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2009.11.19 「日本新薬 v. Y」 知財高裁平成20年(行ケ)10255

スクリュー軸上にパドル: 知財高裁平成20年(行ケ)10255

【背景】

「固体分散体の製造方法」に関する原告(日本新薬)特許(特許第2527107号)についての無効審決(無効2007-800016号)に対する審決取消訴訟。理由は進歩性違反。

請求項1:

高分子担体中に薬物が溶解又は分散している固体分散体を製造するにあたって,スクリュー軸上にパドルを有する2軸型エクストルーダーを用いることを特徴とする当該固体分散体の製造方法。

審決が認定した引用発明との相違点:
本件発明では、「スクリュー軸上にパドルを有する」のに対し、引用発明では、そのように特定していない点。

【要約】

原告は、引用発明に係る認定の誤り(取消事由1)及び相違点を看過した判断の誤り(取消事由2)を主張したが、裁判所は、いずれも理由がないとした。

本件相違点についての判断の当否(取消事由3)について、裁判所は、

「2軸スクリュー押出機(2軸型エクストルーダー)を用いて高分子担体と有効物質とを混合し,有効物質が分子分散状に存在する固体分散体を製造するに際し,2軸スクリュー押出機による混合機能を高めることは,当該技術の内容に照らし,本件優先日当時の当業者にとって自明の課題であったということができる。
そして,刊行物1及び2によると,混合機能を高めるため,2軸スクリュー押出機のスクリュー軸上にパドルを設けることは,本件優先日当時の当業者にとって周知の技術であったものと認めることができる。
そうすると,上記自明の課題を解決するため,引用発明に上記周知の技術を適用して本件相違点に係る構成を採用することは,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものと認めるのが相当であるから,これと同旨の本件審決の判断に誤りはないというべきである。」

と判断、その他の原告主張もことごとく否定され、取消事由3は理由がないとされた。

請求棄却。

【コメント】

特許権の設定登録がされた後、3件の特許異議の申立(平成9年異議第70779号)があったが特許請求の範囲の減縮を目的として、主に「スクリュー軸上にパドルを有する」という構成要件を付加する訂正請求が認められ、本件特許は維持されたという経緯がある。

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