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2021.09.21 「マルホ v. 健栄製薬」 知財高裁令和3年(行ケ)10028; 令和3年(行ケ)10029・・・健栄製薬の登録商標「ヒルドマイルド」について「ヒルドイド」に類似するとのマルホの主張を認める

>前回記事から続く

前回記事「2021.08.19 「マルホ v. 健栄製薬」 知財高裁令和3年(行ケ)10030; 令和3年(行ケ)10031・・・健栄製薬の登録商標「ヒルドソフト」について「ヒルドイド」に類似・混同するとのマルホの主張を認めず」

2021.08.19 「マルホ v. 健栄製薬」 知財高裁令和3年(行ケ)10030; 令和3年(行ケ)10031・・・健栄製薬の登録商標「ヒルドソフト」について「ヒルドイド」に類似・混同するとのマルホの主張を認めず
>前回記事から続く前回記事「マルホ「ヒルドイド」商標権の侵害・不正競争行為に基づき、健栄製薬「ヒルマイルド」の販売差止仮処分の申立て」マルホは、健栄製薬の「ヒルマイルド」の販売等が、ヒルドイド®に係るマルホの商標権の侵害及び不正競争行為に該当すると主張して、2021年1月21日付で、大阪地方裁判所に、「ヒルマイルド」の販売差止等を求めて仮処分の申立てを行った(2021.01.22 マルホ p...
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1.はじめに

マルホは、健栄製薬の「ヒルマイルド」の販売等が、ヒルドイド®に係るマルホの商標権の侵害及び不正競争行為に該当すると主張して、2021年1月21日付で、大阪地方裁判所に、「ヒルマイルド」の販売差止等を求めて仮処分の申立てを行っている。

マルホは、健栄製薬が登録した別の商標「ヒルドソフト」及び「HIRUDOSOFT」に対して、商標登録無効審判を請求したが、それぞれの請求不成立審決取消訴訟(以下、両者を併せて「別件訴訟」という。)でもマルホの主張は認められず、請求棄却判決となった(前回記事)。

また、マルホは、健栄製薬が登録した別の商標「ヒルドマイルド」及び「HIRUDOMILD」(以下、両者を併せて「本件商標」という。)に対しても、「ヒルドイド」または「Hirudoid」(以下、両者を併せて「引用商標」という。)に類似する等主張して商標登録無効審判を請求していた。そして、それぞれの請求不成立審決の取消しを求めてマルホが提起した訴訟(以下、両者を併せて「本件訴訟」という。)が判決に至ったので、その判決内容を本記事にて紹介する。

本件訴訟で争われた本件商標「ヒルドマイルド」及び「HIRUDOMILD」と、別件訴訟で争われた別件商標「ヒルドソフト」及び「HIRUDOSOFT」とで、同じ引用商標「ヒルドイド」または「Hirudoid」に対する類否判断が異なる結論となった点で興味深い判決となった。

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2.背景

本件訴訟(令和3年(行ケ)10028令和3年(行ケ)10029)は、健栄製薬(被告)が商標権者である以下の商標に対して、マルホ(原告)が請求した商標登録無効審判において、特許庁が請求不成立審決をしたため、マルホが審決の取消しを求めて提起した訴訟である。争点は、本件商標の登録が商標法4条1項11号又は同項15号に該当するか否かである。

 登録第6178213号登録第6178214号
商標権者健栄製薬株式会社健栄製薬株式会社
商標ヒルドマイルド(標準文字)HIRUDOMILD(標準文字)
指定商品第5類「薬剤」第5類「薬剤」
登録出願日平成30年8月8日平成30年8月8日
登録査定日令和元年7月30日令和元年7月30日
設定登録日令和元年9月6日令和元年9月6日
無効審判無効2020-890023号事件無効2020-890024号事件
請求人マルホ株式会社マルホ株式会社
請求日令和2年2月28日令和2年2月28日
審決令和3年1月5日
(請求不成立)
令和2年12月25日
(請求不成立)
本件訴訟令和3年(行ケ)10028令和3年(行ケ)10029
提起日令和3年2月12日令和3年2月12日
表1 本件商標
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3.裁判所の判断

裁判所は、本件商標と引用商標は類似するものであるから、本件商標は商標法4条1項11号に該当し登録することができないと判断し、マルホ(原告)の請求は理由があるから、その余の点(同項15号)につき判断するまでもなく、本件審決を取り消すとの判決をした。

以下に、本件商標「ヒルドマイルド」についての裁判所の判断(令和3年(行ケ)10028)を抜粋する(一部省略など修正あり)。

他方の本件商標「HIRUDOMILD」についての裁判所の判断(令和3年(行ケ)10029)の内容も同様であるため、省略する。

(1)商標の類否について

裁判所は、本件商標と引用商標の類否判断をする前に、商標の類否判断については具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当であることの原則を示したうえで、さらに、結合商標の構成部分の一部を抽出して当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合について、以下のとおり、最高裁判決を引用しつつ、それら判断の一般原則を述べた。

