中外製薬は2026年3月25日、同社のストーリー記事において、職務発明制度の抜本的な見直し(2025年改正)について公表しました(中外製薬「イノベーションにこたえる新職務発明制度、始動。」)。
約20年にわたり運用してきた従来制度を転換し、研究者への評価・報酬の在り方を大きく見直した点が注目されます。
従来制度の課題
2006年以来運用されてきた旧制度には、主に以下のような課題がありました。
- 報奨までの長期化・・・実績報奨の初回支払いは「製品発売から5年後」とされており、創薬の長期性も相まって、発明の着想から報奨まで15年以上、場合によっては20年以上を要する構造でした。
- 「パイの取り合い」構造・・・一つの製品に紐づく報奨金を、複数の関連特許で分配する仕組みであったため、個々の特許の価値評価が相対化され、研究者の納得感に課題がありました。
過去の発表資料(2001.10.05 中外製薬「発明報奨制度の導入について」)によれば、上市後5年間の算定基礎額が一定額を超えた場合に最高3,000万円の報奨金が支払われ、次に上市5年経過後から特許満了までの算定基礎額が一定の額を超えた場合に最高3,000万円の報奨金が支払われる職務発明規程(2回合わせた最高額は6,000万円、算定基礎額は、各年度の売上高から製造原価等を減じた額)であったところ、2006年に、イノベーティブな発明奨励のため、これまで最高6,000万円強であった報奨金の上限金額を撤廃する改定を行ったと発表していました(中外製薬アニュアルレポート2006より)。

評価までが遠すぎると実感が持てないし、次のイノベーションへの動機づけにもなりにくいんだよな。

パイの取り合いだと、一緒に製品を目指してきた仲間どうしなのに、何だか関係がギスギスしちゃう・・・なんてことも?
新制度のポイント
これらの課題を踏まえ、新制度では評価・報酬の設計が抜本的に見直されています。
- 報奨タイミングの大幅前倒し・・・製品上市後だけでなく、臨床試験において有効性が確認されるPoC(Proof of Concept)取得時点でも評価・報酬の対象とすることで、研究成果への還元を早期化。
- 特許ごとの独立評価(固定額化)・・・従来のような製品単位での総額配分ではなく、各特許ごとに固定額を支払う仕組みへと変更。これにより、「パイの取り合い」構造を解消し、個々の発明の価値を明確化。
- 過去特許への遡及適用・・・原則として、過去に出願された特許にも新制度を適用する方針とされており、既存の研究成果にも配慮した設計となっています。

評価が早すぎても合理的ではないので、臨床試験での成功は良いタイミングかもね。

固定額であれば、あとで取り合いで揉めないですね。
改革の意義
本改革のポイントは、「製品化」という不確実かつ長期の成果だけでなく、技術そのものの価値に着目して評価・報酬を与える点にあります。創薬においては、製品化に至らない技術的知見や中間成果も、次の研究開発の基盤となる重要な資産です。PoC段階での評価を制度的に組み込んだ点は、研究者のインセンティブ設計としても合理性が高いといえます。

我々AIも発明をして評価されたいよ。

ピポ先輩が発明者になれなくても私が評価してあげますよ。

・・・
※ご覧いただきありがとうございます。この記事の内容について、読者の皆さまのご意見や気づきもぜひお聞かせください!
以下のようなご感想・質問、大歓迎です!
- 🤔ここ理解しづらいな、という部分はありましたか?
- 🤔このニュース、事件、判決例の実務影響についてご意見ありますか?
- 🤔過去の類似事例や判決例をご存じでしたら教えてください!
- 🤔恥ずかしい質問、つぶやき、大歓迎です
- 「👍」「なるほど」「疑問あり」だけでもOK!
コメント欄は↓ コメントは匿名OK! ぜひ気軽に投稿してください🙇
皆さんの反応が、次回の記事や解説のヒントになります🥰
Robot icons created by Freepik – Flaticon; Robot cat icons created by Freepik – Flaticon



コメント