*Case2025

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2025.05.27 「沢井製薬 v. 東レ」 知財高裁令和6年(行ケ)10033 ― 特許権の延長登録期間が争われたナルフラフィン(レミッチ®OD錠)事件判決

Summary本件は、東レが保有する特許権に係る存続期間延長登録に対して請求された無効審判において、特許庁が請求不成立とする審決をしたため、沢井製薬がその取消しを求めた訴訟である。主な争点は以下の2点である。 「ナルフラフィン塩酸塩」を含有する本件医薬品(レミッチ®OD錠)が、「一般式(Ⅰ)で表されるオピオイドκ受容体作動性化合物を有効成分とする止痒剤」に該当し、本件発明の技術的範囲に属するか否か...
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2025.05.26 「エフ・ホフマン―ラ・ロシュ v. 国」 知財高裁令和6年(行コ)10007 ― 特許権の存続期間の延長登録が認められる「処分」の対象

Summary本件は、控訴人(ロシュ)が、製造販売承認済みの医薬品「ガザイバ®点滴静注1000mg」の添付文書改訂に関する情報がPMDAウェブサイトに掲載された日を「処分を受けた日」として特許権の存続期間延長登録出願を行ったところ、特許庁長官がこれを却下したため、その取消しを求めた事案である。控訴人は、添付文書改訂が実質的に一部変更承認と同等であり、PMDAの「助言」も実質的に強制力を持つと主張し...
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2025.05.15 「沢井製薬 v. BMS」 東京地裁令和5年(ワ)70527・令和6年(ワ)70016 ― スプリセル®後発品訴訟で特許権延長制度の根幹を揺るがす形式判断

Summaryブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が製造販売するスプリセル®錠の有効成分(ダサチニブ)に関する特許発明の延長された特許権について、沢井製薬による後発医薬品の製造等行為にその効力が及ぶか否か争われた特許権侵害訴訟で、2025年5月15日、東京地裁は、スプリセル®錠と沢井製薬の後発医薬品は医薬品として実質的に同一とは認められず、延長された特許権の効力は及ばないと判断した。本判決は...
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2025.04.23 「沢井製薬 v. 科研製薬」 知財高裁令和6年(行ケ)10022 ― エフィナコナゾールの爪白癬治療用途発明の進歩性とクレナフィンクリフ ―

Summary本件は、エフィナコナゾールを有効成分とする外用爪白癬治療剤に関する特許の有効性をめぐり、無効審判請求を不成立とした審決の取消しを求めた審決取消訴訟である。争点は、エフィナコナゾールの外用「足白癬」治療用途が記載されている主引用例等に基づき、当業者が本件発明の治療対象である「爪白癬」を容易に想到し得たか否か、すなわち進歩性の有無である。知財高裁は、出願日当時の技術常識・技術水準を検討し...
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2025.04.16 「アムジェン v. サノフィ」 知財高裁令和5年(ネ)10107 ― 機能的クレームにおけるサポート要件の適用と無効理由の再主張の可否 ―

Summary抗PCSK9抗体をめぐるグローバルな競合関係にあるアムジェンとサノフィの間で争われた特許権侵害に基づく損害賠償請求訴訟において、2025年4月16日、知財高裁は、アムジェンの特許がサポート要件(特許法36条6項1号)に違反するとして、原判決(請求棄却)を維持する判決(アムジェン敗訴)を言い渡した。本件では、「参照抗体と競合する、PCSK9とLDLRの結合を中和する抗体」という機能的ク...
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2025.03.19 「東海医科 v. Y」 知財高裁大合議令和5年(ネ)10040 ― 美容医療における特許権侵害と特許法69条3項の適用範囲 ―

Summary本件は、3成分(自己由来の血漿、b-FGF、脂肪乳剤)を含有する「豊胸用組成物」に関する特許権を有する控訴人(東海医科)が、当該組成物を調合し豊胸手術に用いた被控訴人(医師Y)によって当該特許権が侵害されたと主張して損害賠償を請求した事案である。知財高裁(大合議)は、被控訴人は各成分を別々に投与していたとして特許権侵害を否定した原審(東京地裁)の判断を覆し、被控訴人が3成分を同時に含...
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2025.02.13 「東和薬品・共和薬品工業・日医工 v. 協和キリン」 知財高裁令和5年(行ケ)10093・10094 ― 引用発明が医薬用途発明として認定されるためには ―

Summaryパーキンソン病治療剤ノウリアスト®(一般名:イストラデフィリン)の医薬用途発明に関する協和キリンの特許についての無効審判請求不成立審決に対する取消訴訟で、知財高裁は、以下のように判断した。まず、知財高裁は、医薬分野において構成から作用・効果を予測することが困難である特性を踏まえ、引用発明が医薬用途発明として認められるためには、当業者がその対象用途における実施可能性を理解し、認識できる...
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2025.03.04 「日本触媒 v. カネカ」 知財高裁令和6年(ネ)10026 ― 数値限定発明の技術的範囲の解釈と均等論の適用について「権利の公示書」機能を重視 ―

Summary本件は、紫外線吸収剤の「分子量が700以上」という数値限定発明に関する特許を有する控訴人(日本触媒)が、分子量699.91848の紫外線吸収剤を使用した被控訴人(カネカ)の製品が特許権侵害に当たると主張し、差止め及び損害賠償等を求めた事案である。知財高裁は、文言侵害について「700以上」との記載は整数値を意味し、四捨五入の適用は不適切であるとして侵害を否定した。また、均等侵害について...
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2025.01.30 「X v. 国」 知財高裁令和6年(行コ)10006 ― 「AIは発明者になれず」 知財高裁、特許出願を認めず ―

本件(知財高裁令和6年(行コ)10006)は、AI(人工知能)が発明者として認められるかどうかが争われた特許出願却下処分取消請求控訴事件である。原告(X:控訴人)は、AI「ダバス(DABUS)」が自律的に発明したとして特許協力条約(PCT)に基づく国際出願を行い、日本国内手続きとして出願を進めたが、特許庁長官は、特許法に基づき発明者の氏名を自然人(人間)で記載するよう補正を命じた。原告がこれに応じ...
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