフェニャン」の日常は友人の「プレフェミャン」とお散歩したり、のんびり女子トークしたりなんだそうです。上記図形「プレフェニャン」(左)及び「プレフェミャン」(右)は商標登録されています(第6848472号及び第6848474号)。さらにそれぞれの顔の部分の図形も商標登録されています(第6848473号及び第6848475号)。名称もそれぞれ登録されています(第6848470号及び第6848471号)。友達キャラクターを設定することは、発信内容において会話形式にしたりストーリー展開に広がりを持たせたりするには効果的なのかもしれません。
うらりん・うらいむ(日本ケミファ)
うらりん(左)、うらいむ(右)は、ウラリット製品のキャラクター(日本ケミファ コーポレートレポート 2020)。ウラリットの有効成分はクエン酸カリウムとクエン酸ナトリウム水和物。そのクエン酸を豊富に含むというレモンとライムをキャラクターに採用したのではないかと思われます。上記それぞれの図形は商標登録されています(第5333481号(左)及び第5333480号(右))。「うらいむ」の名称(第5333479号)、「うらりんちゃん」の名称(第5348321号)も商標登録されています。「うらいむ」は呼び捨てなのに対して、「うらりん」は「ちゃん」付けで出願されたのには何か理由があるのでしょうか。
リポビタンマン(大正製薬)
「リポビタンマン」は、プロ野球の始球式やリポビタンDのサンプリング会場に登場し、リポビタンDをPRしてきたリポビタンD公認のPRキャラクター(大正製薬ホームページ)。2019年にVTuberとしてデビュー。製薬企業のキャラクターの中で一番強そうです。リポビタンDの疲労回復というイメージをその強い姿で表現しているのかもしれません。上記図形や「リポビタンマン」の名称が描かれた図形は商標登録されています(第6231113号、第6231114号)。
キスピー(キッセイ薬品工業)
キッセイ薬品工業の医療関係者向けサイトのチャットボットのアバター「キスピー」。「キスピー」の「キス」はKisseiの「Kiss」にも由来しているのでしょうか。葉っぱなのか錠剤なのか、太陽のような花のような温かさと、左右対称の均等な図形が正確性、且つ宙に浮いて近未来的なイメージを想起させます。外観上記図形と「キスピー」の名称は商標登録されています(第6614737号、第6614738号)。その医療関係者向けサイトの「KISSEI Medical Navi」も商標登録されています(第6683211号)。
ミンコ(あすか製薬)
あすか製薬のウェブサイト「女性のための健康ラボ Mint+」でナビゲーターをしている「ミンコ」。上記図形(第6598362号)のほか、いくつかのポーズが商標登録されています(第6598363号、第6598364号、第6598365号)。
はけ侍(科研製薬)
「はけ侍」は、はけ型の刀を背負った可愛い侍のキャラクター。爪水虫の治療薬を刷毛で塗ってくれるのでしょうか。上に伸びたちょんまげも刷毛に見えます。上記図形は商標登録されています(第5786424号)。科研製薬で刷毛の付いた爪水虫治療薬といえば、クレナフィン事件がありましたね(2025.06.16ブログ記事「2025.04.23 「沢井製薬 v. 科研製薬」 知財高裁令和6年(行ケ)10022 ― エフィナコナゾールの爪白癬治療用途発明の進歩性とクレナフィンクリフ ―」参照)。

ハリネズミ教頭(マルホ)
マルホは、主に皮膚科領域の医薬品を扱う製薬会社。「ハリネズミ教頭」は、同社が提供するニキビ治療サポートアプリ「ニキビログ+」の公式キャラクターです。上記図形は商標登録されています(第6170443号)。「ハリネズミ教頭」の名称も商標登録されています(第6170444号)。これら商標登録出願と同時に「ニキビログ」という名称も同日に商標登録出願されている(第6170445号)ことからこのアプリの名称とともにキャラクターの設定も社内決定されたことが想像されます。
ミルトン坊や(杏林製薬)
