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製薬協 政策提言2021を発表「『イノベーションの創出』と『イノベーションの適切な評価』を車の両輪として強力に推進することが不可欠」

日本製薬工業協会(製薬協)は、そのウェブサイトに「製薬協 政策提言2021」を公開しました(2021年3月12日公開)。

去る2019年1月に日本製薬工業協会(以下、製薬協)は、いま製薬業界に何が求められ、社会に対して何を発信していくべきか、また創薬イノベーションをさらに促進するためには何が必要かを整理し、まとめたものを「製薬協 政策提言 2019」として発表し、関係各位の協力を得ながらその実現に取り組んで来た。この度、その後の社会環境変化に加え、新医薬品の創出及び評価に関する国民の正しい理解を得るために「製薬協 政策提言 2021」として新たに取りまとめた。今後も我が国が米国に次ぐ新薬創出国として、パンデミックへの対応も含めて世界最先端の医薬品を日本で創出・開発し、国民に迅速に届けるためには、「イノベーションの創出」と「イノベーションの適切な評価」を車の両輪として強力に推進することが不可欠である。

– 「製薬協 政策提言2021」より

製薬協は、その中でも、知的財産関連施策等の推進として、新たなデータ保護期間の付与制度の創設等が必要であること、さらに、再生医療、AI・健康医療ビッグデータ等の先端技術が適切に保護されるように知的財産制度の見直しすること等を提言しています(「製薬協 政策提言2021」I-1.2)。

知的財産関連施策等の推進に関連する提言については、2019年1月24日発表の「製薬協 政策提言 2019」及び「次期「健康・医療戦略」、「医療分野研究開発推進計画」の策定に向けた提案」の内容から概ね変更はありませんが、2019年の提言から掲げられている制度創設・導入については、政府内での議論は進んでいないのが現状のようです。

以下に、「製薬協 政策提言2021」において知的財産関連施策として提言している関連部分の一部を抜粋します。

(3) 研究開発投資を促進する適切な市場独占期間の確保及び知的財産権に基づく税制措置

  • データ保護制度の創設
    再審査制度から独立したデータ保護制度の創設による、データ保護の恒久的な安定化、小児向け医薬品の研究開発投資の促進
  • 再生医療、AI・健康医療ビッグデータ等の先端技術に係る特性を踏まえた知的財産制度の創設
  • 知的財産権から生じた所得に対する法人税の軽減を認めるパテントボックス制度の創設

(4) 国際的な知的財産権保護の促進
新興国・途上国、あるいは一部の新興感染症においては、知的財産権が十分に保護されていない状況が議論されることもある。投資環境を改善し、イノベーションを促進するためにも、知的財産権保護・保全に向けた取組みを推進するべきである。

  • 知的財産権保護制度への理解促進
  • 臨床試験データ保護制度の導入促進
  • 特許期間延長制度の普及
  • パテントリンケージ制度の普及

(5) 投資制限撤廃の推進
各国で現地企業保護・強制現地製造等の投資制限により、現地国民の革新的な医薬品へのアクセスが阻害されている場合がある。また、研究開発型医薬品産業は限られた特許保護期間内にグローバル市場で投資を回収するビジネスモデルであるため、各国の投資制限はイノベーション阻害に繋がっている。そのため政府主導で各国の投資制限の撤廃を働きかけることが必要と考える。

(6) 製造販売後安全対策の更なる充実
上記の施策の推進により、世界に先駆けて我が国で新薬が使用されることを踏まえ、製造販売後安全対策の更なる充実が求められる。ついては、リアルワールドデータの利活用による安全対策の充実や、再生医療等製品、小児向けの医薬品及びAMR 治療薬、希少疾患用医薬品等の安全性情報が集まりにくい医薬品について、再審査期間の延長等の措置が必要と考える。

COVID-19への治療薬やワクチン開発でも学んだように、イノベーション創出への挑戦(投資)は、新たな治療法・治療薬を待ち望んでいる患者さんへの希望です。製薬協の提言にもあるように、「パンデミックへの対応も含めて世界最先端の医薬品を日本で創出・開発し、国民に迅速に届けるためには、「イノベーションの創出」と「イノベーションの適切な評価」を車の両輪として強力に推進することが不可欠」です。今後、提言された制度創設・導入についての政策議論が進むことを期待します。

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