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ペメトレキセド点滴静注液に関する特許権について

2021年3月10日、富士フイルム富山化学(株)より「ペメトレキセド点滴静注液に関する特許権について」の謹告文が掲載されました。

富士フイルム富山化学(株)は、2021年2月15日に代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤のペメトレキセド点滴静注液100mg/500mg「トーワ」(以下、「本剤」)の製造販売承認を取得しました。本剤は先発医薬品アリムタ®注射用100mg/500mg(有効成分はペメトレキセドナトリウム水和物(Pemetrexed Sodium Hydrate))(製造販売元: 日本イーライリリー(株))(1)の後発医薬品(剤形違い)。東和薬品(株)が独占的に販売・プロモーション活動を行います(2021.02.15 東和薬品 press release: ペメトレキセド点滴静注液100mg/500mg「トーワ」製造販売承認取得)。

ペメトレキセドを有効成分とする医薬品で液剤化に成功し承認されたのは、国内では本剤が初めてとのことで、本剤は、2件の特許権(特許第6099810号(2)及び特許第6313317号(3))により保護されており(4)、また、ペメトレキセド点滴静注液に関する3件の特許権(特許第6099557号、特許第6120766号、及び特許第6352476号)も存続しているとのことです。


1: アリムタ®の用法・用量に関する特許(第5102928号及び第5469706号)の有効性を巡って、特許権者であるイーライリリー社と複数の後発医薬品メーカーとの間で争われていたが、特許権者が勝訴しており、これら特許権は2021年6月15日に存続期間が満了する。厚生労働省(PMDA)が本剤を承認判断する際に、まだ存在する上記アリムタ®の用法・用量に関する特許権(パテントリンケージ)は問題にならなかったのであろうか。参考記事:  2019.11.28 「ニプロ v. イーライ リリー」 知財高裁平成30年(行ケ)10115; 10116

2: 特許第6099810号の請求項1及び請求項2の記載は以下のとおり。存続期間満了日は2034年12月26日。

【請求項1】
(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含有する水性組成物と、水性組成物を封入する容器と、を備え、水性組成物を封入する容器内の気体中の酸素濃度が2.0体積%以下である注射液製剤。
(i)ペメトレキセド又はその塩
(ii)システイン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1つで、水性組成物の全質量に対して0.001質量%以上0.1質量%以下の含有量である抗酸化剤A
(iii)水性組成物の全質量に対して0.001質量%以上0.1質量%以下の含有量であり、水性組成物中のペメトレキセド又はその塩の含有量との比率が、質量基準で、1:0.007~1:0.031であるチオグリセリン
(iv)水性組成物の全質量に対して50質量%以上の含有量である水性溶媒
【請求項2】
水性組成物と、水性組成物を封入する容器と、を備える注射液製剤であって、水性組成物が(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含有し、注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比が、0.0160以下である注射液製剤。
(i)ペメトレキセド又はその塩
(ii)システイン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1つで、水性組成物の全質量に対して0.001質量%以上0.1質量%以下の含有量である抗酸化剤A
(iii)水性組成物の全質量に対して0.001質量%以上0.1質量%以下の含有量であり、水性組成物中のペメトレキセド又はその塩の含有量との比率が、質量基準で、1:0.007~1:0.031であるチオグリセリン
(iv)水性組成物の全質量に対して50質量%以上の含有量である水性溶媒

3: 特許第6313317号の請求項1及び請求項2の記載は以下のとおり。存続期間満了日は2034年10月2日。

【請求項1】
(i)~(iii)を含有し、さらに、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、トリエタノールアミン、トロメタモール、及び、エデト酸二ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのpH調整剤を含有する水性組成物と、水性組成物を封入する容器と、を備え、水性組成物を封入する容器内の気体中の酸素濃度が0.2体積%以下である、注射液製剤。
(i)ペメトレキセド又はその塩
(ii)アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つで、アスコルビン酸換算で、水性組成物の全質量に対して0.0001質量%以上0.5質量%以下の含有量である抗酸化剤
(iii)水性組成物の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒
【請求項2】
水性組成物と、水性組成物を封入する容器と、を備える注射液製剤であって、
水性組成物が(i)~(iii)を含有し、さらに、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、トリエタノールアミン、トロメタモール、及び、エデト酸二ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのpH調整剤を含有し、
注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比が、0.0025以下である注射液製剤。
(i)ペメトレキセド又はその塩
(ii)アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つで、アスコルビン酸換算で、水性組成物の全質量に対して0.0001質量%以上0.5質量%以下の含有量である抗酸化剤
(iii)水性組成物の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒

4: これら特許権について、登録されてから承認までの期間について、特許権の存続期間延長登録出願をしていない。後発医薬品ではあるが、謹告にて他社を牽制するのなら、延長出願をすることも可能性としてあったように考えられる。

コメント

  1. Fubuki Fubuki より:

    2021.02.15 日本化薬のペメトレキセド点滴静注用800mg「NK」、ペメトレキセド点滴静注液100mg「NK」・同500mg「NK」・同800mg「NK」についての製造販売承認取得のお知らせ
    https://mink.nipponkayaku.co.jp/product/di/ot_file/o197.pdf
    には「先発医薬品の特許満了日を考慮し、発売日等は改めてご案内申し上げます。」とある。

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