ミルトンのホームページ(よくあるご質問)によると、「みなさまがたからは、「ミルトン坊や」や「ミル坊」「ミルトンちゃん」等、さまざまな愛称で親しまれています。「ミルトン坊や」という愛称をお使いいただくケースが多いようです。」とのことです。上記図形は商標登録されています(第6186618号)。1998年、杏林製薬は、P&Gグループが有する日本における「ミルトン」の商標権および製造設備、販売権などを取得しました(1998.08/07 杏林製薬 press release: 殺菌消毒剤「ミルトン」の事業を杏林製薬がP&Gグループから承継)。
みつばち先生(Meiji Seikaファルマ)
「みつばち先生」は、Meiji Seika ファルマのウェブサイト「やさしい感染症ガイド」におてつだいの「ちびみつ」と一緒に登場するキャラクター。ナビゲーターの「みつばち先生」はむずかしい話もやさしい言葉で伝えるのが特技。「ちびみつ」はわからないことを見つけるのが得意。Meiji Seika ファルマの公式SNSでの情報発信にも活躍しています。上記「みつばち先生」の図形は商標登録出願されています(商願2025-098008号)。「ちびみつ」の図形も商標登録出願されています(商願2025-098007号)。
せんせん(千寿製薬)
「せんせん」は水をモチーフにしたキャラクター。「千寿製薬の価値観の総称」として明示された「SENJU SENSE」を体現するキャラクターが「せんせん」です(千寿製薬HP: SENJU SENSEとは?)。上記図形は商標登録されています(第5539425号)。いろいろなポーズの商標登録もあります(第5539426号、第5539427号、第5539428号、第6121199号)。神農祭のイベントにも登場。
ひとみの乾きうるおし隊・ひとみの疲れほぐし隊(参天製薬)
「ひとみの乾きうるおし隊」と「ひとみの疲れほぐし隊」はソフトサンティアとソフトサンティアひとみストレッチのキャラクター(参天ソフトサンティアサイト)。「ひとみの乾きうるおし隊」が上記左の図形(右手を挙げ、まつげなし)で第6962430号、「ひとみの疲れほぐし隊」が上記右の図形(左手を挙げ、まつげあり)で第6962431号として商標登録されています。瞳に関わることから、大きな瞳が特徴的です。それぞれの名称も商標登録されています(第6962427号、第6962428号)。
ロッ太・ロッチー(ロート製薬)
目薬を扱うロート製薬らしく、つぶらな目が特徴の兄妹キャラクター。CMやウェブコンテンツで使われているようです。年齢は5歳のようですが、職業はロート社員で働き者(https://x.com/eyecare_cp/status/1379324011780349954)。上記それぞれの図形(左が「ロッ太」、右が「ロッチー」)と「ロッタ」と「ロッチー」の名称は商標登録されています(第4864271号、第4864272号、第4933234号、第4933235号、第4916070号、第4961171号)。ロート製薬には、ロート公式Youtuber「根羽清ココロ」というキャラクターもいます(商標登録6375477号)。
ケロちゃん・コロちゃん(興和)
「ケロちゃん・コロちゃん」は製薬業界キャラクターの大御所。1940年代に誕生で双子のきょうだいらしいです。もとはカエルの指人形を子どもに配布したのが始まりらしいのですが、以来長年にわたり広告や店頭で活躍。日本の「企業キャラクター文化」の先駆けといえるかもしれません(コーワのケロコロランド)。上記図形は商標登録(第6642686号)されています。他にも図形についての商標登録があります(第2494841号、第2494842号、第5529016号、第6666709号、第6668712号、第5563530号、第6921706号、第6923238号)。
サトちゃん・サトコちゃん(佐藤製薬)
「サトちゃん」も製薬業界キャラクターの大御所。オレンジ色のゾウ「サトちゃん」と妹のピンク色のゾウ「サト子コちゃん」(サトちゃんシティ)。薬局前の「サトちゃんムーバー(乗り物)」は今もあるのでしょうか・・・誰もが憧れた乗り物。上記図形の「サトちゃん」と「サトコちゃん」のツーショットの商標登録(第5394892号)のほか、サトちゃんの図形や名称も多数商標登録されています(第0602683号・・・1959年の出願!、第0602685号、第0602684号、第0602684/01号、第0811118号、第0830827号、他多数)。「サト子ちゃん」(第0583870号・・・1959年の出願!)も登録されていますが、「サトコちゃん」とは違う?
