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製薬協 政策提言2023を発表 「革新的新薬の創出及び日本での早期上市の観点から、あるべき医薬品産業政策の方向性」

2023年2月16日、日本製薬工業協会(製薬協)は、そのウェブサイトに「製薬協 政策提言2023」を発表しました。

国民皆保険制度が導入された1961年には全く想像もしなかった人生100年時代を迎える現代において、国民の健康を支えることや健康寿命の延伸を実現するための投資は、引き続き国民生活基盤に直結する重要事項である。また、イノベーションを原動力とする医薬品産業は様々な経済活動の生産性向上に寄与し、日本経済の成長を牽引する。このような考えのもと、医薬品産業を日本の基幹産業として位置づけ、これまでの延長線上ではない国家戦略としての医薬品産業政策が実行される必要がある。製薬協は革新的新薬の創出及び日本での早期上市の観点から、あるべき医薬品産業政策の方向性は以下のとおりであると考える。

  • 卓越したアカデミアの独創的なアイデアから世界をリードするソリューションを生み出す、ヘルスケアイノベーション創出エコシステムを国内に構築する。
  • 産業振興及び安全保障の観点から、基礎研究から臨床開発、製造までのバリューチェーンにおいて、国と民間で負うべきリスクを整理・評価した上で戦略的投資及び人材育成を行う。
  • 健康医療データの利活用による未来の医療を実現するために、国民にどのような便益を提供するかという視点から、バックキャストで「データ基盤構築」と「法制度整備」を両輪とする総合政策を推進する。
  • 国民の革新的新薬アクセスを確保するため、国民皆保険制度の中でイノベーションを適切に評価する薬価制度を構築する。

上記のような産業政策を実行することで、グローバル売上高上位品目における日本創製品目数の増加、国内未承認薬の減少、ライフサイエンス分野における対日投資の増加や雇用増加等の目に見える成果が上がり、それが健康寿命の延伸及び経済成長といった形で日本国民に恩恵をもたらすことが期待される。

– 「製薬協 政策提言2023」はじめに ~国家戦略としての医薬品産業政策の必要性~より

製薬協は、その中でも、知的財産関連施策等の推進として、具体的には、

  • 研究開発投資を促進する適切な市場独占期間の確保(データ保護制度の創設)及び知的財産権に基づく税制措置
  • 国際的な知的財産権保護の促進
  • TRIPS Waiver等の国際的議論への適切な対応
  • 生物多様性条約・名古屋議定書の国際的議論への適切な対応

等について政府に提言しています。

詳細は、こちらをご覧ください。

参考記事:

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