2020/02/21

2020年2月 シアリス®(タダラフィル(tadalafil))のジェネリックが初承認

2020年2月19日、タダラフィル(tadalafil)を有効成分とする勃起不全治療剤シアリス®錠のジェネリックが初承認されました。承認されたのは下記3製品。
  • タダラフィル錠10mgCI「クラシエ」/タダラフィル錠20mgCI「クラシエ」(製造販売元: シオノケミカル、発売元: クラシエ薬品)
  • タダラフィル錠10mgCI「サワイ」/ タダラフィル錠20mgCI「サワイ」(製造販売元: 沢井製薬)
  • タダラフィル錠10mgCI「あすか」/ タダラフィル錠20mgCI「あすか」(製造販売元: 大興製薬、発売元: あすか製薬、販売: 武田薬品工業)
シアリス®錠は、選択的なホスホジエステラーゼ タイプ5(PDE5)阻害作用を有するタダラフィル(tadalafil)を有効成分とする勃起不全治療剤であり、日本では2007年7月に承認されました(通常1日1回タダラフィルとして10mg。一定の場合には20mgまで増量可)(薬価基準未収載。保険適用外)。2007年9月より日本イーライリリーにて発売されていましたが、2009年7月1日から日本新薬が販売を受託・発売しています。再審査期間は2007年7月31日から2015年7月30日(8年)。

また、同じ有効成分タダラフィルを含有する前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤ザルティア®錠および肺動脈性肺高血圧症治療薬アドシルカ®錠の再審査期間はそれぞれ2014年1月17日から2018年1月16日(4年)および2009年10月16日~2019年10月15日(10年)。 日本新薬の決算発表資料によると、同じ有効成分タダラフィルを含有するシアリス®錠、ザルティア®錠、アドシルカ®錠の2019年度売上はそれぞれ46億円、121億円、52億円であり、2020年度売上はそれぞれ39億円、130億円、54億円を予想しています(日本新薬2020年3月期第3四半期決算短信(2020年2月5日))。2020年の第一四半期を目処に日本新薬が日本におけるタダラフィル製剤の製造販売元となります(2019.05.10 日本新薬 press release: 「ホスホジエステラーゼ5阻害剤 タダラフィルに関する契約締結のお知らせ」)。

シアリス®錠と同じ有効成分タダラフィルを含有する前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤ザルティア®錠のジェネリックも2020年2月17日に初承認となっています。

1.シアリス®錠を保護する3つの特許
  • タダラフィルの物質特許(特許3808095号)は、1995年1月19日に出願され、2006年5月26日に登録されました。勃起不全症を処分対象の特定用途とした特許存続期間延長登録(特願2007-700102; 特願2007-700103; 特願2007-700104)が認められ、その延長期間(1年2月4日)は2016年3月で満了しました。
  • タダラフィルの勃起機能不全治療用途特許(特許4169365号)は、1996年7月11日に出願され、2008年8月15日に登録、2016年7月11日に満了しました。
  • シアリス®錠の特定用量製剤を保護する特許(第4975214号)は、2000年4月26日に出願され、2012年4月20日に登録、存続期間満了日は2020年4月26日です。この特定用量製剤特許に対してジェネリックメーカーによる無効審判が請求されました(下記)。

2.東和薬品の動き

シアリス®錠の特定用量製剤特許(第4975214号)は、下記事件において、東和薬品による特許無効審判請求(2013年12月27日)を不成立とする審決(無効2013-800243)の取消判決がなされていました。
知財高裁の判決後、2016年5月6日付で上告受理申立、2017年4月13日付で上告受理申立却下、無効2013-800243事件の審理が再開、同年8月2日付で予告審決となりましたが、8月23日付で東和薬品により請求取下書が提出され、審判は取下げとなっていました。