ピョンちゃん(エスエス製薬)
「ピョンちゃん」も製薬業界キャラクターの大御所。初代ピョンちゃんの誕生は1952年。ウサギをモチーフにしたキャラクターで、因幡の白うさぎの物語が日本の歴史上はじめて登場する薬らしきものであったということと、さらに「白い」という清潔感、「とび・跳ねる」という躍動感など、いくつもの意味を含んだ存在であることから、シンボルマークにふさわしいということになったそうです(エスエス製薬HP: 260年のあゆみ)。1997年から活躍している9代目ピョンちゃんの上記図形は商標登録(第4194629号)されています。また、複数ポーズをまとめて一つの商標登録としている場合もあります(第5206057号)。2025年からは10代目ピョンちゃんとなりました(第6982969号)。「ピョンちゃん」の名称も商標登録されています(第5020415号)。
ジェネちゃん(沢井製薬)
カプセルをモチーフにしたキャラクターで、お薬から生まれた妖精。白衣のポケットにはいつもアメを入れているそうです。将来は“世界一有名なカプセルになる”ことが夢だそうです(沢井製薬ジェネちゃん) 。カプセル型の初代ジェネちゃん(2008年~)(商標登録第5160971号、第5165742号、第6961080号、第6962161号)から、研究者の二代目ジェネちゃん(2025年~)にバトンタッチしました(上記図形の商標登録第6959024号)。
かやくーま(日本化薬)
「世界的すきま発想。」をコーポレートスローガンに掲げている日本化薬グループのオリジナルキャラクター「かやくーま」。生息地は「世界中」でも好きな場所は「すきま」(日本化薬ウェブサイト「かやくーまの部屋」)。体の下半分は青色ですが、「かやくーま」の図形は上記のとおり色なしで商標登録されています(第5644558号、第6091127号、第6350442号)。「かやくーま」の名称も商標登録されています(第5613310号)。また、ノベルティグッズでしょうか、「かやくーま」のぬいぐるみと思われる立体商標(こちらは下半分は青色)も登録されています(第6123514号)。
太田胃にゃん(太田胃散)
胃薬で知られる太田胃散の公式キャラクター。胃の不快感をやさしく癒してくれる猫で、「胃にゃん」という語呂合わせで2012年頃に登場。ふるさとは日本橋(太田胃散HP)。太田胃散のイメージカラーの白地に青と水色が特徴です。上記図形と「太田胃にゃん」の名称は商標登録されています(第5800317号、第6298591号)。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
かんちゃん(イチジク製薬)
浣腸薬のペンギン風キャラクター。イチジク製薬の親善大使です。ゆるキャラグランプリにも出場し、製薬系キャラの中では比較的知名度が高い存在のようです(かんちゃん公式サイト)。上記図形は商標登録されています(第5926606号)。興味深い点は、後ろ姿も商標登録していることです(第5926605号)。
正露丸くん(大幸薬品)
上記図形は商標登録されています(第4462114号)。正露丸とも書かれていませんし、箱の色もわかりませんが、見ただけでラッパのマークの正露丸のキャラクターであることがわかります(ラッパのマークの正露丸🎺大幸薬品公式X)。正露丸といえば、昔、不正競争行為差止等請求事件がありましたね(ブログ記事「2008.07.07 最高裁、大幸薬品の上告不受理(正露丸)」参照)。神農祭のイベントにも登場。

Mr.Contac(Haleon社)
1996年から登場し、テレビCMでもおなじみのコンタックのイメージキャラクター(https://contac.jp/soken/release/news_54.html)。性格は、こてこての関西人で、住んでいるところは大阪です(https://contac.jp/funzone/profile/)。上記図形は商標登録されています(第6498156号、他に第4233044号、第4233045号、第4242274号、第4354203号)。「Mr. CONTAC/ミスターコンタック」の名称も商標登録されています(第4233040号)。
はるお(久光製薬)
サロンパスをこよなく愛する男。CMでもおなじみ(ハロンパスHP)。サロンパス85周年を機に「Mr.CG」から「はるお」に改名しました。上記製品はフィギアでしょうか、立体商標として登録されています(第6883372号、他にも第6126179号、第6260675号)。名称「はるお」、「貼男」、「貼夫」、「HARUO」も商標登録されています(第6239314号、第6251297号、第6239315号、第6276957号、第6251298号)。久光製薬のサロンパスの商標に関してはブログ記事「久光製薬 サロンパス®(Salonpas®)というブランド」参照。

カバくん(健栄製薬)
