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スガマデクス液剤の製造方法に関する特許権について

2024年5月7日、丸石製薬による「スガマデクスまたはその薬理学的に許容される塩含有液剤およびその製造方法に関する特許権について」の謹告文が掲載されました。

この謹告において、丸石製薬は、2021年9月28日に、日本特許第6950966号(発明の名称:スガマデクスまたはその薬理学的に許容される塩含有液剤およびその製造方法、請求項1を以下に示す)の登録を受け、その特許権を保有しており、滅菌工程において、ろ過滅菌のみを行うスガマデクスナトリウム含有液剤の製造、輸入または販売等を行っている、あるいは、今後予定・計画されている会社等に対して、当該特許権の侵害行為のないよう注意喚起しています。

【請求項1】
滅菌工程において、ろ過滅菌のみを行うことを特徴とする、スガマデクス又はその薬理学的に許容される塩含有液剤の製造方法。

スガマデクスナトリウム(Sugammadex Sodium)は、「ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復」を効能又は効果とするブリディオン®静注 200mg 及びブリディオン®静注 500mg (製造販売元: MSD 株式会社)の有効成分です。

2024年2月15日、複数の後発メーカーが、先発医薬品ブリディオン®静注にとって初めてとなる後発医薬品の承認を取得するに至りました(7社16品目)。

これら後発医薬品は、6月に薬価収載され発売される見込みです。

後発医薬品の承認を取得した一社が丸石製薬であり、そのスガマデクス静注液 200mg・500mg「マルイシ」については ブリディオン®静注 200mg・ 500mg のオーソライズド・ジェネリックとして承認を取得し、先発医薬品と原薬、添加剤、製法、製造場所、容器(バイアル・ゴム栓)が同じであるとのことで、また、スガマデクス静注液 200mg シリンジ「マルイシ」については、先発医薬品と同じ原薬を使用して製造しているとのことです(医薬品インタビューフォーム 2024年3月改訂(第 2 版)より)。

ブリディオン®静注の審議結果報告書(平成21年10月27日 医薬食品局審査管理課)には、製剤の製造工程は、「高圧蒸気滅菌」を含む複数のステップが重要工程であると設定されている旨が記載されていることから、先発医薬品と製法が同じであるという丸石製薬のオーソライズド・ジェネリックは、その製剤の製造工程における滅菌工程は「ろ過滅菌のみを行うことを特徴とする」ものではない(その製法は当該特許権で保護されるものではない)と思われます。

そうであっても、特許第6950966号については、出願公開後、他人による出願審査請求、刊行物等提出、トーアエイヨーによる無効審判請求(数か月後に取下げ)を経ていることからすると、第三者から注目されている可能性があることがうかがえます。

ニャー
ニャー

もしかすると、ライバルとなる他の後発医薬品の中に、その滅菌工程が「ろ過滅菌のみ」のものがあるかも?

丸石製薬としては、当該特許権の存在を周知することにより、6月の薬価収載を前に、ライバルとなる他の後発医薬品の市場参入を抑えたいところです。

しかし、それは、他の後発医薬品のうち、その製造工程における滅菌工程が「ろ過滅菌のみ」であるものがあれば・・・の話ですが。

6月の後発医薬品の薬価収載・発売がどうなるか注目しましょう。

2024年2月15日に承認された他のスガマデクス後発医薬品:

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