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「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた意見 ― 医薬品の臨床試験データを保護する制度(データ保護制度)の法制度化を要望 ―

知的財産戦略本部では、同本部の下におかれた構想委員会において「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた検討を進めており、今後、「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた検討に役立てるため、パブリック・コメントを募集しています(「知的財産推進計画2024」の策定に向けた意見募集参照。募集期間:令和6年2月26日~令和6年3月27日)。

Fubuki
Fubuki

匿名なので受け付けてもらえないかもしれませんが、一国民として意見を提出しました。

データ保護制度について当ブログで取り上げてきたことを、なんとか1000文字以内(意見本文)にまとめました。

「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた意見

提出日2024年3月13日

氏名:Fubuki(ふぶき)(匿名)

職業:    

電子メール:         

内閣府知的財産戦略推進事務局御中

「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた意見を以下のとおり提出いたします。

ご検討の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

該当項目: D.知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化

<意見>

医薬品の臨床試験データを保護する制度(データ保護制度)の法制度化を要望する。

医薬品開発は長期間と膨大な投資が必要で成功確率が低いリスクを伴う。データ保護制度は、新薬承認時に提出された臨床試験データをもとに後発品申請することを一定期間禁止することで、特許の有無に関係なく、新薬開発に必要な投資の回収を保証し、さらなるイノベーションを促進するために不可欠なものである。世界的に見てもTRIPS協定さらに日英包括的経済連携協定や日EU経済連携協定では臨床試験データの保護を明確に規定しており、米国・EU・韓国等では既に明確に法制度として整えている。[1]

しかしデータ保護制度を定める法律は日本にない。日本がこのグローバルスタンダードから遅れをとっている現状は、国際的な競争力の低下だけでなく、国民の健康へのアクセスにおいても不利益をもたらしている。

再審査制度がそれに該当するとの誤解があるが[2]、再審査制度は医薬品の品質・有効性・安全性を再確認する(薬機法14条の4)ために製造販売業者に一定期間の調査報告義務を課すものであり、目的の異なるデータ保護制度であるかのような歪な運用は見直すべきである。

再審査制度から独立したデータ保護制度の創設は、イノベーションを促進し、最終的には国内の公衆衛生向上と経済発展につながる重要事項である。

以上


[1] 韓国では、2024年2月20日、「データ保護制度」を新設する薬事法の一部改正法(法律第20328号)が公布されました。公布後1年が経過した日(2025年2月21日)から施行します(参照URL: https://www.law.go.kr/LSW/lsInfoP.do?lsiSeq=260567&ancYd=&ancNo=&efYd=20240220&nwJoYnInfo=Y&ancYnChk=0&efGubun=Y&vSct=*#0000)。従前の再審査制度(第32条)は、本来、医薬品の安全性等の確認を目的として新規医薬品の承認を受けた先発医薬品メーカーに課される規制上の義務を定めたものであるにもかかわらず、後発医薬品が承認されない新規医薬品の独占期間という先発医薬品メーカーのインセンティブとしても働いていました。今回の薬事法の一部改正は、新規医薬品の承認時に先発医薬品メーカーにより提出された臨床試験資料をもとに後発医薬品を承認申請することを一定期間禁止する「データ保護制度」(第31条の6)を新設し、一方で、再審査制度(第32条)を廃止して、新設する医薬品市販後安全管理制度(第32条の2)に統合することによって、異なる目的と期待とが混在していた歪な状況から目的に沿った法システムに整備したといえるでしょう。

[2] 2016.11.02 内閣官房TPP政府対策本部「TPPに関するQ&Aの公表」(参照URL: https://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo/2016/pdf/161102_tpp_qanda_zentai.pdf)。

コメント

  1. 匿名 より:

    「匿名なので受け付けてもらえないかもしれませんが」との事ですが、Fubuki先生の貴重・重要かつ適確なご意見を、確実に届けていただき、知財政策に反映いただくために、是非、匿名ではない方法で、確実に受理されるような方法でご提出いただく事を、切に希望します!

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