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2005.02.24 「長生堂 v. 三共」 東京高裁平成16年(行ケ)341

「メバラチオン」は「メバロチン」と混同するか?: 東京高裁平成16年(行ケ)341

【背景】

長生堂(原告)は、「メバラチオン」の片仮名文字と「MEVALATION」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、指定商品を第5類「薬剤」とする登録商標の商標権者であったが、三共(被告)が使用する登録商標「メバロチン」等(引用A~D商標)(いずれも指定商品「薬剤」含む)と商4条1項15号に該当するとした無効審決に対して原告は取消訴訟を提起した。

【要旨】

裁判所は、

(1)引用商標の周知著名性、(2)引用商標の独創性の程度、(3)本件商標と引用商標の類似の程度、(4)商品環の関連性、需要者、(5)取引者の共通性、(6)混同を生ずる恐れを検討し、

「原告が本件商標を薬剤,特に高脂血症用薬剤に使用した場合には,その需要者,取引者において,被告あるいは被告と資本関係ないしは業務提携関係にある会社の業務に係る商品等と混同するおそれがあるということができる。本件商標が商標法4条1項15号に該当し,無効であるとの審決の判断には誤りはない。」

と判断した。

請求棄却。

【コメント】

三共(第一三共)のメバロチン®(Mevalotin、一般名: プラバスタチンナトリウム(pravastatin sodium)、高脂血症治療薬、HMG-CoA還元酵素阻害剤)の日本での特許切れが2002年であり、後発品が既に参入している。

後発品の商標を無効にしたとしても焼け石に水なのかもしれないが・・・。ちなみに、第一三共株式会社の2008年3月期中間決算短信及び補足資料(2007年11月6日発表)によると、メバロチンの売上高は、2006年度において935億円であり、前年に比べ497億円減、2007年度も売上減となる予測である。

米国での特許切れによるジェネリック参入の本格化が大きく影響したようである(海外ではBristol-Myers Squibbが販売。販売名はPravachol®)。

スタチンではリピトール®(Lipitor、一般名: Atorvastatin)のシェアが圧倒的。

参考:メバロチンの世界売上高推移

2003年度:2054億円
2004年度:1667億円
2005年度:1432億円
2006年度: 935億円
2007年度: 790億円(予測)

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