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USPTO、AI支援発明の発明者認定に関する新ガイダンスを発表 ― 2024年2月ガイダンスを全て撤回、改めて「自然人のみ発明者」を強調

2025年11月28日、米国特許商標庁(USPTO)は、AIが関与する発明の発明者認定に関し、新たなガイダンスを連邦官報に公表しました。

  • 参照: Revised Inventorship Guidance for AI-Assisted Inventions ー A Notice by the Patent and Trademark Office on 11/28/2025 (Docket No. PTO-P-2025-0014)

本通知は、2024年2月13日に発出された先行ガイダンスを全面的に撤回し、従来の法理を明確化する内容となっています。

改正の背景:「Pannu要件」適用の誤解を是正

撤回対象となった2024年ガイダンス(2024.02.13ブログ記事「USPTO、人工知能(AI)が関与する特許の発明者(inventorship)に関する詳細なガイダンスを公表」参照)では、AI支援発明に関与する自然人の寄与判断に、共同発明者性を判断するPannu要件(Fed. Cir. 1998)を準用する枠組みが提案されていました。しかし今回の通知では、Pannu要件はあくまで複数の自然人間の共同発明性を判断する枠組みに過ぎず、AIは法律上「人」ではないため、AIを共同発明者と想定する分析枠組みは誤りであると明確に指摘しました。

新ガイダンスの要点:統一的な「コンセプション」基準を再確認

USPTOは、AI支援の有無に関わらず、一貫して次の基準が適用されると述べています。

The same legal standard for determining inventorship applies to all inventions, regardless of whether AI systems were used in the inventive process.  There is no separate or modified standard for AI-assisted inventions.

The Federal Circuit has held that AI cannot be named as an inventor on a patent application (or issued patent) and that only natural persons can be inventors.  Artificial intelligence systems, regardless of their sophistication, cannot be named as inventors or joint inventors on a patent application as they are not natural persons.

The Federal Circuit has centered its inventorship inquiry around “conception,” characterizing conception as “the touchstone of inventorship.”   Conception is “the formation in the mind of the inventor, of a definite and permanent idea of the complete and operative invention, as it is hereafter to be applied in practice.”   Conception is complete when “the inventor has a specific, settled idea, a particular solution to the problem at hand, not just a general goal or research plan.” 

Determining inventorship is highly fact intensive.  The question is whether the natural person possessed knowledge of all the limitations of the claimed invention such that it is so “clearly defined in the inventor’s mind that only ordinary skill would be necessary to reduce the invention to practice, without extensive research or experimentation.”   Analysis of conception turns on the ability of an inventor to describe an invention with particularity.  Absent such a description, an inventor cannot objectively prove possession of a complete mental picture of the invention at a later time.

  • 発明者は自然人に限られる
  • 発明者認定の中核は「Conception(着想)」
  • 着想とは、「発明者の心の中に、将来実際に適用される完全かつ有効な発明についての明確かつ永続的なアイデアが形成されること」である。着想は、「発明者が単なる一般的な目標や研究計画ではなく、具体的かつ確立したアイデア、目の前の問題に対する特定の解決策を持っている」ときに完了する。
  • 発明者の決定は事実を非常に重視する。問題は、自然人が請求項に係る発明の全ての限定を認識しており、それが「発明者の心の中で明確に定義されており、広範な研究や実験をすることなく、通常の技能のみで発明を実施できる」かどうかである。概念の分析は、発明者が発明を具体的に説明する能力にかかっている。そのような説明がなければ、発明者は後になって発明の完全な心象を所有していることを客観的に証明することができない。

すなわち、AIはラボ装置やデータベース等と同様、人間による発明を支援する道具に過ぎないとの立場が強調されたといえます。

具体的運用:AIを発明者として記載することは禁止

  • AIやその他自然人以外を発明者として記載した出願は101条/115条違反として拒絶が相当。
  • AI支援の過程に複数の自然人が関与する場合は従来どおりPannu要件を含む共同発明の原則で分析。
  • 外国出願でAIが発明者に記載されている場合、米国出願では自然人のみを発明者として記載しなければ、優先権主張は認めない。

今回のガイダンスは、AIが発明活動に深く関与する時代においても、既存の発明者認定の原則は揺るがないことを明確にしたものといえそうです。他方で、AIを活用する研究活動においては、AIが提示したアイデアをそのまま採用しただけでは発明者適格に疑義が生じる可能性も鑑みて、人間が「何を発明したのか」「誰が発明したのか」を立証する必要性が一段と高まったと言えるかもしれません。

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