商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであり,かつ,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。

また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合等,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には,その構成部分の一部を抽出し,当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁)。

(2)本件商標と引用商標

ア 本件商標について

本件商標が7文字からなるものでその一部のみを観察することも想定可能な程度の長さを有していること,その構成中の「マイルド」の文字部分は・・・「物事の程度や人の性質・態度などが穏やかなさま。」「刺激の少ないさま。」などを意味する単語として日常的に使用されており,ひとまとまりの語句として強く認識され得るものであることからすると,本件商標は,「ヒルド」の構成部分と「マイルド」の構成部分からなる結合商標であるとみることができる。

そして,「ヒルド」の構成部分は,辞書等に採録された既成語ではなく一種の造語と理解され,・・・長期間にわたって原告商品の外には薬剤の名称には使用されておらず,薬剤の名称としてありふれたものではないことからしても,需要者に対し,商品の出所識別標識として強い印象を与えるといえる。これに対し,「マイルド」の構成部分は,・・・薬剤の分野においては,薬の効果や刺激が弱いことを意味するものとして薬のブランド名等とともに商品名に用いられることが相当程度にある語句であるから,指定商品である薬剤との関係において,自他識別機能は極めて弱いというべきであり,「マイルド」の構成部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じるとはいえない。

そうすると,本件商標については,「ヒルド」の文字のみを抽出し,この部分だけを引用商標と比較して類否を判断することも許されるというべきである。

したがって,本件商標については,「ヒルドマイルド」の外観及び称呼のほか,「ヒルド」の外観及び称呼が生じるものとして引用商標と比較することが相当である。なお,「ヒルド」は辞書等に採録された既成語ではなく,特定の意味合いを有しない一種の造語と理解され,本件商標からは特定の観念を生じないというべきである。もっとも,・・・「ヒルドマイルド」が薬剤に使用された場合には,「薬効又は刺激が弱い『ヒルド』」という観念が生じ得ると認めるのが相当である。

イ 引用商標について

引用商標1は,「Hirudoid」の8文字のアルファベットからなるものであり,「ヒルドイド」の称呼を生じる。辞書等に採録された既成語ではなく,特定の意味合いを有しない一種の造語と理解され,特定の観念を生じない。

引用商標2は,「ヒルドイド」の5文字の片仮名からなるもので,「ヒルドイド」の称呼を生じる。辞書等に採録された既成語ではなく,特定の意味合いを有しない一種の造語と理解され,特定の観念を生じない。

(3)本件商標と引用商標の類否

本件商標の指定商品は「薬剤」であり,引用商標2の指定商品は「薬剤」を含むものであって,その指定商品は同一である。

本件商標は,その7文字中,4文字目の「マ」,6文字目の「ル」を除く「ヒルド」「イ」「ド」の5文字が引用商標2と共通し,その並び順も同じである。

次に,称呼についてみると,本件商標と引用商標2は,「ヒルド」「イ」「ド」の5つの構成音が共通し,その並び順も同じであり,本件商標の方が引用商標2よりも「マ」と「ル」の2音多いものの,印象の強い語頭の3音と語尾の1音が同じである。そして,・・・本件商標は,薬剤に使用された場合,「薬効又は刺激が弱いヒルド」を連想させるものである。

本件商標の「ヒルド」の構成部分と引用商標2を比較すると,その3文字全てが引用商標2の冒頭3文字と共通し,その3つの構成音全てと引用商標2の語頭の3つの構成音が共通する。「ヒルド」及び引用商標2はいずれも特定の意味を有しない造語であり,それ自体から特定の観念は生じない。

原告商品は医療用医薬品であるものの,その需要者は医療関係者に限られるものではなく,その最終需要者は患者である上に,・・・記事やオンラインショップ等で,市販品であるヘパリン類似物質含有製剤について「『ヒルドイド』で知られる医療用保湿剤の成分」を配合している旨の説明がされるほどに「ヒルドイド」が市販品である保湿剤の購入者に知られていたと推認されることからしても,原告使用商標が表示された原告商品の需要者には,医師等医療関係者のみならず患者も含まれるというべきである。本件商標の付された商品は存在しないものの,仮に被告が主張するように医療用医薬品のみに使用されるものであったとしても上記需要者の認定を左右しない。

