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東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で追加の損害賠償請求

2020年4月6日の東和薬品プレスリリースによると、高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」(一般名:ピタバスタチンカルシウム)の後発医薬品であって東和薬品が製造販売する『ピタバスタチンCa・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』について、 興和から、同社が有する製剤特許(特許第5190159号と思われます)を侵害しているとして、下記の先行訴訟における損害賠償請求とは別に、2017年4月1日から1年間の販売分に対する新たな損害賠償請求訴訟(本件訴訟)を提起されたとのことです(請求金額は48億4,197万3,400円)。興和は、東和薬品に対して、下記の先行訴訟2で約38億円(2013~2016年分)、先行訴訟3で約45億円(2016~2017年分)、そして今回の新たな訴訟で約48億円(2017~2018年分)、従って、これまで合わせると130億円を超える損害賠償を求めていることになります。

参考:

東和薬品は、下記の先行訴訟2、先行訴訟3及び2018年7月に申し立てた特許無効審判(無効2018-800092と思われます)において、特許無効を主張して争っており、本件訴訟についても同様に争っていく方針とのことです。

以下に、先行している訴訟と特許無効審判の状況をまとめました。

 

1.先行訴訟1(差止請求訴訟)

興和が保有する製剤特許(特許第5190159号)の侵害を理由として、東和薬品が製造販売する「リバロ」の後発医薬品である『ピタバスタチン Ca・OD 錠 4mg「トーワ」』の製造販売の差し止めを求めた訴訟に関し、2018年4月4日付で、知財高裁が東和薬品の控訴を棄却する判決を言い渡し、興和が勝訴しています(上告受理申立て不受理(2019年2月14日))。知財高裁判決では、東和薬品は本件発明2に係る特許権について先使用権を有するとは認められず、本件発明2に係る特許が無効審判により無効にされるべきものとも認められないから、興和の請求は理由があるとされました。

参考:

2.先行訴訟2(損害賠償請求その1)

2018年6月22日の東和薬品プレスリリースのとおり、興和は、東和薬品による『ピタバスタチンCa・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』の販売行為(2013年12月13日から2016年3月31日まで)が興和の製剤特許の侵害にあたると主張して、東和薬品に対して損害賠償請求訴訟(先行訴訟)を東京地裁に提起しています(請求金額は38億2,826万4,000円)。

参考:

3.先行訴訟3(損害賠償請求その2)

さらに2019年4月2日の東和薬品プレスリリースのとおり、興和は、2016年4月1日から1年間の販売分に対する追加の損害賠償請求を目的とした訴訟も提起し(請求金額は45億2,279万3,000円)、その後先行訴訟と併合されて現在も裁判所にて審理中とのことです。

参考:

4.特許無効審判(無効2018-800092)

興和が保有する製剤特許(特許第5190159号)は、2012年8月8日を国際出願日として出願(特願2012-546269号)され、2013年2月1日に設定登録を受けました(請求項の数9)。2018年7月19日、東和薬品は、特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明について無効審判を請求しました。

【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)ピタバスタチン又はその塩;
(B)カルメロース及びその塩、クロスポビドン並びに結晶セルロースよりなる群から選ばれる1種以上;
を含有し、かつ、水分含量が2.9質量%以下である固形製剤が、気密包装体に収容してなる医薬品。

【請求項2】
固形製剤の水分含量が1.5~2.9質量%である、請求項1記載の医薬品。

2019年7月1日、特許庁審判部は、「特許第5190159号の請求項1ないし2に係る発明についての特許を無効とする」旨の審決の予告をしています。興和は訂正請求をしており、現在も審理が続いているようです。

差止請求訴訟で勝訴した興和が損害賠償額を積み上げていますが、特許無効審判では審決予告がでているし、東京地裁でも特許無効の主張がどう判断されるか・・・。知財高裁への控訴の可能性もあるから、決着にはまだまだ時間がかかるかもしれませんね・・・。

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