うがい薬のキャラクターとして長い間親しまれている「カバくん」。「カバくん」は、2015年に「イソジンうがい薬」から「明治うがい薬」へ、2022年には「明治うがい薬」から「健栄うがい薬」に引越ししました(2020.08.11ブログ記事「うがい薬といえば・・・」参照)。上記図形は商標登録されています(第5784517号)。

イソくん・イソパパ・イソママ(アイノヴァ)
イソジンのキャラクターについては紆余曲折ありましたが、2016年7月6日、ムンディファーマは、イソジンOTC製品のパッケージキャラクターを、イソママ、イソパパ、イソくんの3匹のワンちゃんファミリーとすることを発表しました(2016.07.06 ムンディファーマ press release)。その後、ムンディファーマはコンシューマーヘルス事業をiNova Pharmaceuticals(アイノヴァ)に売却しました。上記図形は商標登録されています(第5940117号)。「イソくん」、「イソパパ」、「イソママ」の名称も商標登録されています(第5974542号、第5974541号、第5931127号)。
とふめるん(三宝製薬)
「とふめるん」は、キズを見ると放っておけない性格。出身地は新宿区。2023年にデビューしたようです(https://x.com/SampoSeiyaku/status/1693456751885238560)。外用薬トフメルAのパッケージがベレー帽をかぶり可愛いキャラクターに。上記図形と名称「とふめるん」は商標登録されています(第6796965号、第6796964号)。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
仁丹王子(森下仁丹)
「仁丹王子」は、100年以上前から薬の外交官として親しまれている森下仁丹のトレードマーク「大礼服マーク」から誕生したオリジナルキャラクターで、2014年にデビューしました(商標登録第5754520号、第5754519号)。緩めのキャラクターデザインである上記図形も商標登録されています(第6827379号)。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
カイゲンの風神さん(カイゲンファーマ)
「カイゲンの風神さん」は俵屋宗達の「風神雷神図屏風」の風神をキャラクター化したカイゲンファーマのマスコットキャラクター(2021.09.28 カイゲンファーマ:風神さんと決めゼリフをリニューアル! かぜ薬「改源」)。2021年から、可愛いぬいぐるみとなって活躍中(改源のカイゲンファーマ【公式】X)。キャラクターのぬいぐるみや上記着ぐるみが商標登録されています(第5663408号、第6850451号、第6641123号)。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
オレンヂくん(株式会社大木)
「オレンヂくん」は大木ヘルスケアホールディングス公式マスコットキャラクター。大木ヘルスケアホールディングス所属デジスタ宣伝部長とのことです(オレンヂくん【公式】X@orendikun)。大木ヘルスケアホールディングスのマークはオレンジでしょうか。そしてプライベートブランドとして「オレンジケア」を展開していることからオレンジのキャラクターを活用していると思われます。上記図形は商標登録されています(第6231324号)。
ジキ忍(全薬工業)
かぜのつらさから人々の幸せな日常を守るため”ゼンヤクの里”からやってきた、黄色い忍者。かぜのひき始めになるとサッと現れ、”速攻”でかぜの諸症状と戦ってくれます(2021.10.01 全薬工業株式会社 press release: 仕事や家事で忙しい現代ママを応援ジキニンの新イメージキャラクター「ジキ忍」誕生!)。「ジキ忍」の上記図形と「ジキ忍」の名称は商標登録されています(第6525288号、第6525290号)。
熱さまくん(小林製薬)
「熱さまくん」は小林製薬を代表するブランドである熱さまシートのキャラクター。社屋には「熱さまくん」のモニュメントがあるそうです(小林製薬公式アカウントX)。特許庁のホームページにも紹介されています(2024.08.30 特許庁: 「イノベーションに寄与した日本の発明」紹介事例)。「熱さまくん」の図形は商標登録されています(第4497793号、第4637835号、第5066560号、第5322176号(上記図形)、第5322177号、第5591382号、第5694806号、第6391586号等)。「熱さまくん」の名称も商標登録されています(第4802101号)。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
カルノちゃん(浜理薬品工業)