東和薬品は、上記無効審判請求を行い、2016年中にはシアリス®錠のジェネリックの承認を得て販売に踏み切ってもいいくらいの有利な上記判決を勝ち取りながらも、審判請求取下げをして現時点で承認・販売に至っていないようです。東和薬品と特許権者側との間で何かしらの和解契約をした可能性よりも、むしろ東和薬品はシアリス®錠のジェネリック参入をしないことを決断したのかもしれません。一方で、東和薬品は、シアリス®錠と同じ有効成分であるタダラフィルを含有する前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤ザルティア®錠のジェネリックであるタダラフィルOD錠2.5mgZA/5mgZA「トーワ」を2020年2月17日に承認取得しています。シアリス®錠(保険適用外)よりもザルティア®錠(保険適用)の売上が大きいことを考えれば、ザルティア®錠のジェネリック参入だけに絞ったとしても不思議ではないのかもしれません。

3.シオノケミカル、マイラン製薬の動き

上記東和薬品によるシアリス®錠の特定用量製剤特許(第4975214号)に対する無効審判請求取下げ後の2017年11月7日(東和薬品が無効審判請した2013年末に遅れること約4年)、シオノケミカルは同特許に対する無効審判請求(無効2017-800140号事件)を行い(同年12月15日付でマイラン製薬が請求人側に参加申請)、2019年7月25日、シオノケミカル及びマイラン製薬は無効審決を勝ち取りました。同年11月29日、特許権者であるイコス(又は参加人イーライリリー)は、本件無効審決を不服として審決取消訴訟を提起したようです。
審決取消訴訟が係属中であることから審決が取消されるリスクは残されているものの、審決が無効判断を下したことで、シオノケミカル及びマイラン製薬は、シアリス®錠のジェネリックの承認を得て販売に踏み切る判断もありえました。今後の審理がどうであれ、シアリス®錠の特定用量製剤特許(第4975214号)の存続期間満了日は2020年4月26日に迫っているからです。少なくともシオノケミカルは下記シアリス®錠のジェネリックの承認を取得したようで、近いうちに発売に踏み切ると思われます。
  • タダラフィル錠10mgCI「クラシエ」/タダラフィル錠20mgCI「クラシエ」(製造販売元: シオノケミカル、発売元: クラシエ薬品)
シオノケミカルは、シアリス®錠と同じ有効成分であるタダラフィルを含有する前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤ザルティア®錠のジェネリックであるタダラフィル錠2.5mgZA「フソー」/タダラフィル錠5mgZA「フソー」(製造販売元: シオノケミカル、発売元: 扶桑薬品)も2020年2月17日に承認取得しています。

4.他のジェネリックメーカーの動き

他のジェネリックメーカーも、シアリス®錠の特定用量製剤特許(第4975214号)の存続期間満了日である2020年4月26日をターゲットにシアリス®錠のジェネリックの承認を取得して、販売に踏み切ることができると思われます。少なくとも2020年2月19日にシアリス®錠のジェネリックである
  • タダラフィル錠10mgCI「サワイ」/ タダラフィル錠20mgCI「サワイ」(製造販売元: 沢井製薬)
  • タダラフィル錠10mgCI「あすか」/ タダラフィル錠20mgCI「あすか」(製造販売元: 大興製薬、発売元: あすか製薬、販売: 武田薬品工業)
が承認されたことが明らかとなっています。沢井製薬及びあすか製薬は、それぞれシアリス®錠と同じ有効成分であるタダラフィルを含有する前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤ザルティア®錠のジェネリックであるタダラフィル錠2.5mgZA「サワイ」/ タダラフィル錠5mgZA「サワイ」又はタダラフィル錠2.5mg ZA「あすか」/ タダラフィル錠5mg ZA「あすか」を2020年2月17日に承認取得しています。


1 件のコメント:

Fubuki さんのコメント...

2020.03.06 沢井製薬 press release: 「タダラフィル錠10mgCI「サワイ」・タダラフィル錠20mgCI「サワイ」発売のお知らせ」
https://www.sawai.co.jp/release_list/20200306/721/