その上で,取引の実情について検討するに,・・・

  • 引用商標1を表示した原告商品が60年以上にわたり販売され,そのうち約40年は引用商標2も併せて表示されていること,
  • 原告が原告商品について一定の宣伝活動を継続していること,
  • 平成29年度には原告商品が医療用医薬品の年間売上げで19位となるなど非常に高い売上げを有していること,
  • 平成26年度から平成30年度までの間のヘパリン類似物質含有製剤又は血液凝固阻止剤の分野における原告商品の売上占有率は,徐々に減少しているものの全期間を通じて金額にして7割,数量にしても5割を超えていたこと,
  • 平成29年頃には,アンチエイジングの効果がある又は肌荒れ・乾燥に効果のある保湿クリームとして女性誌等でも取り上げられ,美容目的で処方を受ける例があることが疑われるなどとして問題視されるまでになっていたこと,
  • 原告が適正な処方をするよう注意喚起した後に,原告商品と同じヘパリン類似物質を配合した市販品(医薬品又は医薬部外品)が複数販売されるようになり,製造者や販売店が,「ヒルドイドで有名な『ヘパリン類似物質』を配合」などと説明するなどしていたこと及び
  • 令和3年2月から同年3月に実施されたアンケートによると乾燥肌等に対する皮膚薬を使用又は1年以内に使用した者の44%が「ヒルドイド」を保湿剤であると認識していたこと

からすると,平成29年頃までには,需要者の相当割合の者が,「ヒルドイド」という造語から,「ヘパリン類似物質を配合した保湿剤」である原告商品を想起するものと認められ,長期間をかけて形成されたこの状況は,本件商標の出願日及び本件査定日においても継続していたものと認めるのが相当である。

また,昭和51年から平成11年まで販売されていた「ヒルドシン」を除けば,語頭に「ヒルド」が付された薬剤は原告商品のみであったこと,原告が原告商品について適正な処方をするよう注意喚起した後に,原告商品と同じヘパリン類似物質を配合した市販品(医薬品又は医薬部外品)が複数販売されるようになり,そのうち医薬部外品の一つは語頭に「ヒルド」を用いており,一部の購入者が原告商品の市販品であると誤解して購入するなどしていたこと等に照らすと,本件商標の出願日及び本件査定日時点において,需要者の間では,「ヒルド」は,「ヒルドイド」を意味する単語として認識されていたと認めるのが相当であるから,「ヒルド」と引用商標2は,いずれも「ヘパリン類似物質を配合した保湿剤であるヒルドイド」を想起させるということができ,観念を共通とするものと認められる。

上記を総合すると,本件商標と引用商標2は,指定商品が同一で,外観,観念,称呼に共通している部分があり,同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるというほかないから,両商標は類似すると認めるのが相当である。

以上のとおり,本件商標は,その商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標である引用商標2と類似するもので,引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品を指定商品とするものであるから,商標法4条1項11号に該当し,登録することができない。原告の主張する取消事由1は理由がある。

そうすると,その余の点につき判断するまでもなく,本件審決は取消しを免れない。

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4.コメント

(1)マルホが請求している商標登録無効審判

マルホが請求している商標登録無効審判は、今回取り上げた事件を含めて5件ある。いずれも請求不成立審決となり、その取消しを求めて訴訟が提起された。マルホと健栄製薬のこれら審決取消訴訟は2勝2敗となった。残る「ヒルドプレミアム」(こちらは商標権者は株式会社Stay Freeである)についての判決内容も近日中に明らかになるだろう。

しかし、本丸は、審決取消訴訟で争われているこれら商標登録の是非ではなく、あくまでも「ヒルマイルド」に対する訴訟である。

(2)本件訴訟と別件訴訟との類否判断の比較

本件訴訟で争われた本件商標「ヒルドマイルド」及び「HIRUDOMILD」と、別件訴訟(参照: 2021.08.19 「マルホ v. 健栄製薬」 知財高裁令和3年(行ケ)10030; 令和3年(行ケ)10031・・・健栄製薬の登録商標「ヒルドソフト」について「ヒルドイド」に類似・混同するとのマルホの主張を認めず)で争われた別件商標「ヒルドソフト」及び「HIRUDOSOFT」とで、同じ引用商標「ヒルドイド」または「Hirudoid」に対する類否判断が異なる結論となった点で興味深い判決となった。

2021.08.19 「マルホ v. 健栄製薬」 知財高裁令和3年(行ケ)10030; 令和3年(行ケ)10031・・・健栄製薬の登録商標「ヒルドソフト」について「ヒルドイド」に類似・混同するとのマルホの主張を認めず
>前回記事から続く前回記事「マルホ「ヒルドイド」商標権の侵害・不正競争行為に基づき、健栄製薬「ヒルマイルド」の販売差止仮処分の申立て」マルホは、健栄製薬の「ヒルマイルド」の販売等が、ヒルドイド®に係るマルホの商標権の侵害及び不正競争行為に該当すると主張して、2021年1月21日付で、大阪地方裁判所に、「ヒルマイルド」の販売差止等を求めて仮処分の申立てを行った(2021.01.22 マルホ p...

