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オルメサルタン(Olmesartan)のパテントクリフ

第一三共バリューレポート2013によれば、第3期中期経営計画の経営課題は、「オルメサルタンのパテントクリフを越え、持続的成長を実現する」ために、抗血小板剤プラスグレル・抗凝固剤エドキサバンにいかにスムーズにつないでいくか、ということである。オルメサルタンのマーケティング/セールスのグローバル戦略として、欧米市場では、配合剤へのシフトを中心としたライフサイクルマネジメントを展開する。特に欧州では、より長く独占販売期間を確保できるセビカー、セビカーHCTへのシフトを加速させる。新興国では市場開拓の余地がかなり残っており、中国でのセビカー発売を機に継続的な成長を図るなど、オルメサルタンのポジション強化に努める。日本では引き続き、降圧効果の強さや効果の持続性、あるいは心・腎保護作用を有するといった、同じタイプの高血圧治療剤の中でもベストインクラスのプロフィールを訴求し、また低用量5mgから高用量40mgまでの幅広い治療オプションを提供できる薬剤であることをアピールしていく。

Benicar(オルメサルタン単剤)の米国での承認(2002年4月25日)から既に10年以上経過しており、Orangebookによれば、BenicarのOrangebook収載特許は2つ。ひとつはオルメサルタンの化合物特許(5,616,599)であり、2016年には満了する。もうひとつは、6,878,703だが、delistがrequestされている。

オルメサルタンの配合剤としては下記製品が米国で上市されている。

  • BENICAR HCT: 有効成分が、HYDROCHLOROTHIAZIDE; OLMESARTAN MEDOXOMIL。Orangebook収載特許は2016に満了する5,616,599と6,878,703(delist requested)。
  • AZOR: 有効成分が、AMLODIPINE BESYLATE; OLMESARTAN MEDOXOMIL。Orangebook収載特許は2016に満了する5,616,599のみ。
  • TRIBENZOR: 有効成分が、AMLODIPINE BESYLATE; HYDROCHLOROTHIAZIDE; OLMESARTAN MEDOXOMIL。Orangebook収載特許は2016に満了する5,616,599のみ。

日本の化合物特許(登録番号: 2082519、公告番号: 特公平07-121918)は存続期間延長登録され(出願番号2004-700025、2004-700026、2004-700027、2010-700081、2010-700082。いずれも5年の延長)、存続期間満了日は2017年2月21日となっている。

つまり、オルメサルタン製品は単剤及び配合剤も含めて2016年に米国特許が満了、日本でも化合物特許が2017年に満了し、第一三共は、いわゆるオルメサルタンのパテントクリフに直面することになる。

第一三共バリューレポート2013より:

オルメサルタン(olmesartan):

    三共(現:第一三共)が見出したアンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬であり、イミダゾール環カルボキシル基をエステル化してプロドラッグとした化合物(CS-866、オルメサルタン メドキソミル、olmesartan medoxomil)。「高血圧症」を効能・効果として日本では2004年1月29日に10mg錠及び20mg錠について承認された。日本での販売名はオルメテック。米国の販売名はBenicar。

参考:

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