「カルノちゃん」はL-カルノシン含有加工食品カルノパワー(浜理薬品栄養科学株式会社)のキャラクター(浜理薬品工業ホームページ)。パッケージ(ボトル)そのものに目や手足を付けたり帽子をかぶせたりして擬人化させているのではなく、鳥?のように動物化させることでパッケージをアレンジさせたという点で「かんちゃん」(イチジク製薬)と同じキャラクター分類といえるかもしれません。「カルノちゃん」の上記図形と名称は商標登録されています(第6286589号、第6286590号、第6286588号)。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
あせももキッズ(ユースキン製薬)
「あせももキッズ」はユースキンあせもシリーズの3兄妹のキャラクターで、夏になると登場してあせも予防の大切さを教えてくれます(ユースキン製薬ホームページ)。上記図形(あせももキッズの「あっくん」)や「あせもも」の名称は商標登録されています(第6116581号、第6116581号)。この他にも、ユースキンのメインキャラクター「A太郎」などたくさんのキャラクターを通して、製品のことを楽しく分かりやすく伝えています。
Woofy(ウーフィ)(テイカ製薬)
「Woofy(ウーフィ)」は丸いカラダにピンと伸びた眉毛が特徴のテイカ製薬のイメージキャラクター(テイカ製薬ホームページ)。上記図形と「ウーフィ\WOOFY」の名称は商標登録されています(第4898382号、第4962037号)。
メイちゃん(宇津救命丸)
「メイちゃん」は宇津救命丸株式会社のイメージキャラクター。ピンクの髪の女の子です。上記図形が商標登録されています(第3276181号)。宇津救命丸株式会社公式サイト(当社のキャラクター メイちゃんのご紹介)にはこのキャラクターの歴史が紹介されています。パッケージについていた女の子のキャラクターは、いつしか「メイちゃん」と呼ばれることになっていったそうです。
ビンくん・ハコさん(養命酒製造)
養命酒のビンに手足が付いた「ビンくん」と養命酒の赤い箱に手足が付いた「ハコさん」(養命酒 ビンくんX@binkun_yomeishu)。「ビンくん」の姿は養命酒製造ホームページ(https://www.yomeishu.co.jp/binkun_room/history/long/)より閲覧できます。養命酒の瓶に貼られているラベルや箱正面の図形は商標登録されています(第4345809号、第4345814号)が、これらのキャラクターについては商標登録はされていないようです。製品に手足を付けただけなので敢えて商標登録する必要はないと判断されているのかもしれません。
ベアベリーベアちゃん(大鵬薬品工業)
「ベアベリーベアちゃん」の出身はヨーロッパ(本人談)。残尿感、排尿時の不快感などの膀胱トラブルに悩む方の味方。ハルンケアベアベリー錠のサイトで登場します。ハルンケアの有効成分はヨーロッパで使用されるハーブの1つであるウワウルシ(ベアベリーリーフ)。「ベアベリーベアちゃん」の外観は、ベアベリーという名前に由来するデザインでしょうか、熊(ベア)のようなピンクの顔だちにウワウルシの実を模したと思われる耳。上記図形が商標登録されています(第6560281号)。「ベアベリーベア」の名称も商標登録されています(第6528488号)。
ササヘルスくん(大和生物研究所)
ササヘルスのボトルに手足が付いた「ササヘルスくん」。その姿は「ササヘルスくん」の初お披露を伝える大和生物研究所ホームページ(https://daiwaseibutsu.co.jp/7079)より閲覧することができます。キャラクターについては商標登録はされていないようです。養命酒のビンくんと同様に、製品に手足を付けただけなので敢えて商標登録する必要はないと判断されているのかもしれません。「ササヘルス」の名称について、大和生物研究所は「薬剤」を指定商品として登録しておらず、現社長である大泉高明氏(個人)が「薬剤」を指定商品として商標登録をしています(第0877054号)。神農祭のイベントにも登場。
みんみん3兄弟(常盤薬品工業)
「みんみん3兄弟」は、打破山(だはやま)強太郎、眠太郎、激太郎からなる眠眠打破(常盤薬品工業)のキャラクター(眠眠打破ブランドサイト)。その姿は「みんみん3兄弟」の誕生を伝える常盤薬品工業の2015.04.27プレスリリース(「本日スタート!「みんみん3兄弟」誕生!お祝いコメント投稿プレゼントキャンペーン実施。全国主要都市にて、新TVCMも同時公開」)より閲覧することができます。強烈な印象を与えるこれらキャラクターですが商標登録はされていないようです。類似する第三者は出てこなさそうなくらい特徴的な顔の外観。あえてキャラクターの図形を商標登録しておく必要はないと判断されているのかもしれません。打破山(だはやま)眠太郎くんは神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
龍角散ダイレクト君(龍角散)