別件訴訟では、原告は「本件商標のうち「ヒルド」の部分を要部として,引用商標との対比によって類否の判断がされるべきである」と主張していたが、裁判所は、

「ヒルド」と「ソフト」は不可分一体の造語として認識されるものであり,「ヒルド」と「ソフト」を分離して観察するのは相当でない。

と判断した。

一方、本件訴訟では、裁判所は、本件商標「ヒルドマイルド」を結合商標と認めて「ヒルド」と「マイルド」を分離して観察しただけではなく、引用商標「ヒルドイド」についても

需要者の間では,「ヒルド」は,「ヒルドイド」を意味する単語として認識されていたと認めるのが相当である

と認定している。

この点の判断の違いが、同じ引用商標に対する類比判断において、本件訴訟「ヒルドマイルド」と別件訴訟「ヒルドソフト」では異なる結論になったといえる。

商標が「ヒルドマイルド」と「ヒルドソフト」とで異なるとはいえ、両判決で異なる判断となったことには違和感を覚えるのだがこれでよいのだろうか。 

別件訴訟で争われた登録商標「ヒルドソフト」についてになるが、本件訴訟のように同じ引用商標「ヒルドイド」にもかかわらず、需要者の認識について異なる認定・判断が出たのであれば、別件訴訟の判断は、はたして妥当だったのだろうか、それとも本件訴訟の判断が妥当でないのか、と思う。

そして、さらに、「ヒルドイドソフト」は1996年から医薬品として使用されており(2008年に現販売名「ヒルドイドソフト軟膏 0.3%」に変更)、「ヒルドイドソフト」としても広く需要者に知られていたと思われるから、「ヒルドイドソフト」に対しての15号判断についても、別件訴訟の判断ははたして妥当だったのだろうかとも思うのである。

本件訴訟は知財高裁第2部(裁判官:本多・浅井・勝又)、別件訴訟は知財高裁第4部(裁判官:菅野・中村・岡山)により判断された。

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5.おわりに

マルホは、健栄製薬の「ヒルマイルド」の販売等が、ヒルドイド®に係るマルホの商標権の侵害及び不正競争行為に該当すると主張して、大阪地方裁判所に、「ヒルマイルド」の販売差止等を求めて仮処分の申立てを行っている。

別件訴訟である「ヒルドソフト」は「ヒルドイド」と類似しないとの判決となったが、本件訴訟において「ヒルドマイルド」は「ヒルドイド」と類似するとの判決を得たことは、マルホにとって、上記仮処分の申し立ての対象である「ヒルマイルド」が「ヒルドイド」と類似する又は出所混同するとの主張に少しは(?)追い風になったのかもしれない。

しかし、本件訴訟の判決内容は、「ヒルドマイルド」は「ヒルド」と「マイルド」からなる結合商標であるとみて「ヒルド」の文字を抽出し、この部分を引用商標「ヒルドイド」との類否判断において注目して判断されたものである。このロジックが、「ヒルマイルド」の場合には当てはまらないことから、必ずしも、本件訴訟におけるマルホにとっての勝訴判決が、「ヒルマイルド」の販売差止等を求める仮処分の申し立ての判断に有利に働くとは思えない。

やはり、残る点は、健栄製薬が製造販売する「ヒルマイルド」の商品パッケージが、ピンク色の蓋と白と赤色(商品名)を基調とする原告商品(ヒルドイド)と同じく赤色又はピンク色を基調とするものである点が不正競争防止法2条1項1号の観点でどう判断されるかどうかくらいだろうか。

2021.09.01 健栄製薬「包装・表示ヒルマイルドローション 60g 包装変更案内」より

しかし、健栄製薬は、ヒルマイルドの新製品または一部商品パッケージにおいて、キャップの色調をピンク色から白色へ変更することを発表した(2021.07.28 健栄製薬「新発売 ヒルマイルドクリーム30g、100g 新商品案内」、2021.09.01 健栄製薬「包装・表示ヒルマイルドローション 60g 包装変更案内」、2021.07.28 健栄製薬「新発売 ヒルマイルドローション30g 新商品案内)。

ヒルマイルドの当初商品パッケージが、「ピンク色の蓋」と白と赤色又はピンク色を基調とする「ヒルドイド」と同じ又は類似するように見えるかもしれない点が、不競法2条1項1号に問われる可能性を回避したのかもしれない。

商標無効審決取消訴訟で争われている残る「ヒルドプレミアム」についての判決、そして、健栄製薬の「ヒルマイルド」の販売等がヒルドイド®に係るマルホの商標権の侵害及び不正競争行為に該当するとマルホが主張して提起した訴訟の行方を引き続き見守りたい。

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