Sep 14, 2013

2013.03.27 「ジェリジーン メディカル v. 特許庁長官」 知財高裁平成24年(行ケ)10354

非外傷性の皮膚の陥没: 知財高裁平成24年(行ケ)10354

【背景】

「老齢関連の軟組織の欠陥の増強と修復」に関する特許出願(特願2001-534337、特表2003-517858、WO01/32129)の拒絶審決(不服2009-005175)取消訴訟。争点は進歩性。

本願発明:
生体外で複数の哺乳類の細胞が単離された後に,患者の組織の欠陥補修や増殖のための医用組成物の調整において生体外で単離された哺乳類の複数の細胞を使用する方法であって,前記欠陥は,括約筋構造の機能不良,脂肪沈着(セルライト)の存在,異常に肥大した傷跡,真皮欠陥,皮下欠陥,筋膜,筋肉,皮欠陥,皮膚薄弱化,皮膚弛緩,火傷,傷,ヘルニア,靭帯破裂,腱破裂,禿頭,歯周の不調,歯周の病気,及び胸部組織の欠陥により構成されたグループから選択され,前記方法は,生体外で単離された哺乳類の複数の細胞から成る組成物を,欠陥の場所の内部又はそれに接近した場所における組織の中に挿入する,ことを特徴とする方法。
審決が認定した本願発明と引用発明の相違点は、本願発明では,「欠陥」が「括約筋構造の機能不良,脂肪沈着(セルライト)の存在,異常に肥大した傷跡,真皮欠陥,皮下欠陥,筋膜,筋肉,皮欠陥,皮膚薄弱化,皮膚弛緩,火傷,傷,ヘルニア,靭帯破裂,腱破裂,禿頭,歯周の不調,歯周の病気,及び胸部組織の欠陥により構成されたグループから選択され」るのに対し、引用例発明では、これらに相当するものが「笑いじわ(鼻唇ひだ),口周囲のしわ,眉間の溝,陥没瘢痕,口唇形成不全,又は光線性頬しわ」である点、であった。

【要旨】

主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
裁判所の判断(抜粋)
引用例には,引用例発明における治療の対象である「笑いじわ(鼻唇ひだ),口周囲のしわ,眉間の溝,陥没瘢痕,口唇形成不全,及び光線性頬しわ」という欠損以外に,「非外傷性の皮膚の陥没」に対しても,下部隣接組織内に懸濁物(すなわち,自己の皮膚繊維芽細胞)を注入して修復できることが記載されている(特許請求の範囲第1,2,5項)。ここで,技術常識及び「陥没」の語義(乙3)からして,「非外傷性の皮膚の陥没」は,皮膚に外傷はなく,表皮,真皮,皮下組織のうち少なくともいずれかに欠陥がある状態やその部位の皮膚が薄くなっていることを意味すると,当業者には理解できるから,本願発明における補修の対象である「真皮欠損,皮下欠損」,「皮欠損,皮膚薄弱化」に該当するということができる。そうすると,引用例には,本願発明における補修の対象となる欠陥についても記載されているといえるから,「本願発明における真皮欠陥,皮下欠陥,皮欠陥,又は皮膚薄弱化のいずれかに該当する『非外傷性の皮膚の陥没』を改善するため,しわ,陥没瘢痕,及び口唇の発育不全にかえて,『非外傷性の皮膚の陥没』に対して引用例発明を用いてみることは,当業者にとり格別困難な事項とはいえない。
そして,引用例発明はしわ等に対して治療効果を示すことを明らかにしており,非外傷性の皮膚の陥没に対しても同様に効果を示すことが期待できるものといえるところ,本願発明が引用例発明からみて格別優れた作用を示すことは明らかにされていない。」とした審決の相違点に関する判断にも誤りは認められない。
したがって,いずれにしても,原告の上記主張は失当である。
【コメント】

医療関連の発明なので取り上げたが、特に参考になる点はなさそう。

出願人が同じ最近の判決:

2013.03.25 「ジェリジーン メディカル v. 特許庁長官」 知財高裁平成24年(行ケ)10324

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