「龍角散ダイレクト君」は、龍角散ダイレクトの箱そのまんまの株式会社龍角散のゆるキャラ。その姿は、龍角散ダイレクト君をご紹介している龍角散公式X(@Ryukakusan_PR)からの投稿(https://x.com/Ryukakusan_PR/status/1820271062783062513)より閲覧することができます。龍角散ダイレクトのパッケージ(正面はピーチ味のピンク、背面はミント味の青)に赤い蝶ネクタイとシルクハットの可愛いキャラクター。このように商品パッケージに目や手足を付けたり帽子をかぶせたりして擬人化させている例としては、とふめるん、ビンくん・ハコさん、ササヘルスくん、ボトルマンジョー、正露丸くん等があり、このようなキャラクターの活用は、製品そのものに注目させるキャラクター戦略といえるでしょう。「龍角散ダイレクト」は商標登録されています(第5131793号)が、キャラクターの「龍角散ダイレクト君」の名称やその図形は商標登録されていないようです。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
モドレルくん・ススムくん(ツムラ)
50歳ぐらいだと思われる2人組「モドレルくん」と「ススムくん」は昔からの友達。ツムラのウェブサイト「50歳からのフレイルアクション」で登場します。体を動かすことがあまり好きでないススムくんにモドレルくんがアドバイスすることもあるそうです。人生100年時代において、50歳はまさに折り返し地点。身体的に50代は筋肉量が大きく減少しはじめ、「身体的フレイル」になるリスクが高くなるとのことで、50歳くらいだというキャラクターの姿は、フレイルリスクがそのままススムのか、モドレルのかの折り返し地点であることを現わしているように思われます。上記図形「モドレルくん」(左)及び「ススムくん」(右)はそれぞれ商標登録されています(第6961913号及び第6961912号)。
ボトルマンジョー(救心製薬)
「ボトルマンジョー」は救心錠剤(9錠)のボトルをモチーフにしたキャラクター。その姿は救心製薬ホームページ(https://www.kyushin.co.jp/tabletmovie/)より閲覧することができます。「ジョー」は「錠」が由来でしょうか。キャラクターについては商標登録はされていないようです。製品に目と手足を付けただけなので敢えて商標登録する必要はないと判断されているのかもしれません。「ボトルマンジョー」の名称は商標登録しておいたほうが良いのではないでしょうか。
フジちゃん(富士薬品)
富士薬品のマスコットキャラクターの「フジちゃん」。毎月22日は「フジちゃん」の日(富士薬品ホームページ)。フちゃん10歳とジちゃん60歳。孫とおじいちゃんのコンビらしいです。へのへのもへじのような顔が特徴的という点で、「みんみん3兄弟」(常盤薬品工業)と同じ分類といえるかもしれません。上記図形と名称「フジちゃん」は商標登録されています(第5980716号、第5980715号)。
タカちゃんファミリー(高田製薬)
「タカちゃんファミリー」は高田製薬イメージキャラクター。高田製薬がある埼玉県は、オオタカの生息地。その「タカ」から「高田製薬」を連想してもらえるようタカの家族をイメージキャラクターにしたそうです(高田製薬ホームページ)。上記図形は商標登録されています(第5682385号、第5682384号)。ファミリーというキャラクター設定という点では、「カバくん」(健栄製薬)、「イソくん・イソパパ・イソママ」(アイノヴァ)、「フジちゃん」(富士薬品)と同じキャラクター分類といえるかもしれません。
ジェイくん(ジェーピーエス製薬)
「ジェイくん」はジェーピーエス製薬の公式キャラクター。漢方が大好きな鹿の男の子。からだとこころの不調に気づいてくれます。普段はおっとりのんびり屋さんですが、漢方のことになるとアツくなってしまう一面も…とのことです(ジェーピーエス製薬ホームページ)。上記図形は商標登録されています(第6629331号)が「ジェイくん」の名称は商標登録されていないようです。神農祭のイベントにも登場(上記神農祭イベント写真参照)。
まとめ
製薬企業のマスコットキャラクターは、単なる広告や販促のアイコンではなく、商標として法的に保護され、企業の信用やブランド価値を担う重要な存在です。
家庭薬・OTC薬を中心に発展してきた背景には、薬機法による広告規制など業界特有の事情があり、そのためキャラクターの活用方法や商標登録の戦略にも独自の特徴が見られます。
また、同一キャラクターでも複数ポーズを商標化するケース、名前のバリエーションを網羅的に出願するケース、立体商標やデジタルアバターへの展開など、実務的に参考となる多様な登録態様が確認されました。
こうした傾向は、製薬業界が長年にわたり消費者との接点を模索してきた歴史の一端を映し出しています。
キャラクター商標を観察することで、製薬企業の広告戦略やブランディングの方向性だけでなく、知財実務の柔軟な応用のあり方をも読み取ることができたのではないでしょうか。

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