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2017.10.25 「ディーエイチシー v. 富士フイルム」 知財高裁平成28年(行ケ)10092; 知財高裁平成28年(ネ)10093

アスタキサンチン含有スキンケア用化粧料の進歩性2: 知財高裁平成28年(行ケ)10092知財高裁平成28年(ネ)10093

知財高裁平成28年(行ケ)10092は、富士フイルムが保有する「分散組成物及びスキンケア用化粧料並びに分散組成物の製造方法」に関する特許(第5046756)の無効審判請求(無効2015-800026)を不成立とした審決の取消訴訟。

争点は進歩性の判断の当否。裁判所は、甲1ウェブページについて、本件出願日前に電気回線を通じて公衆に利用可能であったものと認めることはできず、本件発明が引用発明1に基づき容易に発明することができたとの無効理由はその前提に誤りがあり、審決の結論に誤りはないと判断した。

ディーエイチシーの請求を棄却した。富士フイルム勝訴。

知財高裁平成28年(ネ)10093は、本件特許についての特許権侵害差止等請求事件。原審(東京地裁判決(2016.08.30 「富士フイルム v. ディーエイチシー」 東京地裁平成27年(ワ)23129))と同様に、ディーエイチシー製品はいずれも本件発明の各技術的範囲に属するものと認めたが、本件発明は、乙34ウェブページに記載された引用発明に基づき、本件特許には進歩性欠如の無効理由があり、無効にされるべきものと認められるから、本件特許権を行使することはできないとして、控訴人(富士フィルム)の控訴を棄却した。ディーエイチシー勝訴。

上記審決取消訴訟と特許権侵害訴訟とで知財高裁での勝敗が異なったのは、それぞれ無効理由として進歩性欠如の主張の基礎として挙げられていた引例が異なっていたためであって、引例として主張されたウェブページが本件出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであったかという問題において、前者引例ウェブページは利用可能となっていたとの主張が認められず、後者引例ウェブページは利用可能となっていたとの主張が認められたという点で異なってた。結局のところ、特許権侵害差止等請求事件(知財高裁平成28年(ネ)10093)により、富士フイルムは特許権を行使することができないと判断されたことで、一連の係争で富士フイルムは敗訴ということとなった。

参考:

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